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ChatGPTは池上彰の仕事を代替する

AIは仕事を奪わない論者の僕だが、別にテクノフォビアではない。ということで、ブームに乗っかってChatGPTで少しだけ遊んでみた。

とりあえず質問したら、AIが答えてくれるらしい。AIの返答は基本的に膨大な情報をインプットしてきて統計的にそれっぽいものを出してくるだけなので、何か質問してもおそらく一般論が返ってくるはずであり、独自の見解なんてものは持ちようがないだろう。また、質問の意図を正しく捉えて、適切な返答をしてくれるかどうかも疑問は残る。

とは言っても、ネット上に情報ソースは膨大にあるため、そんじょそこらの一般論よりも洗練された一般論を吐き出してくれる可能性もある。

期待と不安が入り混じる中、思いついたままに質問してみた。


Q.国によって賃金の格差があるのはなぜ?

賃金の格差は、国の経済発展、産業の構造、教育水準、法律制度、政治的状況など、さまざまな要因によって引き起こされます。以下に具体的な理由を示します。

1.経済発展のレベル:経済発展レベルが高い国ほど、一般的に賃金が高い傾向があります。高い賃金には、高い生産性、消費者ニーズの高い多様な市場、技術的進歩を促進する大学や研究機関など、経済的な基盤が必要です。

2.産業構造:産業構造が異なる国では、賃金格差が生まれます。例えば、工業進んでいる国では、製造業や建設業などの産業で高い賃金が支払われるため、農業やサービス業など他の産業と比較して賃金が低くなる傾向があります。

3.教育レベル:教育レベルが高い人々の賃金は一般的に高い傾向があります。これは、教育によって、より高度なスキルや技能を習得することができるため、より高い賃金を得ることができるからです。

4.法律制度:法律は、労働者保護のレベル、福利厚生、雇用形態、労働時間、労働条件などに影響を与えます。法律が労働者保護に厳しい国では、労働者の権利が守られ、賃金も高くなる可能性があります。

5.政治情勢:政治情勢が安定している国では、国内外からの投資が増え、経済発展が促進されやすく、賃金水準も高くなる傾向があります。一方、政治情勢が不安定な国では、投資や企業進出が制限され、賃金格差が引き起こされる可能性があります。

ふむふむ。一般論だが、悪くない。

できるコンサルみたいな感じで、1〜5の要因に分けてわかりやすく説明してくれているし、それぞれの分類もそれなりにMECE感がある。2番なんかは多少ロジックが怪しいが、許容範囲だろう。

僕が経済学部の教授だったとすれば、ChatGPTには「優」くらいはつけられそうだ。

ただまぁ、これはありがちな質問なので、2、3個それっぽい論文を引っ張ってきて、足して割るような自然言語処理すれば作れる文章だろう。まだ、これだけでは、 GPTの実力は測りかねる。

続けて質問してみよう。


Q. 現代に奴隷制は残っている?

奴隷制は法的にはすべての国で禁止されていますが、現代においても奴隷制度に近い状態が存在しています。例えば、人身売買や強制労働、債務奴隷制度、人間の身体などを取引する人身売買、性的搾取や強制結婚など、様々な形態で奴隷制に近い状況が生じています。

多くの場合、貧困や社会的弱者、差別、政治的不安定さなどが、奴隷制に近い状況を引き起こす原因となっています。奴隷制の撤廃に向けた国際的な取り組みも続けられていますが、依然として世界中で多くの人々が奴隷制に苦しんでいる実態があるため、国際社会全体での取り組みが求められています。

流れるような説明。さながら、池上彰だ。

法律と実態の乖離から、その要因。改善に向けた現在の取り組みと今後の展望。これは「秀」をつけていいレベルだと思う。

ただ、これもまだまだ直球だった。

次はもう少し踏み込んだ質問をしてみよう。一般論で片付けるのが難しい質問だ。


Q. 労働者のアソシエーションではなく、企業間のアソシエーションによって、労働時間削減や過当競争抑制を進める方法は?

企業間のアソシエーションによって、労働時間の削減や過当競争を抑制するための方法としては、以下のようなものが挙げられます。

1. 産業の自主規制:企業が自主的に定めたルールに従って、生産量の調整や販売の調整を行うことで、製品の価格競争を抑制し、過剰な生産を避けることができます。

2. 標準テクノロジーの採用:企業間で標準テクノロジーを採用することで、各企業が独自に技術開発競争を行わなくて済み、時間や資源を効率的に使うことができます。

3. 共同投資:企業間で共同投資することで、生産費用の削減や効率化を進めることができます。この場合、参加する企業は一定のルールに従って協調して活動する必要があります。

