2020年7月15日(水)

夜は飲み会だった。仕事の都合でメキシコ送りになる人間の送別会、というのが一応は名目ではあるけれどもそれは単なる口実に過ぎなかった。こうして集まるために口実が求められるというのはこの禍の情勢以上に、各々が人生のひとつの節目を済ませつつあり集まるだけでも大変だ、ということを意味していた。ぽつりぽつりと新たな人間が仕事を終えてやってくるたび、そこの名物だという肉団子の注文がその都度その場に足されたので胃腸が過剰に満たされた。人生の話を気心が知れているという基盤のもとに繰り広げられる数少ないコミュニティ、という特性をそれぞれがこの集団に見出だしているから、必然そういう話に話題は傾きがちだった。今までならば黙って見ているほかなかった私も、交際及び同棲の開始というそれなり以上にエポックメイキングな話題を引っ提げていたので、ただ黙って頷いているだけというわけにはいかなかった。帰りは中央特快に乗った。この車種の有難味を久しぶりに享受した。

#日記  

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