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日本の四季_清秋の候 番外       奈良の見どころ「ならまち」を歩く


1.元興寺

 この「ならまち」の大部分はかつて元興寺の境内地であったが、戦国時代後半から元興寺中枢部が町になり始め、江戸時代に入ると急速に都市開発が進んだ。
 平成十年、元興寺が「古都奈良の文化財」の一つとして世界文化遺産に登録されると、周辺の街並みはそのバッファーゾーンとして位置づけられ、「ならまち」として新たな奈良の名所となった。
 元興寺には世界文化遺産として登録された、国宝極楽堂(極楽坊本堂)と国宝禅室(極楽坊禅室)があり、また秋には萩や彼岸花が寺の其処此処に彩を添えている。
 「ならまち」散策の折には、是非訪れたいスポットだ。

咲き競う萩と彼岸花

2.のれん

 「ならまち」は平城京の外京にあたり、当時の道筋をもとに発展した長い歴史を持つ町だ。
 平城京への遷都以来まちづくりがはじまり、南都と呼ばれる社寺のまちから商業のまちへ、商業のまちから観光のまちへと様々な時代背景の中で盛衰をくり返してきた町でもある。
 江戸時代の末期から明治時代にかけての町家の面影を今に伝える「ならまち」は、訪れる人々にやすらぎとうるおいを与え、時には懐かしささえ感じさせてくれる。
 町を歩いていると、ユニークな「のれん」が多いのに気づく。
 「吉田蚊帳」という老舗の蚊帳屋さんが、奈良県特産の「本麻」の蚊帳生地で作った「のれん」は、色や柄が豊富で、「ならまち」の風景にもよく合っているので、お店や施設は、この「のれん」をかけて、「ならまち」の一体感や歴史を表現しているという。

ユニークなのれん

3.町家

 ならまちの町家には間口が狭く、奥行きが深いという特徴がある。これは、かつて税金が間口の広さによってかけられた事と、表通りに面したいという智恵でもあると言われている。
 町家の正面は、日射しや風量の調節に役立つ格子戸があり、外からは中の様子が見えにくい造りとなっている。
 また、町家の「うだつ」という独特の装飾は、隣の家との防火壁としても機能している。
 ならまちの町家は、現在ではカフェや雑貨屋などに改装され観光客や地元の人々に人気のスポットとなっている。

一般公開している「格子の家」

4.身代わり申

 ならまちの町家の軒先では赤と白の布で作られたお猿さんの形をした飾りをよく見かける。
 これは「庚申さん」のお使いの申を型どったお守りで、災いを代わりに受けてくれることから「身代わり申」とよばれ、民家や商家の軒先に吊るされている。

町家には「身代わり申」が・・・

 ならまちの風物となっている「身代り申」の聖地とも言うべき庚申信仰の拠点が「奈良町庚申堂」だ。
 庚申堂には、多数の身代わり申が吊り下げられており、奈良町一帯でも独特の雰囲気を見せるスポットとなっている。

「身代り申」が迎えてくれる庚申堂


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