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四季のフォトスポット 陽春       1.京都  


1.京都

1_1 花の寺・勝持寺

◆桜をこよなく愛した西行

 西行が勝持寺で出家し,自ら桜を手植えしたと伝えられるこの寺の境内には西行桜を始め数種類約百本の桜が植えられている。
 その大半を占める染井吉野は例年四月上旬に満開となる。

4月3日撮影

1_2 大原野神社神苑

◆四季折々に表情を変える鯉沢の池

 神苑の風光は、平安時代より紀貫之など多くの貴族たちの和歌に詠まれ、源氏物語などの文学作品にも記されている。
 鯉沢の池には昔から流れ込む川などはなく、池底からの湧き水や雨水だけで美しい水面を保ち、四季折々にその表情を変えている。

4月3日撮影                   4月13日撮影

◆お琴の音色に魅せられて

 四月中旬になると大原野神社神苑の花は八重桜と石楠花が主流になる。
 「鯉沢の池」のほとりにある茶店の庭では、和服の女性が、お琴の生演奏をしていた。
 お琴の上に桜の花びらがひらひらと舞い、春の名残を告げていた。

4月13日撮影

1_3 原谷苑

◆桜の洪水を思はせる原谷苑

 「しだれ桜のジャングル」とも表現されるほど、圧倒的な桜の美しさに浸ることができる「原谷苑」。
 四千坪の広大な苑内には、ソメイヨシノ・シダレザクラ、ベニシダレザクラなど、約二十種四百本の桜が植えられ、濃い目のピンクや淡いピンク色、白い桜の花が共演している様は圧巻だ。
 紅枝垂れ桜の密度がすばらく、桜の洪水と呼ばれるほど、一面に咲く様子をみることができる
 もともと不毛の土地を開拓した個人庭園で身内だけが楽しんでいたが、その桜の見事さが評判となり、桜シーズンのほか、梅の時期や紅葉の時期も一般公開されている。

4月13日撮影

1_4 仁和寺

◆貝原益軒が絶賛した仁和寺・御室桜

 毎年春、仁和寺は満開の桜で飾られる。
 中門内の西側一帯に「御室桜」と呼ばれる遅咲きで有名な桜の林があり、江戸時代の儒学者・貝原益軒が書いた『京城勝覧』には、
春はこの境内の奥に八重桜多し、洛中洛外にて第一とす
吉野の山桜に対すべし、花見る人多くして日々群衆せり
と記され、吉野の桜に比べて優るとも劣らないと絶賛されている。

4月12日撮影

1_5 竜安寺

◆世界的に有名な石庭

 1450年に創建された臨済宗妙心寺派の禅寺である龍安寺。
 枯山水の石庭「方丈庭園」は、1975年に訪れた英国のエリザベス女王が絶賛したというエピソードをもち、世界的にも「ロックガーデン」の名で有名だ。
 石庭の塀の向こうからのぞくしだれ桜と庭石との対比が定番のカメラポイントだが、私が訪れたときは、まだ満開前のため花のボリュウムが足りなかった。

4月12日撮影

1_6 松尾大社

◆関西一の山吹の名所

 「松尾大社は関西一の山吹の名所として知られ、境内には約三千株の山吹が植えられている。
 「ほろほろと山吹散るか滝の音」
 松尾芭蕉の俳句にもうたわれ、例年四月半ばからゴールデウィークにかけて、境内が黄金色に染まる。
 境内に流れる一の井川の川沿いでは、山吹と水車、石灯籠など、写真映えする風景に出合える。
 京都では最古の神社として知られる松尾大社の境内には「亀の井」と言う湧き水があり、この水を入れて酒を造れば腐らないと言われて酒造の神として全国からの崇敬を集めている。

4月18日撮影

1_7 上賀茂神社

◆多彩な桜を長期に楽しめる

 京都の世界遺産の神社として、また最古の神社として有名な上賀茂神社。
 春は境内全体が見事な桜で飾られる。
 一の鳥居をくぐり二の鳥居に至るまでの一直線に伸びる参道の脇に、紅八重枝垂れのみごとな花の枝を広げる樹齢150年の斎王桜、三月の下旬に白い花を広げる御所桜や馬出しの桜、鞭打ちの桜など、それぞれいわれのある桜たちが並ぶ。
 二の鳥居を入り、立砂が盛られた細殿(重要文化財)を左に進むと「みあれ桜」が赤い花を咲かせている。

