脳裏の景色

宵闇の帳の内側をただ歩いている。
高架下から街灯の下へ、そして振り返る。
そこに転んだ達磨がいればもしかしたかも。
なんて気休めの思考を隅に蹲る。
背には扉、時限式の鍵が音を鳴らす。
これだけが私を愛する私の友達。

給水所のレシピだけを置いていくな。
水をくれれば良いのにな。
噛めば噛むほど血と砂利の味がするドライフルーツはいくつもあるけど、知ってる?
血って塩分意外と含んでるんだぜ。
私って吸血鬼じゃないのよ。

眠った先には夢があるかも、それも割と幻想だったりして不条理だ。夢って案外残酷童話でハッピーエンドには大抵穴が空く。
残念ながら出発点は0なのだから、グッバイワールド、有終の美。

眼には眼を、歯には歯を。正直どうでも良いと思うのは共感と同情は別の存在だからよ。
もし一緒ならばこの世は復讐者の時代だ。
毒を以て毒を制して復讐者には味方がいっぱい!最高だね!誰もが彼を讃えるだろう!
そうはならないから復讐者には墓が無い。

こういう思考実験だけが脳を潤してくれる。
延命措置の点滴パック。予備はきっと無限。
でも寿命を遅らせることは出来ない。
今死なない為のおまじないだから。
そして今日も今日とて友達を背に考える。
扉が開いた時の、旅の助言を。
物語の一行目、脳裏の景色を吹き飛ばす程の遺言を。

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