それでも、ぼくはお刺身と玉子焼きとべか菜のお浸しを食べている。
今夜の晩ご飯は玉子焼きが一等賞。
ぼくだけ大盛のホタルイカをつまみ、べか菜と油揚げの煮びたしをはさみ、食卓の上のリモコンのスイッチを押して録画リストを物色する。
タイミングを計っていたように、刺身盛合わせ、玉子焼き、常備菜の夜に、
「山口一郎”うつ“と生きる」を観る。
あらゆる関係を無かったことにされてしまう”うつ“。
じっと耐えて、闘う山口さんには、高校時代のバンド仲間がただ寄り添っていた。
サカナクションのメンバーは、二時間も三時間もスタジオにスタンバイしていた。
山口さんとメンバーを支えるスタッフがいてくれた。
完治は無理でも寛解を感じ取ることが出来るなら、前を向けるのではないか...ブラウン管のこちらの無責任な立場が、そんなことを、ふと。
元の自分に戻るのではなく、新しい自分を生きる。
山口一郎さんの歌を、はじめて聴いたと想った。
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