4月18日撮影

1_8 本満寺

◆若々しく力強い景観が広がる

 京都御所の北、寺町今出川を上がった先にある本山本満寺の西門より入ると、左手に見える大きなしだれ桜。 
 樹齢百歳には満たないが、若々しく力強い景観が広がり見事な枝ぶりを鑑賞できる。
 円山公園に咲く有名なしだれ桜「祇園枝垂れ」の姉妹桜でもあり、京都でもかなり早く開花し、三月の中日頃には五分咲きに、四月に入ると散り始めるので、早めに鑑賞したい。

3月30日撮影

1_9 妙心寺塔頭退蔵院

◆圧巻の紅しだれ桜

 京都の西に位置する妙心寺の山内に四十余りある塔頭の中でも、屈指の古刹として知られている退蔵院。
 境内には、国宝「瓢鮎図」や史跡名勝・枯山水庭園「元信の庭」、そして四季折々の景色が美しい池泉回遊式庭園「余香苑」など見どころ一杯だ。  
 「瓢箪・なまず」が彫られた門をくぐるとすぐに眼前に現れる紅しだれ桜。JRの「そうだ、京都いこう」キャンペーンに使用され、大変注目を集めた。
 紅い蕾は開花するにつれて淡く和らぎ、可愛らしい八重の鮮やかな花が楽しめる。
 刻々と変化する色のグラデーションが美しく、雨風にも強いため四月下旬まで花を楽しむことができ、散り際の「花吹雪」も圧巻だ。
 左右の敷石の色の違う枯山水「陰陽の庭」に降るように咲くしだれ桜も退蔵院ならではの被写体だ。

4月12日撮影

1_10 祇園界隈の桜めぐり

1.古都の風情あふれる祇園から高瀬川への道

 京都の代表的な花街、祇園と先斗町をつなぐ花見小路から白川を経て、先斗町を通り抜けサクラが植栽された高瀬川への道を歩いた。
 運が良ければ、お座敷帰りの舞子さんをカメラに収めることができる。
 古都ならではの風景が広がるエリアだ。

4月2日撮影

2.祇園白川

白川辰巳橋祇園白川は柳が風にゆれ、水のせせらぎが耳にも心地よいスポットだ。
 朱色と緑のコントラストが美しい巽橋あたりには町家が連なり、白川が流れ、石畳の道が続く。
 桜の本数は四十本程で決して多くは無いが、白川の流れ、料亭の灯り、辰巳大明神、巽橋があり、夜には舞子さんに出会うこともある。
 ここにあるもの全てから京都の情緒を楽しむことが出来る。

4月2日撮影

3.  先斗町

 先斗町は、鴨川沿いを南北に走る約五百mの小路。
 京都を代表する花街の一つで、芸舞妓さんたちの稽古場や茶屋、料理店など、地元の人々が通う昔ながらの店が密集してるエリアだ。
 最近は古い建物を活かしたおしゃれな隠れ家レストランも増え、密かに若い世代からも注目を集めている。
 すれ違う傘が傾き合う程狭い路地だが、いかにも京都らしい家屋が立ち並ぶ通りは風情たっぷりで、シャッターを切りたくなるポイントが多い

4月2日撮影

4.木屋町高瀬川

 京都を代表する鴨川と並行して流れる美しい河川・高瀬川。
 その高瀬川沿いの二条から五条まで続く「木屋町通り」が桜並木になっていて、春には川を跨ぐアーチのように桜が咲き乱れ、高瀬川の水面を彩る。
 三条から四条にかけては飲食店のほかに飲み屋が非常に多く、夜の街にふさわしい景色が広がっているが、昼間は、夜の喧騒が嘘のように静かな時間が過ぎてゆく。

4月2日撮影

5.鴨川遊歩道

 先斗町の細い路地を東へ進むと京都市民憩の広場・鴨川の遊歩道だ。
 桜の本数は少ないが、見事な古木の枝が鴨川に垂れ下がり、淡いピンクの花と水面の濃いブルーとがマッチし、心温まる風景を描いていた。

4月2日撮影

1_11 洛東の桜めぐり

1.清水寺

 スタート地点の清水寺は、ソメイヨシノと山桜が合わせて約千五百本咲き誇る世界遺産の古刹。
 仁王門から始まり、日本最大級の三重塔、「清水の舞台」で知られる国宝の本堂など見どころは尽きない。

4月4日撮影
4月4日撮影

2.蹴上インクライン

 蹴上インクラインは、全長582mの世界最長の傾斜鉄道跡。
 高低差約36mの琵琶湖疏水の急斜面で、船を運航するために敷設された傾斜鉄道の跡地だ。 
 明治24年から運航し、舟運の衰退とともに昭和23年に役割を終え、現在はその廃線跡は京都市の文化財に指定されている。 
 昭和52年に復元されたインクラインの線路沿いには、辺りを埋め尽くすように約90本のソメイヨシノが見事なアーチを作っている。

