番外 ~ SWEST26 に行ってきた
はじめに
2024/8/29~30 に下呂温泉の水明館で開催された SWEST に行ってきました。その前後、名古屋と石川県にも行ったので、今回は、それを交えての簡単な報告です。
SWEST
SWEST とはそもそも何ぞ?
SWEST とは、組込み系技術者を支援するNPO法人の TOPPERS が開催する、技術系の学生と若手技術者向けのサマーワークショップです。この四半世紀毎年開催されていて、今回は SWEST26 と、26回目の開催。コロナ禍の時期を除き、毎年100人以上が集まって1泊2日での開催。
私は、マイクロソフトで組込み系技術者向けの技術啓発をエバンジェリストとして担当していたので、.NET Micro Framework や、Windows Embedded、Windows CE、Windows IoT、Azure IoT・Digital Twins 等の普及啓発を目的として、マイクロソフト在職中に4回ほど(多分)お邪魔しました。その度、若手技術者の状況の把握、スキルアップを支援するミドル・シニアの皆さんとのコネクションづくりができるだけでなく、とても楽しい時間を過ごすことができていました。ここ数年はずっと下呂温泉の水明館が会場ですが、最初のうちは、浜名湖湖畔のホテルだったようで(私もこの時期1回参加している)、その後、石川県の加賀温泉(これに参加したせいで、後日大きな勘違いをしてしまうのだが…苦笑)でも参加、下呂になってからは2回ほど、講演、ハンズオン、夜のセミナー、協賛展示、など、ずっと、情報提供する側での参加でした。そこでできたコネクション、未だにお付き合いをさせていただいている人大勢です。感謝。
参加のきっかけ
マイクロソフトを2年前に卒業した後も、(水明館に泊まって温泉はいりたいって気持ちも強かった)機会があれば参加したいなと思ってました。
今回、ALGYAN の運営も手伝ってくれていた方に、6月の xtUML Japan の会合で会った際に、SWEST の協賛をお願いされて、協賛&参加することになりました。協賛のお願いを受けた際、
で、1口五万円で、ロゴの掲載や資料配布、営業展示ができるとのことだったので、快諾した次第。
いやしかし、5万円という金額のわりに、協賛企業少ねーなぁ…というのが素直な感想。協賛すると参加費も安くなるのに変なの…というか、ケチだね日本の会社。
前々職時代、普通(?)の技術屋系社員だったけど、自分のスキルアップにつながる活動に必要な予算をあの手この手で調達していたよなぁ…30代で最高1000万円ぐらいの予算も獲得(その時はどうでもいい施策に一部持ってかれてしまった悔しさはあるんだけど)してた。
マイクロソフト時代も、エバンジェリスト(マーケティング系の部署に所属)時代、そして、Azure Developer Product Marketing Manager に一時なったときも、5万円ぐらいの協賛金ならそれほどの手数をかけずに確保していた。その後営業部門系の Technical Specialist になったときも、マーケティング部門にお願いして確保してたんだよね。
5万円なら課長決済で済むんじゃないの?と思ったが、話を聞いてみると、今時はもっと手続きが面倒くさいらしい。手続きにかかる人件費、軽く5万円超えるよねぇ…無駄だなぁ。
まぁ、各社それぞれの事情があるにしても、自社の若手技術者のスキルアップには、日本の将来が明るくなるので、も少しお金をかけた方が良いと思うよ。期初に予算が確定して期中にその予算を変えられない(それも Agility の観点からどうかと思うが)という話も聞いたけど、なら、今年 SWEST に参加した企業の若手技術者は、来年の協賛に向けてジャストタイミングで活動してほしい。自分がやりたいこと(もちろん会社の方針にアラインしていることは必要条件ね)に必要な予算を確保するのも、技術屋さんの必用スキルなので、そちらも若手には磨いてほしい。来年の SWEST では協賛企業がどっと増えることを期待。
参加してみて
やっぱり下呂温泉はいいよねぇ…はさておき、前回参加したのが、多分5年前くらい?なので、展示スペースが、講演ホールに移動しているとか、若干変わっていたけれど、あぁ~こんな感じだったよねという感じでした。それから運営側も随分と知らない顔が増えたなと、も思ったけれど、古くからの知り合いも沢山いて、久しぶりにいろいろと話せたのが嬉しかったですよ。
冒頭のワークショップ的なトピックを交えたアクティビティも良かったし、コマツさんの、KOMTRAX(マイクロソフト時代、若干案件対応的にニアミス)の話も、以前の de:code で紹介されたときより更に進化していて、興味深かった。
たまたま、SWEST に行く週の月曜日に JASA の OpenEL Working Group の会合で、芝浦工業大学の先生から話を聞いて、ディスカッションする機会があり、その先生の研究室から3つのパネル展示があって、より詳しく実際にやっている学生さん達から話を聞くことができるという、正に縁は異なもの味なものという感じ。パネルの展示は、SWEST の立ち位置上、仕方がないのだけれど、HOW に関する話が強く、その HOW の対象とする WHAT は何で、なぜそれが必要で、どう他の HOW より良いのかという WHY が弱かったなという印象。私は優しいから(?)強くはツッコまないけど、いわゆるビジネスモデル系の人たちは容赦なくつっこんでくるので、その辺強化した方が良いと思う。
