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配当時の準備金積立

剰余金の配当が決定したとき、忘れてならないのが準備金の積立です。
社外に剰余金が流出しすぎてしまうのを抑えるために、準備金の積立が定められています。

ポイントを挙げてみます。

🟧仕訳漏れを防ぐ

問題文には、「準備金も積み立てなさい」などと、わざわざ書いてありません。
うっかり忘れていると、単に、

繰越利益剰余金 ○○ / 未払配当金 ○○

以上……という仕訳で終わってしまいそうです。

「剰余金の配当」と出たら、「準備金も!」とパッと思い浮かぶようにしたいものです。
そのためには、問題集を解いて、しみこませるしかないかなと思います。
間違えたら、テキストに強くマーカーを引いたり、間違いノートを作ってメモしておいたりしましょう。

🟧ややこしい積立額

一番厄介なのは、その積立額です。
何がややこしいのか? 数式ですね。
 
積立額は、
①資本金×1/4-(資本準備金+利益準備金)
②株主配当金×1/10
 いずれか少ないほうの金額
です。

これだけ見ても、いまいちです。
図に示すと以下のとおりです。

仕組みは分かったものの、
「数字、なかなか覚えられない~」
そうとあれば、暗記するしかないでしょう。
 
私が覚えた方法です。
配転(はいてん=配当10)
獅子引く順々(ししひくじゅんじゅん=資4-準準)

🟧どの剰余金から配当される?

一般に、配当が「繰越利益剰余金」からされる出題が多いかと思います。
が、中には「その他資本剰余金」からという場合もあります。

どちらの剰余金から配当されるのかによって、積立対象の準備金も異なります。

繰越利益剰余金 / 未払配当金
           利益準備金

その他資本剰余金 / 未払配当金
            資本準備金

ミックスの場合もあります。
つまり、「繰越利益剰余金からは5,000円を配当、その他資本剰余金からは3,000円配当」といった場合です。
この場合は、配当額を合計し、準備金積立額を求めたうえで、その金額を配当額で按分します。
上の例でいえば、
利益準備金5,000:資本準備金3,000=5:3
の比率になりますので、この割合で積立額を按分します。
もしも、積立すべき金額が400円となったら……、
利益準備金は250円、資本準備金は150円です。

🟧解きほぐしながら仕訳を書く

仕訳を書いてみるとき、以下のような順番で解きます。
<例題>
繰越利益剰余金からの配当10,000円
資本金1,000,000円
資本準備金100,000円
利益準備金100,000円

①配当額を先に書く(貸方)
  / 未払配当金 10,000

②積立額を求める(貸方)
ⓐ配当×1/10=1,000円
ⓑ資本金1,000,000×1/4-(資本準備金100,000円+利益準備金100,000円)=50,000円
ⓐはⒷの金額より小さいため、ⓐ1,000円が積立額
   / 未払配当金  10,000
     利益準備金 1,000

③配当と準備金積立額の合計を剰余金からマイナス(借方)
 (借)繰越利益剰余金 11,000
   /(貸)未払配当金 10,000
    (貸)利益準備金   1,000
 

お読みいただき、ありがとうございます。
少しでも参考になれば幸いです🙂

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