コロナ、仕事しろ

2020年には、コロナをきっかけに社会に大きな革命が起きると、誰もが口にした。しかしどうだ? 2年経った今、起きた革命は、誰も彼もがマスクをするようになったことと、くしゃみをするだけで白い目で見られるようになったくらいで、良い方向の変化なんてひとつもなかった。

「リモートワークで住む場所が関係がなくなるから、不動産相場が大変なことになるぞー!」という声は消音器にかき消された。リモートワーク率は下がりつつあるし、東京から淡路島に引っ越した知り合いを僕は1人も知らないし、不動産価格は上がり続けているらしい。

世界中で申し訳程度に金をばら撒かれても、結局ベーシックインカムを本格導入する国はなかった。管理職不要論が噴出しても管理職が全員クビを切られた大企業の話は聞かない。

資本主義の限界を誰もが口にしたが、相変わらず資本主義の終わりよりも、世界の終わりを思い浮かべる方が容易い。

重要なことは何も起こらなかった。左翼は「人々が変化の重要性を理解した」と主張するが、それが正しいかどうかは怪しい。人々はブルシットジョブの無意味さに目を瞑ったままだし、エッセンシャルワーカーの重要性を理解しなかったし、資本主義経済の馬鹿馬鹿しさにも気づかなかった。ベーシックインカムの知名度は上がったかもしれないけれど、ベーシックインカムを求めるデモ活動を僕は知らない。

不動産価格が下がらない理由は、誰もが不動産価格は下がらないと信じているから。そして、そのことに気づいていないふりをすることに誰もが同意しているからだ。現状を変えないということに対しては、誰もが暗黙の協定を結ぶ。現状を変えたいと思うのは、社会の底辺だけ。さらにそのごく一部に過ぎない。

底辺の間ですらデモ行進は馬鹿馬鹿しいことと信じられているし、社会を責めるのではなく自分の力でのし上がるべきという道徳は普及しているし、資本主義以外のオルタナティブは非現実的であると歴史によって証明されたことになっているし、新自由主義のイデオロギーは徹底されている。イスラム教もキリスト教も、これほどまでに周知徹底されたことはなかったはずだ。

頼むよ。せめてどこか一国だけでもベーシックインカム達成してくれよ。達成すればそれを無視することはむずかしくなるし、前例があれば導入しやすいじゃん。

せめてそれだけでいい。何事もなかったかのようにマスクをつけて、年に何回かだけワクチンを打つ世界なんて、誰が望んでいるというのか。

変えたい。コロナ、仕事しろ。そして人々は仕事するな。

1回でもサポートしてくれれば「ホモ・ネーモはワシが育てた」って言っていいよ!