NEETの再定義
ニートとは、Not in Education, Employment or Training(就学、就労せず、職業訓練を受けていない)という、なんともネガティブな単語の羅列の略称である。Notから始まるあたりが、否定的なニュアンスを醸し出している。
ところが否定している場合ではない。教育や労働の大半がいまや不毛な椅子取りゲームと化している(数少ないエッセンシャルな労働は椅子取りゲームのしわ寄せを受けて疲弊している)。労働の大半は自分も不快にし、あろうことか他人をも不快にする行為と化しつつあるわけだ。少なくとも自分だけはやりたいことをやり、楽しく過ごすニートはいま、誇るべき存在であり、時代の先駆者である。
そのため僕はニートの社会的地位を向上すべきであると常々主張している。
さてそこで、NEETという言葉をもっとカッコよく定義し直してみようと思う。以前僕はニートという言葉を「余暇に専念する者」と再定義している。
が、今回はもとの英語の方からアプローチしてみようと思う。つまり、NEETという頭文字にカッコよく英語を当てはめて、ニートに新しい光を当てたいのだ。
■候補1
先頭の「NE」をNew Eraとするのは、かなり気に入っている。新時代である。これ以上にワクワクする単語は滅多にない。
また、Essentialもいい。世間ではエッセンシャルといえば、農家や看護師、トラックドライバーといったエッセンシャルワークをイメージするようになった。この、コテコテの労働イメージがこべりついた言葉に、あえて労働しない存在であるニートを被せることで、逆説的に、ニートという生き様が新時代に求められていることを訴えかけてくれるのだ。
■候補2
この単語だけを見れば、ハーバードを卒業したあとバイオベンチャーを起業し、ベンチャーキャピタルから資金調達をしたあとIPOをかましてバイアウトするタイプの人間を思い浮かべてしまう。しかし、そのイメージの真逆であるニートに、こうしたイメージを被せることで、価値観を転倒することができる。
とはいえ、ちょっとやりすぎ感は否めない。Transformation(変革)は悪くないが、アントプレナーはちょっとやりすぎか‥。
■候補3
再び新時代を採用しつつ、ニートを啓蒙者であり、超越者と定義している。ニートの生き様は啓蒙的であることもあるが、超越的である場合もある。「いやもう悟っちゃってますやん」というニートは、誰も真似できない超越者である。みんなで労働を辞めようとする前者と、1人ニート道を極めようとする後者の違いは、大乗アンチワークと小乗アンチワークの違いに近いのかもしれない。
■候補4
個人的に、これが1番気に入っている。意味的にもいいし、なんといっても発音すると気持ちがいい。
口に出してみると、この気持ちよさが理解できるはずである。
リピートアフターミー。
ノーマッズ オブ ジ エラ エンボディーング ザ トゥルース
「ス」は「th」の発音でもう一度。
ノーマッズ オブ ジ エラ エンボディーング ザ トゥルーth
「the」を「ジ」と読むと、その英文のおしゃれレベルが一段階進化するし、発音する際のテンションもグッと跳ね上がる。
ノマド(放浪者)という単語も、手垢がつきまくっているものの、依然として僕たちの厨二心をくすぐり続ける単語である。
Embodyingもいい。絶妙に英語非ネイティブに馴染みのない単語が1つ入ることによって、なんか意味わからんが、すごいこと言ってそう感も出る。
総じて、カッコ良さの黄金比が成立している、素晴らしい英文である。
さて、これを読んでいるニート諸君は「いま(仕事)なにしてんの?」という質問に恐れ慄いているだろうが、これから堂々と答えれば良い。こんなふうに。
もはやあなたは時代の放浪者であり、真実の体現者である。説教されることも、憐れみを向けられることも、腫れ物に触るようなヨソヨソしい扱いを受けることもない。
胸を張って、ニートライフを楽しもう。
※ちなみに僕は英語が大の苦手である。この英語が、ネイティブにどういったニュアンスで受け止められるのか、まったくわからない。英語に自信ニキはぜひ添削してほしい。
※そして、労働とニートの関係を知り、真実を体現するための必読書はこちら。
1回でもサポートしてくれれば「ホモ・ネーモはワシが育てた」って言っていいよ!