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読んだ:「勉強と仕事の能率をグングン上げる分割睡眠法」

読みました。私は30年以上前のあやしい健康本を読むのも趣味のひとつなので……
これは2006年初版なので20年前程度なんですが。

買った時安かったのにプレミア価格になってる?


購入動機

最近仕事がまーーーーじで忙しくなって、平日に制作系の時間が全然とれません。在宅なので時間自体はあるんですが業務終了後に脳が疲労してそこからなにかをする気力がない。
で、「分割睡眠」てどうだろう? て思ったんですね。
日本の有名人だと黒柳徹子、作家だと和田竜。21時とかに寝て丑三つ時に起きて明け方にもう一度寝る。舞城王太郎もそうだった気がする。
いわく、「起きてる直後が一番能力あるからそれを増やす」と。

私もやってみるか……とりあえず21時に寝て2時に起きて4時に寝てみるか……とチャレンジしたら9時間以上よく寝ただけの人になりました。二日続けて。

困ったので「分割睡眠」で検索したらポケモンスリープガチ勢のポストにまぎれて本書が出てきたのでひとまずあんまり期待せず読んでみました。20〜30年前って3時間睡眠とか超朝方とかがもてはやされてた時代なので(そしてその後著者を検索するとだいぶ若くして亡くなってることも多いので)、あんまたいしたことかいてないかもなと思いつつ。
あとこの人、速読術の提唱者だし。(速読に関して私はわりと懐疑的)

そしたらだいぶ知りたいことが書かれてたので記録しておきます。

あくまで「方法の一つ」として提案する姿勢である

著者も短時間睡眠や超朝方を実践し、その結果として分割睡眠に辿り着いています。で、この手の本って「いいからこれが至高だ、やれ」系の口調が多いんですが(自己啓発書ってそういうトーンのほうが売れるし)、この本では「合う合わないはある」
「同じ人物でも年齢や生活の変化で最適なサイクルは変わる」
「実は短時間睡眠が合ってる人もいるだろうし超朝方があってる人もいると思う」
「合わないと思ったら無理に実践する必要はない」
「ただ、自分はこれが今のところ最適だからヒントとして読んでほしい」
というようなことが繰り返し述べられています。

原始時代の睡眠サイクルを根拠として提案している

わたしは「ホモサピエンスはまだ狩猟時代の性質のままである」「だから原始時代の性質に添えば最適化されたあれそれを得られる」という考えの信者です。
赤に緊急性を感じるのもベージュに囲まれた空間で安らぐのも水色の多い場所で安心するのも狩猟時代の記憶だし現代における報酬のバグっぽいあれはドーパミンに操られながら狩りと採集をするためのもの。

で、「食事」に関しては、狩猟時代は決まった時間に3食食べてたわけではないとか穀物はあんまり摂ってなかったみたいな本を何度か読んでたし納得してたんですけど、原始時代のホモサピの睡眠に触れてる本はこれがはじめてかもです、なのでかなり信頼感というか納得できるなと思いながら読んでました。

いわく、「原始時代の人類、なんならわりと最近の文明まで人類はけっこう昼寝しながら生活してた」「文明のおかげ(せい)で16時間ぶっつづけて起床するようになったけどそれは生物の常識からはだいぶはずれている」というものです。
16時間起床しつづけているというのは疲労マックス、刀剣乱舞でいうと重症になってもまだ進軍するみたいなかんじで、本来は軽傷程度で引きかえすように「疲れ切るまえに睡眠をとる」のが動物的には合理的だしだいたいの動物はそうしてるんだそうです。16時間起き続けてるのは疲労が蓄積して当然、と。

ノンレム睡眠レム睡眠

で、脳は睡眠中にノンレム睡眠とレム睡眠を繰り返してる、ていうのは聞いたことあると思います。レム睡眠は脳内情報の整理をしてるデフラグタイム、夢を見るのはこの状態、浅い眠り。ノンレム睡眠は体自体を休める深い眠り。
これ、たいていの本では90分サイクルですっていうところで説明終わってるんですが、本書では「人によって個人差があり80分だったり110分だったりするのでそれをうまくつかまないといけない、これ時間かかるけどがんばれよ」というようなことも書かれてて、言われてみればそりゃそうだ!!!! って初めて気づきました。そりゃそうだ。

でもって赤ちゃんってのは脳内情報を整理しまくってるのでレム睡眠の割合が多いそうです。だからすぐ起きる。
そして動物はレム睡眠の必要性があんまりないのでほぼノンレム睡眠で、さらにノンレム睡眠をまとめてとるのが「冬眠」だそうです。
ムーミン谷って冬眠するよなそういえば……あいつら……

具体的にどう眠るか

で、このへんの理論などを交えていよいよ「じゃあ分割睡眠の利点と方法は」ていうところに行きます。
利点は前述のように「体力ゲージ赤になる前に休息できること」、あと「眠りすぎても疲労が溜まってしまうのでそれを適度に切り上げながら取れる」「起床直後はパフォーマンスが高い、それを増やせる」ということです。

実際のタイムスケジュールを「処方箋」として複数提案されており(著者は医学博士なので)、会社員向け、主婦向け、受験生むけ、自営業向けのパターンなどがありおもしろいです。会社員向けはもちろん会社勤めで無理のない範囲、主婦向けは昼寝が多め、受験生むけはテレビ番組が面白い時間を全部睡眠にあてる(2006年はまだテレビがおもしろかったから)、自営業向けは理想的な状態、みたいなかんじ。

で、考え方としては「とりあえず分割してトータル7〜8時間ならなんでもよい」ではなく、「第一睡眠」「第二睡眠」をとる形になります。
ノンレム睡眠でしっかり体を休めるにはそれなりの時間(4、5時間くらい)が必要なので、まずはそれを絶対確保。で、残りの3、4時間を別のところでつまみながら帳尻を合わせるというもの。1日のトータルカロリー摂取的なやりかたですね、1日のトータルができればよい。

実際できるかどうかはこれから

と、自力でふわっと「やってみるか」と思っただけの状態より理屈理論利点がわかったのですが、できるかどうかはまた別の話……ひとまずしばらくチャレンジはしてみます。

この本は2006年ですが、たしか2016年に睡眠に関する大発見があって「生物は睡眠している状態こそがデフォルト」とされてるようですね今は。起き続けてるの、やはり理に反するのでは。

とはいえ業務後は本当に、本当に全然頭働かないので、仕事以外の何かを作る時間を平日に確保するならこれに縋るしかねえ。やってみます。

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