2019年5月30日(木)

上司にテストデータの作成をぶん投げて私は折坂悠太のライブに行った。罪悪感もないではなかったので精一杯楽しむ決意をした。鶯谷には初めて降りた。恐らく今日本で一番猫背が様になる男がそこで唄っていた。喉の奥から絞り出すような、それでいて伸びやか&軽やかな印象の独特の発声は、落語・講談といった話芸の抑揚を思わせるもので、それが和様な歌詞・曲調と響き合って激烈にいい感じだった。程よく狭い会場で音響も良かった。平成という時代に一律で漂う停滞の空気と、個々の生活に時折訪れる瞬間的な前向きな感覚、この二つを混ぜ合わせつつ、具体的・身体的・極私的な視点で以って多方面から眺めた結果が「平成」という何とも凄まじい名盤であるのであって、それらの曲が先述の生の声、に乗せられると一層深く浸透してきた。陳腐な言葉にはなるが概ね最高のライブだったが、近くに立っていた人間二人が結構品のない煩さでそれだけが厭だった。その顔で煩いのが一番憐れみ&苛立ちを誘うから黙るかその顔をやめるかした方が賢明ですよ、と言ってあげたい二人だった。周囲を憚らずに騒いで平穏を蹂躙することの恥かしさを知らないどころか格好いいとさえ思っている節がある人種。その記憶だけ切り取って削除して、他の部分のみを保存したいと思うが、これを書いている翌日になるとその辺の怨嗟・むかつきは取り出せなくなっているから辛うじて許容。

#日記

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