内向的なタイプの人の魅力をあなどるなかれ_

内向的なタイプの人の魅力をあなどるなかれ。

内向的、という言葉を聞いたら、どんな印象を持つだろう?

根暗。大勢のいる場が苦手。考えすぎてしまう。

などなど。
ひょっとしたらマイナスに聞こえてしまいそうな言葉が浮かぶかもしれない。

正直に言おう。
私もかつては、内向的な人に対して、そういう見方しかできなかった。
できる限り程よい距離を置いて付き合おう、と思っていた。

今となっては、自分の方がどれだけ浅はかだったか、と思う。
そして、彼らの魅力、とてつもない武器が、今なら分かる。

先日、あるデザイン制作会社の社長さんから、採用の面接に同席してほしい、というご相談を受けた。

募集をかけたところ、予想以上に沢山の方から応募がきてしまい、作品集も、レジュメもみなさん素晴らしく、良い意味で選びきれない状況なのだ、という。
今のこの売り手市場の中で、他社さんが聞いたら、きっととても羨ましくなってしまいそうなことを仰っていた。

そして当日。
数名の方とお会いしたが、やはり仰っていた通り、どの方も素晴らしい。
社長さんも、いよいよ迷って、悩んでしまっている様子だった。

そんな中で、ある彼の番がきた。

長めの前髪の間から、時々チラッとだけ目を合わせる。
質問に対して、間を置いて、ゆっくりと一言一言を噛みしめるように、ボソボソと話す。
課題制作のプレゼンテーションも、お世辞にもうまいとは言えなかった。

典型的な内向的なタイプだ。

だけど、彼の中の、静かな熱意、誠実さは、じわりじわりと伝わってくる。

その中で、ついに彼の魅力が爆発する瞬間がやってきた。

話は「自分で自覚している強みや武器」について話してもらった時。
しばらく考えてから、所属していたゼミの話をしてくれた。
ゼミの先生から、とてつもない課題が出だのだと言う。
それは、年間100冊の本を読め!というもの。

ただ、その課題で成績がついたり、提出物があるわけではなかったらしい。
「やってみなさい(そこで何かを掴みなさい)」という先生からのメッセージだったのだろう。

周囲の生徒が次々と脱落していく中、彼は必死でその課題に取り組んだのだと言う。

バイト中、ヘトヘトになり、やっと休憩時間になっても、なんとか本を読む。
課題制作で徹夜明けになっても、根性で読む。
電車の通学途中なども読む。
読む。読む。
とにかく読む。
半分意地のような感じだったんだろう。
それによって体調を崩して「何やってんだろ、俺」って思ったこともあったそうだ(笑)。

そんなこんなで、彼はミッションを達成したのだ。
きっと、彼のことだ。
先生に「やり遂げました!」と、元気に報告しに行くようなことや、
周りの友達に自慢するようなこともしなかったのだろう。

静かに「よっしゃ」って思っていたくらいかもしれない。

私は彼のそのエピソードにすっかり魅了されてしまった。
聞きながら、心の中で、「スルメくん(ジワジワいい味がでるよね)」と名付けていた。

「そこで何か得られたことはありましたか?」と尋ねたところ、
ジャンルが異なる書籍から、関連性を見つけたり、
物事を構造化することが、以前より自然に出来るようになった、という。

継続して、達成したからこそなし得たことだ。
その事実自体が、めちゃくちゃカッコいいし、
なにより、彼の最高に素晴らしい特性を物語っている。

内向タイプの人は、
愚直で、誠実で、とても信頼できる人なのだ。
言葉に出すことに時間はかかるかもしれないけど、
その手前で、頭の中で色々なことを考え、組み立てているのだ。

目の前の彼も、物事の捉え方や、語彙が、とてもユニークだし、深いなと感じた。
100冊読書の賜物だね。

もしあなたが、面接の場や、職場、学校などで、
こういうタイプの方と出会ったら、ぜひ、そんな最高の部分を発見してほしい。

そして、自分自身が内向的だ、と感じている方がいたら、自分の中の強みに
誇りを持ってほしい。

私はとてもリスペクトしている。

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