まだ見ぬアホを求めて
僕はずっと、自分が知っていることが全てだと思っていた。
自分が知っていることで、あらゆる問題を解決できると考えていた。
僕が知らない知識は、取るに足らない役に立たない知識で、僕の知らないことや僕が理解できないを話す人は「アホな人」だった。
本をたくさん読むようになっても、それは同じ。
脳科学と心理学に夢中になったときはそれで人間を理解したつもりになったし、進化論を勉強しているときは進化論こそが世界の真理であるかのような錯覚を覚えた。仏教にハマっているときは仏教が世界を救うと考えていたし、ついこの前まではアナーキズムとコミュニズムこそがあらゆる社会問題の解決策になると確信していた。
でも最近ようやく理解し始めた。世界はそんなに単純じゃない。
脳科学や心理学はまだ人間を理解していないし、進化論だけで説明がつかない生命現象もある。仏教にも負の歴史があるし、アナーキズムとコミュニズムは失敗だらけだ。
僕が知っていることなんてたかが知れているし、僕よりも素晴らしい解決策を持った人は山ほどいる。
そうだ。自分の持っているモノサシだけで世界を測定しようだなんて馬鹿げている。
色んな人のモノサシを学ぼう。状況に応じて使い分けていこう。
まだ僕が知らない思考回路は世界にたくさん存在する。世界ってやつは複雑すぎて本当に嫌になるが、学ぶことは尽きない。
そう考えれば、「この人アホやなぁ」と思ったときは絶好の機会だ。きっとその人は、僕が思いつかないような思考回路を持っているのだから、勉強のチャンスになる。
アホよ、ウェルカムだ。社会から爪弾きにされている異端であればあるほど、尚いい。
1回でもサポートしてくれれば「ホモ・ネーモはワシが育てた」って言っていいよ!