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第57回 短期投資はトレンドに沿うこと

これからの来る「少子高齢化」という災害級の悪材料に対して、国は為す術がありません。
だから我々は、自分自身を自分で守らなければならず、その為には、「狡兎三窟」の考え方が重要ということです。
このことは、何も人生という大きな命題に限ったものではありません。
例えば、短期投資一つとっても、一点張りではなく、三点張りの方が安全なわけです。

因みに、これは分散投資を勧めている訳ではありません。
勧めているのは、投資法の分散です。
長期投資の手法なら、一点突破で良いと思いますが、短期投資を考えるなら、時期や環境に合わせて変化させる手法を持っていないと、大失敗を犯す可能性があります。

短期投資では、どうしてもトレンドを読み取る必要が出てきます。
トレンドというのは、言葉通り流行のことです。
流行によって手法を変化させられなかったことで、志半ばで相場を去って行った投資家を、私は多く見ています。
特に、リーマンショックの2007年以前から投資をしている人は、どれだけ残っているでしょうか!?

例えば、2004年~2005年の頃だったと思います。
当時のスイングトレーダーの間で流行っていたのは、マザーズ銘柄のストップ高買いでした。
(※この頃の日本では、技術的にデイトレードは困難だった。)
マザーズ銘柄とは、マザーズ市場に上場されていた銘柄のことです。
今でいうグロース市場の銘柄のことで、俗に新興市場銘柄と呼ばれるものです。

この頃の新興市場のトレンドは凄まじいものでした。
連日、ストップ高が続出しており、ストップ高に張り付くと、その翌日は寄り付きから買い気配で始まり、ギャップアップする訳です。
ストップ高直前で買えば、翌日には10%の利益を取るなんてことは、簡単だった訳です。

ここまで新興市場が人気になったのは、その中核にホリエモンが率いた4753ライブドアがあったからです。
当時のホリエモンは、バブル崩壊以降、旧弊に雁字搦めになっていた日本を再生する象徴的な人物でした。
多くの赤字企業を買収し、4753ライブドアの参加に組み入れ、立て直そうとしていました。
直近で言えば、買収を繰り返していた頃の2928RIZAPGに似ています。

ところが、変革を急ぎ過ぎたため、リーマンショックの前年に当たる2006年にホリエモンは逮捕されてしまいます。
俗にいうライブドアショックです。
この結果、経営者が逮捕された4753ライブドアは大きく売られ、その煽りでマザーズ銘柄も悉くストップ安になり、相場自体が崩壊しました。
確か、3日連続で大きく売られたと思います。
資産が半分になった程度なら良い方で、4753ライブドアに賭けて二階建てしていた人などは、売り場なく一瞬で総資産を失うような状況でした。

ですから、これ以前の相場に慣れていた短期投資家たちは、ほぼ全員と言って良いほど、この後の相場に苦しみます。
彼らの手法は、ストップ高を買って、翌日のギャップアップを利用して利食う。
また、下げたとしても、難平買いを続けていれば、再び買われるので高値を利食う。
これを続けてきて、数十倍まで資産を増やしていた訳です。

ところが、ライブドアショック後は、そもそもストップ高になる銘柄が非常に少なくなりました。
更に、ストップ高となっても、翌日ギャップアップしないばかりか、ギャップダウンして売られて始まることも多々ありました。
他にも、難平買いしたところで戻らず、そのまま奈落の底ということが殆どになってしまいました。

トレンドが大きく変わり、それまでの投資法が通じなくなってしまったために、多くの短期投資家がもがき苦しむことになった訳です。
なぜなら、それまでは1日に100万円単位で利益を出していたのです。
それが、5万円の利益を取ることすら難しくなったのです。
この経験を自分の頭の中をリセットできれば良かったのですが、出来ない投資家たちは、成功体験を忘れられず、トレンドが大きく変わったのに、再び元に戻ると信じて、いくら損失を積み重ねても同じ投資法に固執した訳です。
当然、トレンドは変わらず、いつの間にか彼らからの連絡は途絶えてしまいました。

私は、それ以前の仕手相場の時に、短期投資の難平買いはご法度と教えられていましたから、難平買いはしていませんでした。
だから、それほど大きく儲けられなかった半面、大損まではしませんでした。
また、仕手相場の経験からトレンドが変わることも経験していたため、直ぐに投資法を改めることも出来ました。

ですから、短期投資では一時的に成功した自分の投資法に固執するのは良くないのです。
少なくとも、投資法を3つ持っていれば、固執する必要は無いと思います。
このように短期投資では、投資法を複数持つことで、その時々のトレンドに適した売買が出来るようになると思います。

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