紙本ときどき電子書籍。
物語が好きである。中毒と言っても過言ではないと思う。本、映画、漫画、果てはロールプレイングゲームに至るまで、そこに物語があるとどうしても続きが知りたくなってしまう。
当然しょっちゅう本を読んでいる。あまり選り好みはせず、借りた本、頂いた本、買った本、兎に角手当たり次第、前書きや後書きに至るまで、文字通り隅から隅まで読んでしまう。因みに読むのは紙の本ばかりで、ほぼ10年ものになるKindle paperを持っていはするのだが、ここ数年は全く出番がなかった。
昨年末のことになるのだが、テレビにてフィリップ・プルマンのライラの冒険三部作より、第二部の「神秘の短剣」がテレビシリーズ化され放映された。第3週の回まで観たあたりで、凝り性の旦那が原作を読んでみたいと言い出し、三部作を丸ごと電子書籍にて購入して読み始めた。ちょうど良い機会だと私も便乗し、薄っすらと埃をかぶって押し入れに眠っていたKindleを引っ張り出して読み始めた。
久しぶりに使用したkindleは、実に使い勝手が悪かった。所有機種が古いこともあるのだろうが、不用意に画面に触れると章飛びをしてしまう。読んでいる章の先頭、又は次の章の頭へ移動してしまうのだ。これはゲンナリする。しかし、最大の難点は、本を遡って前に読んで気になった箇所へ戻ろうとする時だ。
私には本を読んでいる際に何度も前に戻って読みかえす癖がある。「あれ?この人誰だったかなぁ。」という、登場人物の確認であったり、複雑な登場人物名の読み仮名の確認、及び「この地名、前に出てきたよなぁ。」とか、」という状況確認だったり。推理小説を読んでいようが、SFだろうが私小説であろうが恋愛小説であろうが、何を読んでいても前に戻って読み返す。読んだ文章を、一字一句覚えていることが出来るのならば、そんなまどろっこしい事をする必要もないのだろうが、残念なことにそんな高性能な記憶力を持ち合わせていない為、前に戻って確認するしかないのだ。
紙の本の場合は非常に楽である。どのあたりまで戻るかは本の厚みで大体覚えているし、ゆっくりペラペラと本のページをめくっていけば自然と探している箇所が目に飛び込んでくる。ところが電子書籍だとこうはいかない。記述箇所へ戻るのには大体どの章で見たかを検討つけその章の先頭へ行き、後はスクリーン上でスワイプを繰り返して探し出すしかない。もちろん古い機種なのでスワイプ動作から実際にページがされるまでに少し時差がある。確認後元の位置へ戻るのは同様に面倒臭い。先に読み終わった旦那の携帯を借り(彼は携帯上のkindleアプリで読んでいた。)、戻り確認専用機にさせてもらってなんとか凌いだ。「一旦読み上げてから、もう一度最初から読見直せばばいいのに。」と苦笑されたが、それでは気持ち悪い。気になったその時に確認せずにはいられないちょっと困った性分なのだ。
と言うわけで、やっぱり読書は紙の本はいいなぁ。紙の本は当たり前で場所をとるし、しけってふにゃふにゃになるし、小さい白い虫がつくこともあるし。。。まぁ、紙の本にはそれなりに難点はある。だけれども、紙の本に慣れてしまっている私には、電子書籍では微妙に痒いところに手が届かない思いをするのだ。我が家の車はウィンカーが左、ワイパーが右にあり、それに乗り慣れている私は、里帰すると実家の車のウィンカーとワイパー位置が逆転しているのにすぐには馴染めない。乗り始めてしばらくはウィンカーを操作したつもりがワイパーをワサワサさせて「あぁ!!」という思いをする。ようやく慣れてきたと思い気を抜くや、またしてもワイパーをワサワサさせてしまう。私にとっての電子書籍とは、ちょうど実家の車のような存在なんだろうなぁ。