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【企業分析】DigitalOcean

DOCN (NYSE)
時価総額:37億ドル
株価:38ドル
売上高:4.3億ドル
営業利益:▲0.1億ドル
(2021年)

事業内容: 中小企業向けクラウドサービスの提供
設立年:2012年、2021年上場
本社: 米国🇺🇸ニューヨーク州
創業者: Moisey Uretsky、Ben Uretsky、Jeff Carr、Alec Hartman、Mitch Wainer
代表者: Yancey Spruill(CEO)
従業員数: 581人

概要

DigitalOcean, Inc.は、ニューヨークに本社を置き、世界中にデータセンターを持つアメリカのクラウドインフラプロバイダです。開発者、新興企業、SMBにクラウドInfrastructure-as-a-Serviceプラットフォームを提供しています。

DigitalOcean ニューヨーク本社

10月に開催される1ヶ月間のオープンソースソフトウェアの祭典であるHacktoberfestも運営しています。
毎年、GitHub、Twilio、Dev.to、Intel、AppWrite、DeepSourceなどのさまざまなソフトウェア企業と提携している。

DigitalOceanは2012年に創業。2020年の売上高は3億1838万ドル。世界に13のデータセンターを構え、195カ国で利用できる。超大型企業で市場の大半を占めるパブリッククラウドの中にあって、“ニッチ”とも評されるユニークな位置にある。

 主力製品はLinuxベースの仮想マシン「Droplets」。ほかに、Kubernetes管理、データベース、オブジェクトストレージなど、基本的なものをそろえている。

 2020年秋には、アプリの構築、実装、管理、拡張ができる「App Platform」を発表し、PaaSにも進出した。Dropletsの中で最も低価格帯の「Basic」は、メモリ1GB、1CPU、25GBのSSD、月間転送量1000GBで月額5ドルと安価だ。

 同社がフォーカスする対象は、開発者、スタートアップ、中小企業で、これらの顧客ニーズに応えるべく、シンプルさで差別化するとしている。顧客は、個人と企業を合わせて世界185カ国に57万にのぼる。

プロダクト・ビジネスモデル

アプリケーションなどの開発者や中小企業向けに仮想サーバーを提供する企業です。

Droplet(ドロップレット)と呼ばれる仮想サーバを55秒で起動でき、料金は全て時間単位の課金で、使い始めやすいサービスとなっています。

DigitalOceanは開発者が使いやすいクラウドの提供を目指しており、機能はシンプルとなっています。最も安価なクラウドサーバー(月額わずか5ドル)にもSSDハードドライブが含まれており、非常に高速に動作するのもユーザーフレンドリーです。

AzureやAWS、GCPが競合となります。

仮想サーバー上で開発者や中小企業はアプリやソフトの開発、構築が可能で、開発したアプリケーションがちゃんと動くかなども確かめる用途でも使用されます。

所謂、IaaS(Infrastructure as a Service)、PaaS(Platform as a Service) ですね。

IaaSやPaaSはAmazon、Microsoft、GoogleといったITの巨人なども参入しており、競争が激しいようですが、DigitalOceanは1ドルあたりの仮想マシンの性能が抜群に良く、この辺りで他社と差別化できているようです。

収益モデルは顧客が月額制で使用できる容量が決まっているサブスクリプションとなっています。

DigitalOceanは8つの地域、14のデータセンターを展開し、185ヵ国の顧客を抱えています。

売上比率は北米38%、ヨーロッパ29%、アジア23%、その他10%となっており非常にバランスが取れています。こういったハイテク企業は北米に偏っているところが多い印象です。

主力製品はDroplets

Linuxベース、選択した仮想マシンをわずか55秒で起動。

AWS EC2のようなハイパーバイザー型の仮想サーバーである。料金は全て時間単位の課金。

全てSSDの上で動作するので軽快、という特長がある。

最も安いプランは「メモリ1GB、1CPU、SSD25GB、月間転送量1000GB」という構成、月額5ドル(約530円)。時間あたり0.007ドル(約0.74円)

CPU性能重視の「CPU-Optimized Droplets」メモリ搭載量重視の「Memory-Optimized Droplets」ストレージ容量重視の「Storage-Optimized Droplets」も用意されている。

市場動向

IaaS、PaaS市場について見ていきます。

IaaS、PaaS市場 2030年までに4,500万人に到達する開発者と1億社の中小企業、毎年起業される中小企業1,400万社による力強い成長ドライバーがあります。

これら3つの成長ドライバーにより、2020年$44Bの市場はCAGR27%で成長し2024年には$116B(約13兆円)に到達する見込みとなっています。

パブリッククラウドといえば、AWS(Amazon Web Services)、Microsoft Azure、Google Cloudの3強。それに中国のAlibaba Cloudを加えて語られることが多い。DigitalOceanは、これらとはひと味違う“代替クラウド”として注目されるという。