4. 統制型団体交渉:企業間で賃金や労働時間の調整を目的とした統制型団体交渉を行うことで、競合企業間で賃金や労働環境が悪化することを防ぐことができます。ただし、この場合、企業と労働者の関係、および法的な制約に配慮する必要があります。

これらの方法は、企業間の協力に基づいて、競争を抑制することができます。ただし、各企業の利益を考える立場から、協力することが難しい場合もある点に留意する必要があります。

これは正直ビックリした。おそらく僕のような質問をする人は少ないだろうし、ネット上の情報も少ない。的外れな返答が来るだろうと予想していたが、割と的確な返答が返ってきた。

結構、質の高い文章を読み込んでいるのではないだろうか。

ナメてた。ナメてたついでにもう1問。


Q. ユニバーサルベーシックインカムによって環境問題の解決は可能か?

ユニバーサルベーシックインカム(UBI)によって、一部の環境問題の解決が可能とされています。UBIは、すべての人に一定額の収入が保証されることで、貧困や社会不平等の問題を解決することができます。これによって、貧困に立ち向かう必要のある人々が減少し、資源の利用においても、より持続可能な方向へ向かうことができます。

具体的には、以下のような環境問題において、UBIが解決する可能性があります。

1. 新エネルギー技術への投資:UBIによって、市民の収入が増加することで、より多くの人々が新エネルギー技術へ投資することが可能になり、エネルギーの持続可能性向上につながる可能性があります。

2. 持続可能な消費の促進:UBIを導入することで、人々が自分たちが実際に必要な物やサービスを選択し、消費を制御することができるようになるため、環境に配慮した持続可能な消費が促進される可能性があります。

3. 環境に配慮した農業の発展:UBIによって、農業の仕事を希望する人々が安定して働けるようになるため、より多くの人が環境に配慮した農業に興味を持つ可能性があります。

UBIによって貧困を解決し、社会の安定を促進することで、環境問題に取り組むための社会的な資源が拡大する可能性があります。ただし、UBIだけで環境問題を解決することはできず、科学的技術革新や持続可能なライフスタイルの普及など、別の環境保全対策も必要だとされています。

これもなかなかすごい。BIと環境問題を結びつける議論はそこまで多くはないため、ある程度、論理を飛躍させて接続する必要がある。それでも鮮やかに飛躍を遂げていて、説得力もある。

これはそういう論点の論文がどこかに転がっていたのだろうか? 恐らくそうだが、よく見つけてきたと思う。

次はかなり意地悪な質問をしてみよう。


Q. イスラム商人や中世ヨーロッパのギルド、近江商人はそれぞれ独自の経済システムを作り上げたが、それらはポスト資本主義の道標になるか?

イスラム商人、中世ヨーロッパのギルド、そして近江商人は、それぞれ独自の経済システムを作り上げ、成功した経験を持っています。しかし、これらの経験がポスト資本主義の道標に直接的になるかどうかは、議論の余地があります。

それぞれの経済システムが特殊な条件から生まれており、現代の社会や経済システムが異なるため、直接的な類似点を見出すのは難しいとされています。

一方で、これらの経験は、利益追求主義に囚われない、社会的価値や倫理的原則に重点を置いた経済システムを擁護し、適用することができるという示唆を示しています。ポスト資本主義においても、利益追求に重点を置かず、社会的価値を重視するという考え方が取り入れられる可能性があります。

また、イスラム商人や中世ヨーロッパのギルドなど、これらの組織が自己維持機能を持っており、商業活動は自己調整されていたように、分権的でコミュニティ主義的な特徴があります。これらの特徴も、ポスト資本主義の経済システムの設計に役立つかもしれません。

そのため、これらの経験や特徴がポスト資本主義の道標として直接的になるかどうかは未知数であり、今後の議論や検証が必要です。

いや、池上彰かよ。

「いい質問ですね」と冒頭につければ、池上彰AIになりそうだ。膨大な情報を整理して、わかりやすく体系立てて説明してくれる人といえば、池上彰なわけだが、ChatGPTは、明らかに池上彰の代替になり得る。

