2021年2月20日(土)

暖かくなることは嬉しいのは間違いないけれども、二月にこのレベルのものを出されると、そのまま春に移行するのではなく揺り戻しがあるのが明白で、所詮これは束の間の温度だということを思ってしまう節があった。ただし今日が暖かいのは変わりがないから、未知なる道を歩いていくときに、寒い思いをしなくて済むのはありがたかった。経度的には三鷹と武蔵境の中間の、ただし自宅からだと中央線を挟んで対称の位置にあるからそれなりに離れている、植物がたくさん売っているところに行った。書いている小説で成行きとして観葉植物が出てきたから、それを観察するということが目的だった。心底から植物を愛していてそこに買いに来たり、あるいは育てて売っていたりする人びとのものと比べると、それはさもしい心象だった。植物を育てるのは私には難しいので、私は私以外が育てたり勝手に育ったりした風景を視界に取り込むことで生きながらえることにした。五日市街道を歩いていた。写真を数枚撮った。写真は、撮りたいと思った瞬間と実際にシャッターを押す瞬間に僅かなしかし確実なタイムラグが発生し、その距離が余りにも僅かであるために、却って本当に撮りたかったものがわからなくなってくる、というよりもそのとき生じていたはずの撮りたいという気分の確からしさをまったく感じ取れなくなっている。寺や神社の個数や間隔が尋常ではない気がした。昔の人間たちのあいだではパワースポットとして一目置かれていたのか、それとも街道だから祈願する旅人が多かったのだろうか。歩いていくと成蹊前ラーメンがあったので、小麦と塩分と脂肪分が高いレベルで拮抗しているあの類いのラーメンを食べた。家に帰ると義母的な存在の襲来がまだ完了していなかったので、ふにゃふにゃしている若者然としていた。【いじめるヤバいやつ】を読んでいると今出ているぶんまでは読み終わった。何を読まされているのかわからなかったのに読んでしまったので、それはすごいことだった。


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