今回参加の私の目的は、この IoT 定期購読マガジンの紹介(そういぇば、終わった後一人も増えてないな:苦笑)と、”概念モデリング”の普及啓発。
HOW に対する WHAT や WHY の記述には、この概念モデリングが最適なのだけれど、あらためて、概念モデリングを紹介する時の難しさを実感。
たとえば、仏教の布教の場合、
一般庶民向け→念仏やお題目
これさえ唱えれば極楽浄土に行けるよってやつ
インテリ向け→禅 or 出家
そもさんせっぱの世界で答えのない問いに答えが得られたような…
色々と理屈が説かれた経典を元に修行する的な…
更に極めたい人向け→密教
実は即身成仏になる具体的な技術体系があってね…
という段階があって、概念モデリングの場合、1と2すっ飛ばして3なんだよね。今は、ベリサーブさんのサイトから、
【連載】概念モデリングを習得しよう:概念モデリングとは(第1回) | HQW! (veriserve.co.jp)
という連載コラムの公開を始めていますが、これが、1.5 ~ 2.のレベルになるように心がけているんだけれど、相変わらず、南無阿弥陀仏的なレベルの説明ができない状態。これがあると、もっと普及すると思うだけど、永遠の課題です。
他に、夜の懇親会の最後の締めの挨拶をさせていただきました。
久しぶりに、エバンジェリスト的なトークをする機会をいただいて感謝です。自分のアピールをしっかりとし、SWEST 主催者側が言ってほしいことも言って、で、
”遠足は家に帰るまでが遠足ですが、SWEST は帰ってからが本当の SWEST です”
で締めくくりましたとさ。
来年は?
今の予定としては、協賛して、できれば、講演もしたいなと考えてます。SWEST の運営の皆さんよろしくね。
SWEST 前後
さて、SWEST @ 下呂温泉 に参加にあたっては、名古屋→下呂→金沢 と移動しました。それについて書いておこうと思います。
台風には気をもみましたよ…
あの台風10号、最初の予報は、名古屋に移動する日に名古屋直撃だったんだよね…しかし、ありがたい(いや、実際進路が変わって被害を受けた人多数なのでちょっとこれは顰蹙ものの話ですね。申し訳ないです)ことに、名古屋に行く当日は、SWEST 当日に下呂直撃な感じになり、下呂入りしたときは、金沢で直撃される感じになっていたのが、西にそして移動の速さが遅くなっていって、私の旅程は、SWEST 1日目の下呂到着の時はさすがに雨に降られたけれど、他は日が差すぐらいの天気で、交通機関も私の行程では、全く影響なしでした。
名古屋にて
火曜日東海道新幹線の東京↔大阪間が止まっていて、はらはらしたのですが、水曜日は動いていたので、午前中に神奈川から名古屋に移動。
午後、ALGYAN でも超絶お世話になった、Seeed Studio Japan の松岡さんと、トヨタ産業技術記念館を見学してきました。なかなか見ごたえのある展示でした。自動紡績機の発展過程の中で豊田佐吉が発明した機械の数々、凄かったです。
綿花の実から糸をつむぐ機械
糸を使って布を織る機械とその発展形
沢山機械が居並んで、一斉に動く様は圧巻
タオル地を織る機械の工夫
模様を織り込む機械
最新の巨大な織機
つむぐ機械と織機を製造する製造ライン
この中で個人的に興味を引いたのが、模様を織り込む機械。昔のものは、パンチ穴が開いた板で模様を指定するようになっていて、
この穴の位置を変えた板をセットすると、色々な模様が編めるというもの。
きっと、デザイナーがデザインした模様を元に、この板を作っていく技術者がいたんでしょうね。言ってみれば、模様のプログラマーがいたということ。
別の場所に最新の模様織機が動いていて、そちらは、写真を読み込ませると、その画像が模様になった布を織ってくれるという機械。
両者とも、模様を表す布を織るための複数の糸を操作する部分の機械仕掛けの基本は同じはず。しかし、模様の指定方法は随分違う。
ソフトウェア開発でいえば、前者がアセンブラの二モニック記述によるプログラム作成で、後者は、AIを活用した自動プログラミングって感じでしょうか。後者には模様指定のプログラミングに相当する工程は一切必要がなく、それを実現しているのが、
模様を織り込む部分を一般化して、そこを事前にプログラミング
模様指定のためのフォーマット(この場合はカラー画像)向けの API とその実装
という仕組み。これは、”Technique of Transformation”で解説している変換による実装と、まったく同じアイデアなんだよね…などと思いながら見学してました。
紡績機の発明、紡績機の大規模な運用、紡績機製造開発ラインの立ち上げ…とくれば、自動車の製造もできるんじゃないの、と思って始めるのはごく自然なことだったんでしょうね。
最初に製造販売されたトヨタG1型トラック、あのフォルム結構好きw。
初代のクラウンにはバックミラーがない!