なかなか難しい質問をしたわけだが、その難しさを一旦受け止めながら、それでもなお類似点を取り出してきて、結論めいたものを導き出している。

正直、そんじょそこらの人間よりも、知識があるのは当然だが、国語力も、記述力もある。質の悪いAIみたいな文章を書く人は少なくないが、そういう人たちよりもはるかに質の高い文章を書いている。

一方で、あくまで「それっぽい回答」を越えた考察はない。どこかで聞いたような話を仕立て上げているだけにすぎず、思想を立ち上げることはできなさそうだ。

実際、次の質問への回答は微妙なところだ。


Q.余暇の追及を至上目的とする新しい宗教を立ち上げたいが、どうすれば良いか?

まず、新しい宗教を立ち上げるためには、明確な象徴、信条、教えを持った教団が必要です。余暇の追及を至上目的とするという方向性を追求するためには、余暇の活動に関する具体的なガイドラインや、実践に向けたツールやリソースなどについても考慮する必要があります。

次に、宗教的な共同体を築くことが必要です。集会やイベントなどを主催し、個々の信徒の人生に対するアドバイスや支援を通じて、共感や親近感を深めることができます。

その後、宣伝や広報を通じて、新しい宗教団体が存在することを周知する必要があります。また、当初は少数の信徒から始め、着実に信徒が増えていくように、周囲の社会的・文化的・倫理的な価値観を意識したプロモーション活動を行うことも重要です。

最後に、社会に対して精神的な助けや情報提供などを行い、人々の生活に役立つような業務拡大を目指すとともに、人々の生活に影響を与えるような擁護活動を行うことも大切です。

以上のように、新しい宗教を立ち上げるためには、具体的な教え、ガイドライン、ガイドブック、リソースを提供し、理解を深めることが必要です。また、信徒や支援者を大切にし、宣伝や広報活動を円滑に行い、余暇の追及を至上の価値とする新しい宗教集団を構築することが不可欠です。

余暇の追及という部分は完全にスルーされて、宗教の立ち上げ方にだけフォーカスされている。特殊性が強すぎる要素は避ける。まるで頻度の少ない問題を捨てにかかる受験生だ。


Q. 余暇の追求によって資本主義の問題を乗り越えようとする宗教は、どのような思想体系を構築すべきか?

余暇の追及によって資本主義の問題を乗り越えようとする宗教には、以下のような思想体系が構築される可能性があります。

- 持続可能な生活:資本主義社会が抱える環境問題や不平等などの問題を解決するためには、地球規模での持続可能な生活を実現する必要があります。そのため、余暇の追求によって、消費主義社会から脱却し、自然や人々との共生を大切にする生活を提唱することが考えられます。

- 社会正義:資本主義社会では、富の少数への集中や労働者の搾取といった問題が顕著です。余暇の追求によって得られる「自由な時間」は、社会的・倫理的な価値の追求や、社会正義のための活動に使われるべきだと考えられます。

- 精神的充足:資本主義社会では、物質的な豊かさが追求されがちですが、精神的な充足や幸福はあまり追求されていません。余暇の追求によって人々が精神的に充実することができれば、社会全体が幸福という成果を得ることができます。

- コミュニティ:余暇の追求は、人々が自分たちの興味や趣味に合わせた集いを持つことも可能にします。そのため、地域や共通の趣味を持つ人々とコミュニティを形成し、お互いに助け合い、支え合うことができるような組織を築くことが考えられます。

以上のように、余暇の追求によって資本主義の問題を乗り越える新しい宗教には、持続可能な生活、社会正義、精神的充足、コミュニティといった価値観が組み込まれることが期待されます。

まぁ、そうだろうな‥という感じだ。

世間話をするのは悪くないものの、朝まで飲み明かしたい相手ではない。


Q. ヘイSiri。ONE PIECEの正体を教えて。

申し訳ありませんが、ONE PIECEは漫画、アニメシリーズであり、物語上のフィクションであるため、その正体について回答することはできません。

いずれにせよ、賢く使ってやる必要がありそうだ。

1回でもサポートしてくれれば「ホモ・ネーモはワシが育てた」って言っていいよ!