人材業界の陰謀

‥なんてタイトルで書き始めると、馬鹿だと思われてしまうかもしれない。しかし僕は馬鹿ではない。実際に陰謀なんて存在しないであろうことは理解しているからだ。

しかし僕にはどうしても、以下の考えを振り払うことができないのだ。就職活動や採用活動を、恐ろしく手間がかかり複雑なものへと変えながら、人と企業の適切なマッチングが起きる可能性を全く高めないように、誰かが陰謀を働いたのではないか、という考えを。

ここ10年の動きをみれば、そう思ってしまうのは仕方ないのではないだろうか。就職ナビの種類も増え、スパムの如くスカウトメールが飛び交い、エージェントも増え、インターンシップもみんながやり始め、大規模な説明会が開かれるようになり、リファラル採用とかSNS採用とか色んな「画期的」な採用手法が雨後の筍のように登場した。気づけば、人材業界の市場規模は2倍になった。

おかげさまで、仕事を探すのも、人を採用するのも、恐ろしく手間がかかり複雑なものになった。じゃあ、それだけの苦労をした結果、私たち日本人が手に入れたものはなんなのだろうか?

全体として人々は、自分の能力に合った仕事や、心から楽しめる仕事に出会えただろうか? ならば、日本人の仕事への満足度は高まり、幸福度や平均年収は高まっていると考えるのが自然だが、どうだろうか?

全体として企業は、より自社の文化にマッチするような人材や、成長を後押しするような人材を雇用することができただろうか? ならば、日本の離職率は減り、華々しい経済成長を実現しているはずだが、どうだろうか?

僕がなにを言いたいかというと、そんな事実はないということだ。つまり、人材業界は全体として、企業からお金を巻き上げるだけ巻き上げて、採用や仕事探しを複雑なものにする以外に、なんの役にも立っていないということだ。そんな業界が平気な顔して存在しているという事実に、僕は驚かずにはいられない。でも、もっと驚くべき事実は、それに対して抗議の声をあげる人が誰もいないということだ。

そんなことを考えている朝。今日はその業界で仕事をする日だ。

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