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書物巡礼

「惜夜記(あたらよき)」

高校の国語の先生に教えてもらって出逢えた素晴らしき作家シリーズでもうお一人、川上弘美さん。
その川上さん作品の中で1番最初にハマったのがこの本に収録されている「惜夜記」。
夜の始まりから朝を迎えるまでを2つの物語が交互に紡いでいく、パラレルワールド連作短編集。
主人公らしき人(この人が何者なのか一切手がかり無しに物語が始まり終わってゆく。)が1人で様々な動物と不思議体験をする話と、
主人公と少女のか弱く脆い愛のやりとりが繰り返される話。

ACCの「jungle」という曲で初めて歌詞を描かせてもらったのだけど、平歌の単語の羅列はこの作品の不思議世界を自分なりに言葉に出来ないかなぁとぼんやり意識していました。
あとがきで川上さんが
「自分の書く小説をわたしはひそかに「うそばなし」と呼んでいます。」
「小さいころから「うそ」の国でしばしば遊んできました」
「わたしの作った「うそ」のなかで遊んでみてはくださいませんでしょうか。」
と綴っていて、
私もどちらかといえば自分の「うそ」の国で遊んできたタイプなので「そっか、そうゆう感覚を作品にしていいのか」とちょっとした勇気をもらった次第です。

と、ちょっと話が逸れちゃったけど
ちょっと不思議、が好きな方は是非。
あとこれは勝手な推測だけど
「4. ビッグ・クランチ」は夢十夜の第一夜のオマージュなのかなと考えています。
主人公と少女の不成立な愛のやりとりが終始淡々と哀しいけれど、ある種強烈なリアリティでもあるのかも。

#書物巡礼
#川上弘美
#惜夜記
#本

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