2021年8月27日(金)

休みだった。トーマス・ベルンハルトの【推敲】をひたすら読んでいた。三百ページあるなかで改行が章が変わるときの一回しかないというお馴染みの形式は、単に飛び道具というよりも、語られる内容と形式から要請される必然であるように思える。クライマックスまで同じテンポの怨嗟が続いていく(だけな)のにこんなに面白いのはなぜか。夜、ついに家にGが出現して、この借家に対して長い時間かけて育ててきたわずかばかりの愛着が一挙に霧散してしまった。空間の質が変化して、我々の生息の仕方も変わった。

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