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責任を取るのは、いつだって下っ端なのさ

大手企業は責任を逃れて何もしない。中小企業がなんとかして、日本経済は成り立っている。

僕が取材したとある中小企業のおっさん

「責任」という言葉の意味を分かっている人は少ない。

スーツを着てネクタイを締めて物々しい顔で頭を下げれば、責任を取ったことになると思っている人が多いが、この認識は間違っている。

あるいは、キリッとした顔で下っ端にあれこれと指示を出せば、責任を取ったことになると思っている人もいるが、この認識も間違っている。

責任を取るのは、いつだって下っ端なのだ。「責任を取る」とは「自分の手足を動かし、なんとかすること」と、僕は定義している。

結局こいつら、何もしないんだよね。

権力者によって命令されたプランは、いつも現実と乖離している。事前に取り決めたルールや役割が、現実の中では収まりがつかないことが多い。そしてトラブルが起きれば現実と帳尻を合わせるために、あれこれと下っ端が右往左往することになる。

もちろんその間、権力者は下っ端に指示を出して、下っ端を混乱させるという仕事を怠ることはない。輪をかけて混乱させられる中、なんとか下っ端がプランを形にしていく一方で、権力者は「自分のマネジメントによって下っ端の働きを調和させ、このプロジェクトを成功に導いている」という満足感を得る。

権力を持っているということは、基本的に何もしないということだ(権力とは誰かをこき使う能力のことを意味するので、当たり前といえば当たり前だ)。

大手企業は中小企業よりも権力を持っていて、下請けに丸投げして利益だけをかっさらう。上司は部下よりも権力を持っていて、成果を自分のものにして高い給料を得る。

「大阪城を建てた人は誰?」「答:大工さん」

出典不明

豊臣秀吉は「城、建ててよ」と一言発しただけに過ぎない。設計図も書いていないし、鉋がけすらしていない。それなのに、大阪城を建てるという仕事の成果をかっさらう。

渋沢栄一が500社も会社を立ち上げたという風潮も、まさしく成果だけをかっさらっていた実例だろう。現実的に考えて、500社の立ち上げにフルコミットするなんて不可能ということは、バカでもわかる。「こんな会社…作ってみたらいいんじゃな~い?」と一言発しただけで渋沢栄一の手柄になっている会社は497社くらいあるんじゃないだろうか。

見つめ続けていると、だんだん腹が立ってくる顔だ。

その陰で、ビジネスをなんとか形にすべく試行錯誤した名も無き下っ端たちが無数にいる。この人たちが報われたのか、そうでないのか、僕にはわからない。

個人的な話。昨日、仕事でちょっとしたトラブルが起きた。クライアントの権力者に振り回されて、僕とデザイナーが試行錯誤している中、自社の権力者たちが事情も知らないくせあれこれ口出ししてきて、「俺がコントロールしている」というアピールをして現場を引っ掻き回された。適当に生きていきたいと思っていても、僕は割と責任感が強くてね。自分の手でなんとかやってしまおうと思っちゃうのだよね。僕は権力者には向いていないようだ。

僕はね、この人生というゲームを心底愛しているんだよ。だから、どこまでもプレイヤーとして参加し続けたい

  アニメ『PSYCHO-PASS』第17話「鉄の腸」 槙島聖護のセリフ
ありがとう槙島。大好きだ槙島。

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