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第76回 7013IHI

7012川崎重工業の調査が中途半端で終わってしまい、ちょっと消化不良になっていました。
そしたら、私が抽出した銘柄の中の売上高2位に、7013IHIがありました。

- これは、重工業業界全体に関わる変革があるのでは・・・・・ -

そう考えて、2位ですが、ここで紹介することにしました。

7013IHIは、元の社名は、7013石川島播磨重工です。
明治初期に設立された石川島造船所と播磨船渠が1960(昭和35)年に合併して、7013石川島播磨重工になりました。

      売上高  営業利益 経常利益  純利益 1株益(円) 1株配(円)
連20.3   1,386,503   60,797    32,251  12,812    84.2    50
◇21.3   1,112,906   27,961    27,617  13,093     88.1     0
◇22.3   1,172,904   81,497    87,637  66,065   439.8   70
◇23.3   1,352,940   81,985    64,865  44,545   294.5   90
◇24.3   1,322,591 -70,138   -72,280   -68,214  -450.8    100
◇25.3予 1,600,000 110,000   100,000  60,000   396.4    100
◇26.3予 1,750,000  125,000  115,000  69,000   455.9  100〜120

こちらも、25年3月期から売上高が急増しています。
つまり、重工業業界全体が、何らかの恩恵を得ているのではないかと仮定できます。
そこで、【重工業】-【好業績】でググってみました。
すると、面白い記事が出てきました。

https://media.finasee.jp/articles/-/13326?page=1

記事自体は、7011三菱重工の好業績の理由が書かれたものですが、対比する形で、7012川崎重工業や7013IHIのことが書かれています。
要約すると、国防関係の受注が大幅に伸びており、これが将来の売上高になることが確実であること。
更に、米P&W社が主導する航空エンジン「PW1100G-JM」の開発で不具合が見つかり、24年3月期は、重工業各社は出資割合に応じて損失を計上しなければならなかったこと。
損失額は、7013IHIが1,500億円、7012川崎重工業が580億円に対して、7011三菱重工は200億円だったということです。

つまり、7012川崎重工業や7013IHIの24年3月期の赤字は、「PW1100G-JM」の損失が原因です。
と言うことは、損失計上が無ければ、下のような数字になります。

7012川崎重工業  46,201百万円 +  58,000百万円 = 104,201百万円
7013IHI   △70,138百万円 + 150,000百万円 =  79,862百万円

となると、25年3月期の業績予想も、あながち嘘ではないという感じがしてきました。
そこで財務状況を見てみましょう。

   1株純資産 自己資本比率 総資産 自己資本 剰余金 有利子負債倍率
◇22.3 2,526.33   20.3  1,879,673 382,134 213,026  1.32
◇23.3 2,850.48   22.2  1,941,964 431,245 251,915  1.20
◇24.3 2,484.13   17.9  2,097,810 375,989 177,403  1.53

7012川崎重工業と同じように、7013IHIも自己資本比率が低く、有利子負債倍率が高いです。
ちょっと気になるので、ここで7011三菱重工の財務も見てみましょう。

【7011三菱重工】
   1株純資産 自己資本比率  総資産  自己資本  剰余金 有利子負債倍率
22.03 4,696.42   30.8   5,116,340 1,576,611 1,099,158  0.68
23.03 5,183.10   31.8   5,474,812 1,740,974 1,243,565  0.68
24.03 6,678.60   35.9   6,256,259 2,244,620 1,433,267  0.51

こうしてみると、重工業業界全体の財務が悪い訳では無いようです。
7011三菱重工の自己資本比率は30%を超え、有利子負債倍率も0.51倍しかありませんからね。
続いて、キャッシュフロー計算書です。

     営業益  フリーCF   営業CF    投資CF 財務CF   現金等残高 現金比率
◇22.3   81,497 142,081 114,155  27,926  -121,489   145,489    7.74
◇23.3   81,985     1,769   54,116   -52,347    -24,043   124,743    6.42
◇24.3 -70,138    10,418   62,117  -51,699   -2,569 138,805    6.62

別段問題点は、見えないですね。

さて、重工業業界全体として、防衛関連の受注が増加していることから、業績の好転が見込まれることが分かりました。
この動きを先取る形で、重工業業界全体の株価は、今年の年初から大きく買われているようです。
特に7011三菱重工は2倍、7012川崎重工業は1.7倍、最も出遅れている7013IHIでさえ、1.5倍です。
更に上値があるかということですが、それはもう少し調べるべきでしょうが、少なくとも暫くの間下値不安は小さいと思います。

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