車輪を再発明しよう

僕は我流セルフカット歴が約10年にもなるが、今日に至るまでの僕はセルフカット素人だったと、今なら思う。今日、髪の毛を切っているときに、ようやく髪と頭の構造を理解し、最適なカット方法にたどり着いたという確信の瞬間があった。いわばセルフカット素人から解脱したのだ。

試行錯誤の末にたどり着いた動き、それは僕の記憶の中にある美容師のハサミ捌きとほぼ同じ動きだった。もちろん、精度やスピードは劣るだろうが、我流を貫き通した末にプロたちが確立した手法に到達したことは感慨深いものがある。

明らかに僕は効率が悪いことをしている。YouTubeでセルフカットの参考動画を観るなり、ネットで調べるなりすれば、美容師のカット方法を知ることもできるだろうし、それの完コピに集中すれば10年もの時間がかかることはなかっただろう。

プログラマーなら、「車輪の再発明」と馬鹿にするかもしれない。だが僕は車輪を再発明するのが好きなのだ。

「やめときなはれ」「こうした方がいいよ」と言われても、とりあえず自分で一回やってみる。自分で確信したことでなければ、その道のプロが薦めることも信じない。そういうスタンスで生きてきた。

そのおかげで僕は、「厚着すると寒くない」ということに20歳になるまで気づかなかった。「表面積の問題だろう?」という直感を貫き通してペラペラのジャージしか着なかったのが、ある日分厚いジャンパーを着て感動した。「本当に厚着するとあったかいんだ!」と。

思えば子どもってそんな感じだ。大人はあれこれ予測して助言を与えるが、子どもは無視して一回試す。で、納得してようやく学習する。

大人と同じ結論に至ることもあれば、大人とは全く違うソリューションを見つけ出すこともある。

本当の学習って、きっとこういうことなのだと思う。車輪を再発明することになっても、車輪とは全く違う方法を編み出しても、ともかく自分でやってみるのが一番楽しい。

今はゲームをするにも最も効率の良い方法をググる人が増えたように見える。なんか嫌だ。非効率でも自分で考えたいね、僕は。

1回でもサポートしてくれれば「ホモ・ネーモはワシが育てた」って言っていいよ!