20代後半になって、歴史が面白く感じるようになった

学校で習っているときは、どこか他人事だったのだ。遠い世界の、僕たちとは見た目も、価値観も、社会システムも、何もかも違う人たちによる、とんでもなく愚かでバカバカしい営みだと思っていた。「戦争なんか、なんでやるん? アホちゃうん?」「神が存在するって、本気で思ってるん?」といった具合だ。

でも、現代人も、思っていたよりも合理的でないということに気づいてから、歴史の登場人物たちも、自分と同じ人間だと思えるようになる。短期的な利益のために行動し、恐怖に惑わされ、デマと迷信を信じ、多数派に従い、とんでもない衆愚行動をとる…いまの僕たちと何も変わらない。

そう思うと、空虚な事実の羅列だと思っていた歴史が、血の通った生き生きとしたストーリーへと変わっていく。文章の上から、当時の人々の姿や考え、苦悩、喜びがありありと伝わってくるようになるのだ。

20代も終盤に差しかかろうとする今、改めて振り返ると、10代とか20代前半の頃って、自分のことを合理的で賢い人間だと思いがちな時期だったと思う(自分のことだけではなく、自分の周囲を観察した感想だ)。そのパラダイムに立っているうちは、歴史が面白いわけがない。だって、バカな人たちがバカなことをしているだけなら、何の感情移入もできないからだ。

もちろん、30代でも、その考えに至らない人もいるし、逆に10代でも至っている人はいる。でも、ともかくこの文章を読んで共感してくれる人なら、歴史の本を楽しめるのではないかと思う。

そんなことを、この本を読みながら考えていた1日だった。朝、今日も寝坊してしまった。

1回でもサポートしてくれれば「ホモ・ネーモはワシが育てた」って言っていいよ!