マガジンのカバー画像

みじかいはなし

9
9999文字以内の小説
運営しているクリエイター

2017年4月の記事一覧

〈小説〉非情

   

突然けたたましい非常ベルの音が聞こえ身構えた。

慌てて床から立ち上がり、カーテンを少し開け外の様子を伺ったが、濃い闇に星が幾つか見えただけで、どこかから煙が上がっているわけではなさそうだ。

鼓動が高鳴って胸を触ると、心臓の位置がはっきりとわかった。

振り向いてベッドを見ると、ピクリともせず彼は深い眠りについたままだ。

どこまで無神経で図太い男なんだと呆れるがしかし、それも含めて彼

もっとみる