業績

2021年2Qの売上は$104Million(約114億円)で成長率は前年同期比で+35%となっています。成長率が加速しているのが好印象ですね。

粗利率は58%となっています。

NRR(Net Retention Retention:既存顧客の売上膨張率)は113%と向上中です。

既存顧客の売上膨張率が113%ということは新規に顧客を獲得しなくとも売上の成長が+13%出るということです。

EBITDAもプラスで右肩上がりで推移しています。(営業利益はマイナスです。)

経営者 

CEO

CEOはYancey L Spruill。

ヤンシーは、最高経営責任者として、DigitalOceanの全体的な戦略と方向性を推進し、同社を次の成長段階へと導きます。
彼は、技術、財務、リーダーシップの豊富な経験を持ち、過去15年間、SendGrid社やDigitalGlobe社などのテクノロジー企業で上級管理職として活躍してきました。

コーニング・インコーポレイテッドとクロロックス・カンパニーで製造エンジニアとしてキャリアをスタート。また、投資銀行での経験も豊富で、数年間はM&Aを中心に活動していました。

この間、約500億ドルのM&A、40億ドルの株式・債券の調達取引に助言してきた。また、複数の取締役会のメンバーを務め、CEOに対して戦略や経営に関するアドバイスを行ってきました。

直近では、2015年から2019年までSendGrid(NYSE:SEND)で最高執行責任者兼最高財務責任者を務め、収益を5000万ドルから1億7000万ドル以上に伸ばし、同社の顧客基盤を約3倍に拡大させました。

また、2017年末の1億5000万ドルのIPOと、2019年初めのTwilio(NYSE:TWLO)への30億ドルの全株式売却を通じて、同社の指導に携わりました。ヤンシーはSendGridでの経験から、開発者のニーズに応える上で重要な洞察を得ており、それを400万人の開発者を抱えるDigitalOceanのコミュニティにもたらしていきます。

SendGridの前は、DigitalGlobe(NYSE:DGI)で10年間CFOを務め、同社の収益を13倍増の6億7000万ドル以上に、EBITDAを約2億7500万ドルに成長させることに貢献しました。また、2009年のIPOを成功に導いた。

現在、Allscripts Healthcare Solutions (NSDQ:MDRX), Zayo Group Holdings (NYSE:ZAYO) and Ping Identity Corporationの取締役を務めています。ジョージア工科大学で電気工学の理学士号を取得し、タックスクールで経営学修士号を取得しています。

企業沿革

2003年、マネージドホスティング事業のServerStackを設立したBenとMoisey Uretskyは、ウェブホスティングと仮想サーバを組み合わせ、ソフトウェア開発者と起業家をターゲットにした新しい製品を作りたいと考えた。 2011年、Uretskysはソフトウェア開発者向けにサーバのプロビジョニングとクラウドを提供する企業、DigitalOceanを設立した。

2012年、Uretskysは、Craigslistの求人情報に対するWainerの回答を受けて、共同創業者のMitch Wainerと出会った。

Mitch Wainer社は、2012年1月にベータ製品を発表した。2012年半ば、創業チームは、Ben Uretsky、Moisey Uretsky、Mitch Wainer、Jeff Carr、Alec Hartmanで構成されている。DigitalOceanはコロラド州ボルダーで開催されたTechStars 2012のスタートアップアクセラレータのオファーを受け入れ、創業者たちはボルダーに移住して製品に取り組んだ。

2012年8月のアクセラレータプログラム終了時点で、同社は400の顧客を獲得し、約1万台のクラウドサーバインスタンスを立ち上げた。

2018年1月16日には新しいドロップレット(仮想マシン)プランを導入。 2018年5月にKubernetesベースのコンテナサービス立ち上げを発表した。

2018年6月、共同創業者のベン・ウレツキーに代わり、元シトリックスCEOのマーク・テンプルトンが同社のCEOに就任。

2019年7月、テンプルトンに代わり、元SendGrid(テックスターの仲間)のCFO兼COOのヤンシー・スプルールがCEOに就任。
EnerNOCの元CFO、ビルソレンソンが同社の新しいCFOとして指名された。

2021年9月、DigitalOceanはサーバーレス・スタートアップのNimbellaを買収する計画を発表した。2022年3月、同社はフロントエンド開発者向けの学習サイトCSS-Tricksを買収した。

2022年5月、DigitalOcean Functionsをリリースした。NimbellaとオープンソースのApache OpenWhiskプロジェクトから獲得した技術をベースにしたDigitalOcean Functionsは、開発者がサーバーを管理することなくアプリケーションを構築し実行できるサーバーレスプラットフォームである。

2022年8月、DigitalOceanはパキスタンのクラウドホスティングサービスプロバイダーであるCloudwaysを3億5千万ドルで買収した。

株価推移

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