見出し画像

大変さマウント合戦を終わらせにきた

子育てはナメられがちな仕事だ。

僕はいま、ちょっとだけ仕事を休んで家にいるわけだが、「家にいたら暇ちゃう? 何するん?」と言われることが多い。

まるで、1人暮らしの若い男が、皿洗いを効率化するかのように、テキパキやれば1時間くらいで終わるような仕事だと思われがちである。

今の僕は、家事をほぼ全て僕が担当していて、子どもの面倒も見ているわけだが、家族3人分の掃除・炊事・洗濯・買い物よりも、子どもを風呂に入れたり、歯を磨いたり、ご飯を食べてもらう方が大変だと感じる。

ご飯をこぼさず食べてもらうことや、トイレにいくこと、着替えること、風呂に入ること、これらの行為がどれだけ難しいか。自分が3回歯を磨いたら、子どもが1回歯を磨いたことになればいいのに…といつも思う。

当たり前だが、人を相手にする仕事は、物を相手にする仕事よりも大変なのだ。

子ども1人を相手にするくらいなら、独身男性3人分の家政婦をやる方が楽なんじゃないかと思うくらいだ。独身男性3人分の家事は、どれだけ丁寧にやってもせいぜいトータル3~4時間もあれば十分だろうが、子どもの相手は永遠なのだ。

もちろん、楽しいことも多いけれど、楽しいだけじゃない。

専業主婦は甘え。いやいや、育児は大変。もっと効率化できる。子どもの年齢による。お前の仕事なんて大したことない。

人類がこの手の議論に費やした時間を総動員すれば、家政婦ロボットの1つや2つくらい発明できたのではないかと思う。

それくらい大変さマウント合戦は、人気の競技だ。

僕だってこの手のテーマについては一家言持っている。なんてったって育休を1年間取得して、子育てをした経験もあるのだし。

そもそも大人が日がな一日取り組んでいる仕事はたいてい「誰かを納得させること」だったりする。プレゼンしたり、営業したり、書類を書いて出したり、手続きをしたり、クレーム処理したり…。いわば大きな赤ちゃんを納得させることに、全神経を注いでいるわけだ。

大人の場合は、まれに理屈が通じることもある。通じないことがほとんどだが、「理屈に合わないワガママをいうことはよくないことだ」という前提は少なからず通底している(もちろんこのことは、理屈に合わないワガママをいう大人がいないことを意味しない)。

一方で、子どもはそんなことを気にしない。さっきまではりんごが食べたいと言っておきながら、リンゴを剥いた途端におにぎりを食べたいと言い出したりする。

可愛くなければ、モンスタークレーマーだ。可愛いからいいんだけどね。

まぁ、これを読んでも「いや、育児の方が楽だ」「育児は効率化できる」という反論が思い浮かぶ人は多いだろう。しかし、その事実こそが、「人を納得させることは難しい=子どもを納得させるのは難しい」ことの証明になるのだ。

つまり、育児は大変だ。証明完了。


1回でもサポートしてくれれば「ホモ・ネーモはワシが育てた」って言っていいよ!