車いすバスケットボールパリパラリンピック予選を見てきました。
2024パリパラリンピック女子車いすバスケットボール予選を見てきました。2月にも大阪で親善試合をしていたのです。その同じ会場(大阪市立中央体育館:Asue アリーナ大阪)です。
4月20日は予選最終日で対オーストラリア。勝てばパリパラリンピックに出場決定という試合です。
コートの大きさ、リングの大きさ高さ、ボールの大きさすべて立バス(健常者が行うバスケットボールのこと。この文章の中ではあえて「立バス」「イスバス」と記載します)と同様です。当然スリーポイントシュートまでの距離も6.75mです。今日の日本代表は2本決めていました。基本的には現在の立バスと異なりスリーポイントシュートが多用されるわけではありません。そもそも椅子に座ってスリーポイントはわたしの感覚では届く気がしません。普段はいわゆるディープスリーやロゴスリーの距離くらいからならシュートはできますが、あくまでも下半身との連動があってこそのシュートです。ですから、車いすに座ったままスリーポイントシュートが打てることだけでも驚愕に値すると個人的には思っています。
戦略の基本的な考え方は割と細かくパスをつなぐので立バスとも共通するところが多くあります。スキップパスはほとんど見ることはありません。常にオフボールではスクリーンプレーが行われています。立バスと違い1on1でズレを作ることが非常に難しいためです。そのためありとあらゆるタイミングでずれができたらディフェンスはシームレスにオールスイッチディフェンスです。コートをパっと見ていても持ち点が分からないのですが、おそらくハイポインターとローポインターでミスマッチが発生するように動いている気がします。
短いパスをつないでのアングルチェンジによるシュートチャンスの創出が最大のねらい目となります。できる限りペリメーターなどのロングシュートは避けるということが基本戦略にあるように見えました。ロングリバウンドになってしまうと、ディフェンスリバウンドの位置によってはファストブレイクのチャンスとなってしまうからです。立バスと異なりセーフティガードに入ることそのものが、車いすの特性上、常にできるわけではないからです。できるだけミドルレーンに近い角度からのシュート、できるだけゴール下に近いシュートをどれだけ創出することができるか。ということが戦略の基本にあるように見えました。
この辺りは、身体能力に恵まれていないチームにも参考となる基本戦略となりそうです。
ハンドリングについては立バス以上にとても重要な技術となります。ボールミートができないからです。ディフェンスの届かない位置でのパスを行う必要があるため、手を伸ばして片手でボールキャッチするシーンが多々あります。また、車いすの特性上、毎回パサーに正対してレシーブできないからです。ただ、どのようにしてボールハンドリングの練習をおこなっているのかなと、少し考えてしまいます。ちょっとやそっとの努力で身につくものではない気がします。卓越したハンドリングがあることが前提のパス回しが可能になるのだろうなと思います。
パス回しがうまくいかないチームは動きそのものよりもハンドリングの向上を心掛けると、うまくいくのかもしれません。
オフェンスリバウンドは立バス同様非常に重みのあるプレーとなります。試合全体をみてみるとペースが早くないためです。ですからシュート機会が続けて創出することが可能となるオフェンスリバウンドをとることができるのはビッグプレーとなります。
イスバスは立バスと比較しても、より将棋チェス的要素が大きくなるためそういった目線で見るととても面白いです。ひとつひとつ積み重ねてチームで創出するシュートシーンはチームスポーツの醍醐味です。先述しましたが車いすの特性上1on1で抜き去ることが非常に難しいので、どのようなシュートシーンもチーム全体で創出しているものです。個人技だけでは絶対に得点に結びつくことはないと言えます。
考え方や、戦略についてもわれわれ立バスにもたくさんの参考となるものがあります。丁寧にパスをつなぐというプレーは美しさすら感じます。近年の立バスはオンボールピックが当たり前となっています。育成年代やチームで戦うということという目線でみると、勝利を目指しつつも練習する内容について丁寧に考える必要があります。
パリパラリンピックでも楽しみにしている競技です。
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