ベーシックインカムを導入したらどうなるかはわからないけど、大いに失敗したとしても今よりクソな社会になるとは思えない。

お金がないせいで、収入を失うことを恐れるせいで、多くの人は苦役に服し、屈辱を味わい、犯罪に手を染め、人を傷つけ、自殺する。ベーシックインカムにより労働と生活が切り離されれば、これらの現象が全くなくなるわけではないものの、ほとんど消え失せるはずだ。

こんなに素晴らしいことはない。食べ物がなくて苦しむ子供がいなくなる。ワーキングプアのシングルマザーもいなくなる。電車に飛び込むサラリーマンもいなくなる。ブラック企業で苦しむ社畜もいなくなる。生活のために夫からのDVに耐える健気な母親もいなくなる。生殺与奪を握る上司に忖度して不祥事を起こす中高年もいなくなる。凍死寸前のホームレスもいなくなる。不労所得を得たいがために胡散臭い自己啓発セミナーに騙され借金を背負う意識高い系もいなくなる。刑務所ならご飯が出てくるという理由で傷害事件を起こす高齢者もいなくなる。失業することへの不安がなくなる。メリットは、挙げていけばキリがない。

財源のこととか、「みんなが働かなくなって大変」とか、不安要素はないことはない。だが、先ほど挙げた未来はその不安を補ってあまりあるくらい魅力的だ。ユートピアの可能性を信じて、日本全体で大博打を打つだけの価値があるのではないかと思う。

これ、真面目にそう思う。きっとうまく行くと思う。なんでみんな、ベーシックインカムに反対するんだろうか?

恐らく、働かざる者食うべからず的な主義と、人は本質的に怠け者であるというホモ・エコノミクス的な前提が、邪魔をしているのだと思う。

まぁ、こういった考え方も分からんでもないので、仮にこの前提が正しかった場合に、どうなるか考えてみよう。

月10万円、全員に支給されるようになった世の中。多くの人が仕事をやめてしまうとする。恐らくブラック企業で働く人とか、低賃金の人が辞めるだろうか。あるいは、子どもを養うために働いていた中高年も辞める可能性はあるだろうか。

辞められて困るのは、エッセンシャルな仕事、つまり農家や看護師、ドライバーなどだ。仮にたくさん辞めたとして、食料価格が高騰するとしよう。そうなればみんな家庭菜園でも始めて、転売し始めるだろうか。あるいはどこかの大手企業がハイテクの自動化工場や都市型農場を建設して、農業にテクノロジーのメスが入るだろうか。ドライバーは自動運転である程度カバーし始めるだろうか。そのとき税収は減るだろうか、増えるだろうか。

うーん。やっぱり、考えても分からない。でも、なんとかなりそうな気がする。とにかく、博打を打ってみる価値あると思うんだよ。だって、成功したら人類史上最高の快挙だ。誰もが不安から解放されるユートピアなんて、歴史上どこにも存在しない。

やってみようよ。日本。

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