2020年10月21日(水)

ここは本当に新宿のそれも歌舞伎町か? と言いたくなるような穏やかな遊歩道がのびている一画の存在を私は今日まで知らなかった。その湾曲した石畳の遊歩道からのみ入店できる古民家風の京風料理屋で、人間と飲んだ。それなりに愉快だった。飲み会を終えて遊歩道を抜けると見知った道にぶつかって、そこからここに出てくるのか! という過去まで見知った場所の脳内地図が塗り替えられていくような新鮮な驚きが、アルコールに浸った頭に染み渡った。三鷹に着き、まだそこまで夜が深くなかったのと、液体以上に食べ物によって満たされ過ぎた胃を落ち着けるために、この上なく遠回りをして自宅を目指した。ガラス張りの美容室で、すべての座席にカツラをかぶせたマネキンを座らせ、カットの練習にいそしんでいた。一同に会話などはなさそうで、めいめいが頑張っているようだった。その店の席がそんなに埋まることなんて、普段は皆無なのではないか。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?