4月4日撮影

3.岡崎公園

十石船から見る岡崎公園の桜
 岡崎公園は、美術館、動物園、琵琶湖疏水やインクライン、図書館などを含む京都市を代表する総合公園。
 公園周辺には南禅寺や平安神宮をはじめ、ロームシアター京都、京都市勧業館みやこめっせ、京都国立近代美術館など、様々な文化交流施設が集積している。
 桜が見頃を迎える四月上旬、南禅寺舟溜り乗船場から十石舟に乗船すると、山紫水明の都、京都の春の風情ある景色が広がり、普段みることのないアングルから桜を撮ることができる。

4月2日撮影

4.南禅寺

京都で桜を愛でるなら南禅寺
日本の禅寺の中で、最も格式の高い寺院として知られる「南禅寺」。
 桜や紅葉の名所でもあり、湯豆腐も有名だ。
 敷地内にあるアーチ橋「水路閣」は、サスペンスドラマのロケ地という裏観光スポット。琵琶湖疎水が敷地内に流れる寺院は京都でも珍しい。
 境内はかなり広くて、まず目に入るのが三門。
 一六二八年に藤堂高虎が大阪夏の陣で戦死した家臣を弔うため寄進したと伝えられている。
 歌舞伎の演目で、石川五右衛門が「絶景かな」と見得を切った門としてもしられている、この三門が桜撮影の最初のスポットだ。
 法堂横、南禅僧堂前にもソメイヨシノが華やかに咲き、カメラマンに人気のスポットとなっている。。

4月2日撮影

5. 哲学の道

「関雪桜」の並木哲学の道
 琵琶湖疎水分線に沿うように若王子~銀閣寺道までの散歩道。
 哲学者西田幾多郎などが思索にふけりながら歩いたということで「哲学の道」と呼ばれている。
 銀閣寺橋の傍で西田幾太郎の歌碑が見られる。
 人は人吾はわれ也とにかくに
     吾行く道を吾は行くなり
 哲学の道の桜並木は、銀閣寺畔に居宅を構えていた橋本関雪が画家として大成した時に、妻よねの提案で、苦しい時代を支えてくれた京都の人々への恩返しに寄贈したもので、大正10年に約300の若木が植樹され、「関雪桜」と呼ばれる桜並木が誕生した。

4月2日撮影

1_12 東寺

東寺は、唯一残る平安京の遺構
 創建からおよそ、千二百年。平成六年に世界遺産として登録された。
 三月中旬には河津桜、四月初旬には「不二桜」と呼ばれる八重紅枝垂れ桜など、約200本の桜が咲き誇る。
 しかし、桜の名所としての知名度は低くカメラマンにとっては穴場のスポットだ。

4月6日撮影

1_13 嵐山 

1.トロッコ保津峡駅

桜とトロッコ列車の絶景ポイント・保津峡駅
 トロッコ列車で最も桜が美しい場所が「保津峡」。
 保津川にかかるつり橋を渡ったところにあるトロッコ保津峡駅は、嵯峨野観光線随一の撮影スポットだ。

 ①府道㊿号線・六丁峠付近

 JR保津峡駅から府道㊿号線を京都方面に3㎞ほどの場所。
トロッコ保津峡駅を通り過ぎて六丁峠への上り坂の途中、ヘアピンカーブが続くあたりに保津峡を一望できる場所がある。
 JR保津峡駅付近まで川がストレートになっている場所で、トロッコ保津峡駅を発着する列車が撮影できる。

六丁峠付近から(4月5日撮影)

 ②トロッコ保津峡駅

 保津川にかかるつり橋を渡り、階段を上がるとトロッコ保津峡駅のホーム。無人駅のため自由に出入りできる。
 反対側のホームに行くための跨線橋があり、その橋の上から桜のトンネルを走るトロッコ列車を撮ることができる。 

六丁峠付近から(4月5日撮影)

2.嵐山の絶景ポイント・渡月橋

 桜の名所として知られる嵐山を水面に映しながら流れる大堰川。
 その大堰川にかかる橋の上空を動いていく月を眺めた亀山上皇が、
   「くまなき月の渡るに似る
と述べたことから「渡月橋」と名付けられたと伝えられている。
 渡月橋の桜は三月下旬から四月上旬に見頃になり、この期間に約1500本の桜が山をピンクに染め美しい景色を作り出す。

4月5日撮影

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