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日本のシン富裕層 なぜ彼らは一代で巨万の富を築けたのか 大森健司 凝り固まった古い考えを捨てる勇気

不動産投資、暗号資産、オンラインサロンなど、自らの才覚で巨万の富を手にする人々が続出し、日本の富裕層は近年大きく変化した。海外移住サポートを通して2万人以上を知り尽くした著者だから知る彼らの哲学、新時代の稼ぎ方を大公開!

内科医K先生のツイートで知ったこの本を購入して読みました。

はじめに

金持ち、富裕層になるための本と言えば我々世代は「金持ち父さん貧乏父さん」が聖書として永遠の真理として崇拝されてきました。この本はいまでも聖書として崇められています。
金持ちになるためには、自分のポケットにせっせとカネを運んでくれる「資産」を持つことが大切で、自分のポケットからカネを奪っていくものは「負債」なので持っていてはいけないと定義します。

金持ち父さん貧乏父さんを読むまでは、豪華な持ち家や高級車に乗ることが金持ちなんだとステレオタイプの考え方を持っていた私は衝撃を受けました。(大学生のときに読みました)それ以降は車を所有することをやめて(もともと車はあまり好きではなかった)、家にこだわることもやめて(住むところにもこだわりは無かった)、ひたすら自動的にカネを運んできてくれる「資産」を増やすことに集中しました。

効果はすぐに現れて、研修医のときに外国株で大きく「資産」を増やすことに成功します。あのときに金持ち父さん貧乏父さんに出会ってなければ、私は稼いだ給料を衣食住に使いまくって、資産であると信じて持ち家(またはマンション)を買って、資産であると信じて高級車を買って、私はただの貧乏勤務医になっていたように思え、ゾッとします。金持ち父さん貧乏父さんの内容を信じて資産を増やしてきたからこそ、資産を持っている自分があると信じています。


シン富裕層

この本は金持ち父さん貧乏父さん以来の考え方を覆してくれるような大事な考え方を教えてくれました。もしかすると、金持ち父さん貧乏父さん的な考え方はもう古くて、知らないうちにゲームのルールは変わっていて、そのことにいち早く気がついて実行したひとが今後は富を築いて生き残っていくのでは?という考えて至りました。
本書の内容で付箋を付けたところを振り返ってみます。


シン富裕層には5つのタイプがあって、
①ビジネスオーナー型
②資本投資型
③ネット情報ビジネス型
④暗号資産ドリーム型

⑤相続型

の5つに著者は分けます。この中で本当にシン富裕層っぽいなと思ったのが、太字の②の資本投資型、③のネット情報ビジネス型と④の暗号資産ドリーム型です。①と③は昔からある成功の形なので、ここでは無視します。

資本投資型

昔ながらの開業医や不動産収入で財をなすタイプがここに含まれるのですが、わたしがとてもおもしろいと思ったのが、「自宅投資」という概念です。都心の一等地でマンション購入と売却を繰り返すことで資産を増やすというスキームです。
都心の一等地のマンションを完成前に購入して、完成完売して1年くらい経過したら2割乗せて売るというやり方です。

新築の都心のマンションを、一億円で購入し一年後に1億3000万円で売れたとします。3000万円の利益が出ました。本来であれば、売却益に対して、
所得税 30%
住民税 9%
復興特別所得税 0.63%
合計で39.63%が課税されます。3000万円の利益に対して、1200万円の税金がかかるわけです。

しかし、「住居用財産を譲渡した場合の3000万円の特別控除の特例」という制度をしっていれば、この1200万円を実質無料にすることができます。


国税庁のホームページにちゃんと書いてあります。
所得税が3000万円も控除されるという破格の特例です。


国税庁のポームページ

見る限りは、非常にハードルが低そうな特例です。
東京都心の一等地のマンション1億円で買って、1億3000万円になったら売る。3000万円を非課税で受け取り、3年後にまた同じスキームで3000万円を得る。

これだけでかなりのスピードで資産を増やせそうです。この制度を知っているか知らないかの違いだけです。知っていればあとは実行力さえあれば、この制度で金持ちになることができます。

金持ち父さん貧乏父さんの宗教にハマって、自宅は負債であると信じていたあのときの自分を、助走をつけて殴りに行きたいと思いました。自宅購入用なので、低金利の住宅ローンが使えます。住宅ローンで買ったマンションを1年くらい寝かせて転売して、(ほぼ確実に)利益を得る。これを何回か繰り返すだけで、1億円以上の資産を築くことができます。しかもその間自分で住めば住居費もかからずに都心に住めるという素晴らしいスキームです。
これは本当に目からウロコのスキームでした。

