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SaG of Modeling for Real World

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"Stones and Gold of Modeling for Real World" 現実世界のデータ化、モデル化、作成したモデルのソフトウェアへの実装に関する、ありとあらゆ…
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#概念モデリング

12. 現象学 ~ 再び

はじめに”3. モデリングとは ~ 現象学からの考察”において、フッサールの現象学を元に、概念モデリングの基礎付けを考察しました。哲学的な観点からは、フッサールの現象学の他に、ウィットゲンシュタインの言語哲学、及び、マルクスガブリエルの新実存主義からも考察を行ってきたわけですが、ちょっと時代をさかのぼった、ヘーゲルの”精神現象学”について調べてみました。 今回は、 ヘーゲル『精神現象学』入門 長谷川 宏著 講談社選書メチエ を参考にしました。同じ著者が「精神現象学」その

11. ”世界は存在しない”が”意味の場”は多数存在する ~ 概念モデリング基礎付けの最後のピースを埋める

はじめに前回の予告通り、今回は、マルクス・ガブリエルの”新実存主義”の論考をベースにした、概念モデリングの”ドメイン”に関する考察を紹介します。 参考にした書籍今回の記事で参考にした書籍は以下の通り。どんな書籍か簡単な紹介を加えて紹介しますね。 新実存主義 マルクス・ガブリエル 岩波新書 新実存主義に関して、最初にマルクス・ガブリエルの論考があり、そのあとの3章で、チャールズ・テイラー、ジョスラン・ブノワ、アンドレーア・ケルンの3人による論朴があり、最後に、3人への論朴

10. 概念モデリングに関係しそうな最近の哲学トピック

はじめにこのコラムシリーズでは、過去、フッサール(1859~1938)やフレーゲ(1848~1925)、ラッセル(1872~1970)、ウィットゲンシュタイン(1889~1951)などの論考を取り上げてきました。しかし、どれも戦前戦後の論考でちょっと古い。今回は関連する書籍も含め、戦後~現代にいたる論考を調べて、”Art of Conceptual Modeling”の再考、定義付けの参考にした結果をまとめてみます。 哲学の論考を理解するには、数多くの哲学者の主張をある程度知

9. クリティカルシンキング ~ 理学やシステム開発では当たり前?だけど、社会学だと難しいらしい

はじめに今回は、クリティカルシンキングを取り上げます。ビジネス系の啓発系本では、何かと、○○シンキング(思考)という言葉が多いですね。なんとなく言葉と概要を知っていた、クリティカルシンキングについて、今回は、これまでのこのマガジンの流れで調べてきた圏論や言語哲学、概念モデリングなどの観点から、深堀していきます。 参考にした書籍今回の記事を書くにあたり、以下の4冊を参考にしました。 丹治信春著「実践!クリティカル・シンキング」 Joel Best 著、飯嶋貴子訳「Thi

8. 概念モデルの言語論理学からの考察 ~ Frege、Russel、Wittgenstein

はじめにこのコラム集の、”3. モデリングとは ~ 現象学からの考察”では、”Art of Conceptual Modeling”で解説している概念モデリングの妥当性について、哲学的な観点からの考察の一貫として、フッサールの現象学の観点からの考察を解説しました。個人的には十分な考察が出来たかなと自画自賛しているのですが、モデリングの役割を考えると、言語や論理学からの考察を加えると、更に考察に厚みが加わるだろうと考えています。 と、いうことで、今回は、現代論理学の基礎になっ

7. 現実世界のダイナミクスと概念振舞モデルに関する考察

はじめに”5. 概念モデリングに関する圏論的考察 ‐ 議論のとっかかりとして” では、数学の圏論の観点から、概念モデルについて考察してみました。読み返すと、概念情報モデルについては、まぁ十分と言える考察になっているかなと自画自賛ですが、振舞のモデルについてはかなり曖昧なままに思えます。 どこが曖昧かというと、現実世界のダイナミクスを、”概念クラス”に紐づいた”状態モデル”と”状態モデル”の”状態”に紐づいた”アクション”で記述する事の妥当性が語られていないという点です。暴露す

5. 概念モデリングに関する圏論的考察 ‐ 議論のとっかかりとして

はじめに今回は、このマガジンの前の記事や、xtUML 研究会や、ALGAN のイベントで、ちょろっとずつ言及している、概念モデリングへの圏論の適用に関する、途中報告的な記事です。 ※ ”圏論(Category Theory)とは”のセクションは、半端な理解の上での中途半端な記述なので、読み飛ばし、最後まで読んでから、戻るという読み方がいいかもしれません。 出発点圏論(英語では Category Theory)というのは、数学の一分野です。それも相当なレベルの基礎数学の分野。

3. モデリングとは ~ 現象学からの考察

はじめに今回は、”Art of Conceptual Modeling”で紹介している概念モデリングに対して現象学からの考察を書いてみようと思います。 背景最近、方々で言って回っているように、今、私は、Open AI を使った概念モデルの自動生成サービスの開発に着手(8割がた言ってるだけですが:苦笑)しようとしていて、まずはその前に、”Art of Conceptual Modeling” の数学的な基礎を整理しようとして、圏論(Category Theory)の習得に努め

1. Chat GPT は 概念モデリングの夢をみるか

はじめにさて、第一回目は、こんなタイトルで始めます。 はい、そうです、すいません。タイトルは 、あの有名な”Do Androids Dream of Electric Sheep?”のパクリです、ごめんなさい。 それにしても…ブレードランナーの第一作目は衝撃的だったなぁ… そして、今時の流行りにちゃっかり乗っちゃってます、はい。 これから書く内容は、2023/4/22 に、ソフト開発軽量化技術検討会で行ったライトニングトークで話した内容を元に最近思っている事をまとめたもので