BELIEVE 日本バスケを諦めなかった男たち 見てきました

「信じる」って若いうちはなんだか照れくさく、なかなか本気で思うことって難しいですよね。ぼくはそうでした。若いときは自分を信じたり何かができたりなんて、心の底から信じるということはできません。なんなら今でも心の底から何かを信じることができていることなんて、ほんのほんの少しのことです。
 
信じることで、なにかが達成できないことに傷つき、自分の無力感を思い知らされることを回避しているのだろうと、今では言葉にできますが、当時はそんなことも“言葉にすることさえこわいこと”だった気がします。

久しぶりに梅田の映画館に行きました


さて、2023年に開催されたFIBAワールドカップ。日本チームのドキュメンタリーといってよいのか。「BELIEVE 日本バスケを諦めなかった男たち」。幾度となく「信じる」が出てきます。過去にもオリンピック予選やアジアカップのような大会でも「信じて」いないわけではなかったと思いますが、今回の熱量は充分に画面越しのぼくにも影響を与えるほどのものでした。
 
過去の代表選手は「信じて」きたことにより、心理的にダメージを負ったこともあったでしょう。映画にも出てきますが、先人たちがそうして傷つきながらも築いてきた繋がりがあって初めて今回のワールドカップ3勝。アジア地域1位。パリオリンピック自力出場。ヨーロッパの国に勝つ。といったことが達成されたと口をそろえて言っています。実際そのとおりだと思います。

映画を見るともらえます。セリフごとにシールになっています

 
「私たちはアンダードックです。でもこの状況は好きです」予選リーグの組み合わせをみてホーバスHCはそう表現しました。過去の歴史を振り返ると当然アンダードッグです。しかし私たちは2023年の夏に行われたワールドカップの結果を知っています。フィンランドに勝ち、ベネズエラに勝ち、カーボベルデに勝ちました。
 
結果を知って映画を見ているはずなのですが、大きな画面で躍動する選手を見ていると胸を打つものがあります。
 
「100回のうち99回ダンクされても、1回ブロックできる可能性があるなら、僕は必ずブロックに跳びます。」トロント・ラプターズに所属していたときの渡邊雄太選手の言葉です。100回信じて99回やっつけられてもそれでも立ち向かうのは勇気が必要です。

アンソニー・エドワーズ選手にポスタライズされる渡邊雄太選手

いちばん最初に書きました。本気で思うことは難しい。
 
それでもこの映画を見ると思い出させてくれる。
“本気でがんばった100回のうち99回はだめかもしれないが1回の見たことのない景色に到達するためには本気の本気で信じることからしか始まらないのだ”
 
フィンランド戦の後ホーバスHCがこのように発言しています。「ニュースタンダード」。この熱量と気持ちが”次の当たり前になる"。と。当たり前の段階が上がる。と。
 
アンダードッグ
スポーツではよく表現されます。下位チームであり挑戦者。それも勝ち目の薄い挑戦者という意味で使われます。
学生スポーツでの地域ブロック予選。トーナメントで行われると初日で”半分のチームが負け“ます。次の日で”そのまた半分が負け“ます。すなわち2日で4分の3のチームが敗退することになります。見方を変えると予選に出場しているほとんどすべてのチームが”アンダードッグ“なのだと。
 
アンダードッグが勝つためには“本気で信じる”ことから始まります。振り返ってみるとぼく自身は学生の時、決して“自分を強く信じてバスケットボールをプレーしていません”。それが何を意味するのかは、映画を見なくてもわかります。しかしどうすればよかったのかは映画を見ればわかります。
 
現在バスケットボールに関わっているコーチはもちろん、2023年のワールドカップをみてバスケットボールに興味を持った人も、映画館で見てみるとよいですよ。大きな画面であの時の記憶と心情が鮮明に蘇ってきます。
 

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