ネット情報ビジネス型


本記事を書いているnoteのようなプラットフォームで、自分しか知らないことやノウハウを発信すると、意外とカネを出して買うひとがいるというビジネスです。一昔前は、ブログに記事を書いて、アクセス数を稼いで集客し、人があつまるところに広告を載せて、対価を得るというアフィリエイトが主流でしたがいまは自分で有料で記事を売って利益を得るほうが効率が良いみたいです。

noteなどの個人が個人に情報を売ることができるシステムは、市場が成熟しつつありますので、今後も伸びてくると予想します。ということで、わたしもnoteの株を1000株ほど買いました。




暗号資産ドリーム型

ビットコインを始めとする暗号資産も新しい金持ちを生み出しました。
同じような動きはFXの黎明期にあり、ミセス・ワタナベと呼ばれていました。なんの取り柄もない普通の主婦(ミセス・ワタナベ)が、レバレッジを25倍もかけて外貨を買ったら知らない間に2億円くらい利益が出てたいへんだったという話です。暗号資産ドリーム型は、ミセス・ワタナベの令和版です。

ミセス・ワタナベの当時とくらべても、暗号資産に対する税制は変わっておらず、むしろ厳しくなっていますので、暗号資産は現金に変えた瞬間に課税されて、しかも損失が繰り越されない罰ゲームまでついています。暗号資産としては大きなカネを持っていても実際に現金として使うとなると、多額の税金が待っています。

なので、多額の暗号資産を持ちながらも、自身はガソリンスタンドのバイトを続ける不思議な若者が生まれます。金融資産を持ちながらも、なぜ自分が金持ちになれたのか全く理解していないというシン富裕層が生まれました。


不思議なシン富裕層

凝り固まった考えを捨てる

2022年のM1グランプリで優勝したウエストランドは、ネタのなかで「大阪にはあるけど、東京には無いもの」というあるなしクイズを展開し、「自分たちのお笑いが正義だという凝り固まった考え」「それを他人に押し付けてくるあの感じ」と大阪の笑いを痛烈に批判し、笑いの渦を巻き起こしました。結果として関西人ではなく岡山県人のウエストランドが優勝しました。

話がそれましたが、凝り固まった考えはとても良くないと思ったのです。
今回は金持ち父さん貧乏父さんが聖書であるという凝り固まった考えに囚われていたので、新築マンション購入スキームに気がつくことができませんでした。もっと柔軟に、目の前にチャンスがあれば端から否定するのではなく、本当に利益がでる手法かもしれないととりあえず検討だけでもしてみるという姿勢がたいせつかなと。反省しました。
本書でも、「思い込みから自由になろう」という記述があります。


凝り固まった考えを捨てて、失敗も大変なこともたくさん経験することがたいせつだというポジティブなメッセージを受け取りました。

保険診療こそが正義であるという凝り固まった考え


この記事を書いている2023年2月にTwitter上で美容系を中心とした自由診療に痛烈な批判が集まっています。(エクソソーム点滴などが槍玉に挙がっています。)
私も保険診療医であり、保険診療で標準治療を行う病院の勤務医をしているので、科学的根拠のある保険診療こそが正義であるという教義を一ミリも疑わずに生きています。
そこにこの「シン富裕層」を読んだのです。シン富裕層とは過去の凝り固まった考え方に疑問をもって、新しい投資方法を実践して富を得た人たちです。保険診療こそ正義であると思っている私のほうが実は間違っているのではないか。少し考えてみようと思いました。

医師の仕事は、「患者さんの利益を最大にする」という考えが基本にあってどんなひとでも「健康で長生きしたい」という利益を目指して行動していることを前提に保険診療は構築されています。日本国民の全体に利益があって、コストが安く、「生存率が改善する」とか「病気の発症率を下げる」治療や検査が保険適用となり、保険診療で使われています。

反対に自由診療では、カネさえ払えば患者さんが希望する治療はなんでもする、カネで幸せになれるなら保険適用外の治療をやっても良いではないかという考えが基本にあります。日本国民全体の利益ではなく、目の前のカネを持った患者さんの利益を最大化することを目標にするのです。その結果、患者さんは満足の行く治療を受けられ、医療者側はカネ(利益)を手にするという構図です。なので、保険診療と自由診療は根本的な部分で教義が異なっています

保険診療と自由診療の論争は宗教間の対立のようなもので、お互いがねじれの位置に居るので永遠に交わることはありません。
なので、私は議論には参加せず自由診療とはどんなものか、自分で調べてみようと思いました。
ということで、本書を読んだ結果、自由診療について調べるに至るという結果にたどり着いたというわけです。

長文にお付き合いいただきありがとうございました。自由診療について、知っていることがあれば、教えていただけると幸甚です。



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