もうすぐ、エゴノキも行ってしまう。
市立図書館分室は、原っぱと花をつける樹々に囲まれている。
桜は、今年も見事に咲いて、散って、今はエゴノキが小さな花をたくさん咲かせている。
雨混じりの風が枝葉を揺さぶった翌朝。
どこかのお家の年少さんが、
その小さな手のひらいっぱい、拾い集めた花びらを、
えいっ!と勢いよくばら撒いたみたいに、
散りばめられていたエゴノキの花びら。
そうか、もうすぐ、きみたちもゆくんだったね。
ぼくは、借りたばかりの本を抱え、一輪も踏まないように、
ゆっくり、ゆっくり、すり抜けていく。
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