第7回 騰落レシオ

騰落レシオとは、市場の値上がり銘柄数と値下がり銘柄数の比率から、市場の過熱感を見る指標です。
俗に言うところの買われ過ぎや、売られ過ぎを見定めるためのテクニカル指標になります。
一定の期間、例えば5日間や20日間、25日間の値上がり銘柄数の合計を、値下がり銘柄数の合計で割ったものになります。
ですから5日間のものを5日平均騰落レシオ、20日間のものを20日平均騰落レシオと呼びます。

騰落レシオは、「1」、つまり「100%」が中立の状態になります。
値上がり銘柄数が1,000、値下がり銘柄数が1,000のように同数の時は、2,000/2,000=1=100%になるからです。
そして、値上がり銘柄数が900、値下がり銘柄数が1,100の時は、900/1,100=0.8181=81.8%となります。
値上がり銘柄数が1,100、値下がり銘柄数が900の時は、1,100/900=1.222=122.2%となります。

一般的に、70%以下が底値ゾーンと言われて、タイミング的に買い推奨されます。
また、60%以下となると、数年に1度しか出現しない強い買い推奨のタイミングとされます。
例えば、先ほどの例と同じように2,000銘柄あるとすれば、70%は値上り825銘柄に対して、値下がりは1,175銘柄となります。
また60%は、値上り750銘柄に対して、値下がりは1,250銘柄となります。

日々の株式市場の動きを見ていれば、その日の騰落レシオが70%を下回ることが良くあります。
ところが、これが25日平均になると、なかなか出現しません。
それは、営業日で25日間、1か月半もの期間中、平均的に売られ続けると言うことが少ないからです。
また、これを売り方に当てはめれば、142%が天井ゾーンとなり、166%が強い売り推奨になります。

日経平均騰落レシオをチャートで見たいときは、ググって貰えれば色々と出てきます。
代表的なものは、下記リンク先かと思います。
 https://nikkei225jp.com/data/touraku.php

ただ、ここで間違えてはならないのは、70%を下回ったら買いゾーン、または60%を下回ったら激熱買いゾーンと言えば、それぞれを下回ったら直ぐに、何が何でも買おうと初心者は考えると思います。
が、ここで買いゾーンと言う書き方をしたのは、わざと明確さを排除し、曖昧にするためです。
と言うのも、指数の位置だけで、明確に売り買いを決めることは出来ないからです。

例えば、25日平均騰落レシオで、60%を下回るのは数年に一度です。
直近では、コロナショックの2020(令和2)年3月16日(月)の40.1%です。
この時は、2月27日(木)に日経平均が21,948円まで売られて59.3%を付けてから、多少の上下運動を繰り返しつつ下落し、3月23日(月)に16,888円まで売られています。
この日の25日平均騰落レシオは49.8%です。
つまり、「60%を下回る=買い」と考えるのは安直すぎるということです。

もし、この時に60%を下回ったので買っていたら、21,948円で買い、1ヶ月足らずで16,888円まで下げられているのです。
下落率にして23%、100万円を投資していたら77万円にまで減らされているのです。
短期投資と考えていたら、たまらず損切りさせられているところでしょう。
ですから、「60%を下回る=買い」ではなく、「60%を下回る=買って良い」なのです。
なぜなら、25日平均騰落レシオが60%を下回るほどの悪材料があるのならば、少なくともその悪材料の影響が薄まらなければ、反転が難しいからです。

そして、コロナショックの時でも、コロナウィルス感染症に負けないような経済対策を米国が打ち出したことにより、日本の相場も底入れしました。
3月23日(月)、日本では3月24日(火)の未明になります。
それが米国の3月23日(月)だったことで、日本は翌3月24日(火)から急反騰の動きをしたのです。
このように、騰落レシオに限らず、テクニカルによる買いサインというのは、買って良いという意味になります。
つまりこのことは、青信号の意味か「渡れ」ではなく、「渡って良い」とされているのと同じだと理解してください。
決して、買え、渡れ、の意味でないことを忘れてはなりません。

ただ、初心者にとって材料の評価は難しいと思います。
経験者でも、そう簡単にできるものではありません。
ですから、60%を下回ったときに日経平均を確認しておきます。
そして、60%を下回った日から、一か月半以内に、一番安い、つまり一番売られる日を探します。
「その日が今日だ!!」
そう思える日を見つけ、日経平均の値が60%を下回った日より低ければ、買って良いと判断してください。
そこから更に売られたとしても、次の反発局面では、十中八九買値を上回ってくるはずです。

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