KADOLABO 017 Brain Damned

イベント用特別醸造

本題の前に、、、
KADOLABO 016 Wild FestaとKADOLABO 017 Brain Damned はISEKADO 27周年のイベントに出店するために醸造した特別なビールです。
そのコンセプト説明を最初にさせてください。

KADOLABOは2023年7月のローンチ以来、ISEKADOではできないものづくりに取り組むブランドとして大瓶・小規模生産という方法でビールをリリースしてきました。
当初は、面白いビール・こだわったビールを楽しむ経験をより多くの人たちで囲んで楽しんでいただきたい、シェアもらいたいという思いで、意図的に一人では飲み切るのが難しい750mLの大瓶という容器で製造してきました。

しかしながら、ローンチから9ヶ月、リリースを重ねる中で思いが変わってきました。そもそも期待していたように、シェアして飲むことができる環境にいる人が少ないことがわかりました。できないのだったら意味がない。

ものづくりの面白さを共有する・感じてもらうことが一番大切です。大瓶という箱にこだわる必要はないだろうと思います。むしろやり方を変えていくことが必要なのではないか。
そんな考えで、より多くの方にものづくりの面白さ・発酵の面白さを知っていただくための次なる施策を立てました。

今後はイベント出店に力を入れていきます。
ものづくりをしている僕たち自身が表に立って、発酵の面白さ・醸造の面白さを語っていきたいです。どうぞお話を聞きにきてくださると嬉しいです。よろしくお願いします。

まずは、その皮切りとしてISEKADO 27周年祭に出店します。
KADOLABOとして専用のブースを持ってビールを提供します。
提供するのは、これまでリリースしたビールたちに加えて、このイベント向けに特別に醸造した2液種 016 Wild Festaと017 Brain Damnedです。
この2液種はドラフトで提供します。ボトルの販売はございません。
比較的にお手頃な価格で提供しますので、飲み比べてにぴったりの機会になると思います。
なにとぞよろしくお願いします。

それでは以下本編です。

諸言

017 Brain Damnedは名前から連想される通り、脳がとろけるウルトラヘヴン3xIPAを原酒に製造したスムージーサワーである。ISEKADO27周年祭へのKADOLABOの出店に向けて特別に製造した。
このビールを作った理由は2つある。1つはスムージーサワーというスタイルがISEKADOブランドで挑戦しがたいため。もう1つは012 Chocolate Brownie Stout 2021に続き、熟成酒の再生というテーマに関心があるためだ。
スムージーサワーはハイアルコールな原酒にフルーツを大量に混和することで作る、フルーツの濃密な味わいとリッチなテクスチャーを楽しむことのできるサワーエールである。デザートのような味わいとビールに似つかわしくない味わいに人気を博している。
その一方で、スムージーサワーの製造プロセスは通常のビールと全く異なるため、生半可な準備で取り組むと痛い目を見ることになる。果肉がホース配管を詰まらせてしまったり、果実の糖分により活性化された酵母が引き起こす再発酵によりビール容器内の圧力が高まり、破裂が生じたり、などいわゆるビールでは発生しないさまざまなトラブルが存在する。
ISEKADOでスムージーサワーの製造は避けてきたのは、上記リスクを鑑み、お客様にご迷惑をおかけしないため。加えて設備も適合していなかったためである。
しかし今回、ISEKADO27周年祭へのKADOLABOの出店という絶好のチャンスが巡ってきたため、KADOLABOブランドで製造のチャレンジをすることにした。製造直後にその場で提供することで、トラブルのリスクを最小化できると考えた。
Brain Damnedは8ヶ月間熟成させた脳がとろけるウルトラヘヴン3xIPA(以下 脳とろ)を原酒に、チェリーピューレとルバーブピューレとバニラを加えて製造した。脳とろはWest Coast style Triple IPAでホップキャラクターがフレッシュなうちに楽しむ方が好ましい。熟成によりアルコールが水となじみ、円やかさは向上するが、ホップの苦味と香りは減退し、麦芽由来の脂質が酸化したキャラクターが顔を出し始める。そんなくたびれた脳とろに対し、強い抗酸化作用を有するチェリーとルバーブのピューレを加えることで、若々しさを取り戻させることを試みた。T2Nをはじめとする脂質酸化の化合物は、麦汁生成の時点で生じ不可逆反応であることが、アサヒビール吉田氏による研究コラムで語られているが、ラガービールの製造における酵母の還元作用が脂質酸化に対し無力である一方、フルーツ由来の抗酸化作用によっては改善が見られるのではないかという期待をしている。

方法

5ガロンコーネリアスケグに脳がとろけるウルトラヘヴン3xIPAを10Lとチェリーピューレ5kgとルバーブピューレ5kgとバニラ3gを加え、浸透混和した。