本物の 2000 GT 初めて見た!
昔のカローラ、60年近く前に、乗ったな…
なんて思いながら、自動車の方は見てました。
余談ですが、2000GT を見ながら、「これ、平井和正のウルフガイシリーズで乗ってたヤツだよね…」なんて思ったのですが、調べたらブルSSS だった:苦笑。
近々、Seeed の松岡さんがやっている Youtube チャンネルにお邪魔しようと思っているので、その時は、是非、ご視聴くださいまし。
そして、ほぼ視聴数が伸びない、Knowledge & Experience のチャンネルもよろしくね
下呂から金沢へ
下呂での SWEST 二日目の朝に早退して、金沢に向かいました。その日も東海道新幹線は止まっていたのですが、高山線は動いていたので全く移動に問題なし。
鉄道なら、高山線で下呂→富山、新幹線で金沢に行くのが定番らしいのですが、それだと風情が無いので、高山線で下呂→高山、高速バスで、高山→白川郷を経由して金沢入りしました。
下呂から高山に向かう途中、”上呂”という駅があることを発見。一瞬、下があるなら上があってもおかしくないか…と思ったのですが、下呂駅の看板によれば、奈良時代(確か)に下留と書いて”しもどまり”と呼ばれていたのが、”げる”→”げろ”に変化したって書いてあったよなぁ…じゃぁ 上呂っていったい…という謎。
高山に電車でついて高速バスに乗るまで、2時間ほど時間があったので、しばし観光。高山の国分寺跡はなかなか凄いので、行く機会があったら是非。
しかし、飛騨といえば、呪術回戦で有名な両面宿儺なので、どこかに関連する遺跡などないかなと思いましたが、高山駅付近にあるのはサルボボばかり。五平餅を堪能しつつ、158号線、30年以上前に自動車で通過したな…などと感慨に浸りながら、高速バスで金沢に向けて出発進行。
高速バスに乗っているお客さんたちは、私を除いて全部インバウンドじゃないか?って感じでした。
金沢、和倉温泉、穴水、七尾
そして、無事、金沢駅に到着。夜は、ET ロボコン時代からのお付き合いの、ALGYAN やその他イベント等でお世話になった、金沢工業大学の先生と久しぶりの邂逅。楽しい夜でした。
そして、次の土曜日、鉄道利用で、和倉温泉、穴水、七尾に行ってきました。和倉温泉は、14年前ぐらいに、一度学会の集まりでの講演を依頼されて呼ばれて行ったことがあります。宿泊は、あの加賀屋。いいホテルだったなぁ…。
今は、歩道がうねっていたり、壁が落ちて休業しているホテルなどもあり、まだまだ元旦の地震からの復興途中という感じでしたが、皆さん頑張って営業されていました。皆さんも是非行ってみてください。ラジオでは、北陸の皆さんが、沢山観光に来てほしいと願っているとよく放送されているので、皆さんも是非、行ってみてくださいね。今朝の NHK のあさいちでも、是非観光客として来てほしいと言ってましたね。
穴水は、大宮神社に参拝してきました。灯篭等、境内の多くのものが倒壊してしまっていましたが、幸いにも社殿は無事でした。街中では、方々で被災した住宅の取り壊し作業を見かけました。七尾も、ところどころ、傾いた木造家屋があって、8か月たっても、なかなか進まないのね…という感じでした。
輪島や珠洲も昔行ったことがあり、能登半島の先端の洞窟の神秘的な光景や半島先端独特な風景、良いんだよね。行きたかったな。。。
近いうちにまた行こうと思ってます。能登半島の皆さんにエールを!
最後に
以上、こんな感じで、4泊5日の、名古屋→下呂(SWEST)→金沢(能登半島)の旅でした。
北陸の一日も早い復興を祈って、筆をおくことにします。
来週から新シリーズ始めるので、よろしく。
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