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第117回 第1策 打上花火の策➂

そこで個人投資家が具体的に取る方法です。

➀基本的に、寄り前の段階で、ストップ安近辺の値段で指値注文をします。
なぜなら、売り気配またはストップ安の銘柄に値が付いて反騰するとき、2~3分ほどの猶予しかありません。
もしかしたら、1分間も無いかもしれません。
そんな刹那の中で、銘柄を選んで注文を出すなんてことをしていたら、一つの注文すら約定させることはできずチャンスを逃してしまいます。
ですから、事前準備が重要なのです。
当然、こんな時に買う銘柄は、事前に決めておく必要があります。
焦って、良く分からない銘柄を扱うのは、別の「risk」が生じるので、止めましょう。

また、この時の指値は、環境と銘柄によって変化させても良いです。
元々中長期で買いたいと虎視眈々と狙っていた銘柄の指値は緩くしても良い訳です。
暴落が来る前から買いたいと思っていた銘柄は、こういう暴落は大チャンスになります。
それは、正常な判断では下げないような値段まで、株価は下がって来るからです。
なぜなら、大暴落の時の株価は、売りたい株価ではなく、売らされる株価だからです。

例えば、配当利回りや優待利回りの良い銘柄です。
このような銘柄は、利回りで株価が決まっている為、通常の相場ではそこまで値崩れしません。
しかしながら、売らされる相場では、突飛安と言えるような株価まで売られるのです。
ですから、このような銘柄に関しては、ストップ安に拘り過ぎて買えなかったというのは大きな損失です。
普段より安くなっていることを良しとして、多少高めでも買えるように指値をした方が良いです。

まだ明日以降も弱い相場が続くと感じたら、指値注文を取り消します。
この取り消しは、約定前ならいつでも良いと思います。
反騰の環境が整わず、明日もまだ下がると思えば、約定する前に指値注文を取り消せば良いだけなのですから、「no-risk」です。
ただ、注意が必要です。
突飛高同様、突飛安もあるので、出来高の少ない銘柄を狙うときは、注意が必要です。

また、銘柄選定に当たって、値幅狙いの銘柄は値幅制限を意識することも必要です。
日本市場の上場銘柄には、ストップ高、ストップ安になる値幅制限があります。
その値幅は、下記のとおりに決まっています。

株価(未満) 制限値幅    割合
100    30     30.0%
200    50     25.0%
500    80     16.0%
700    100     14.3%
1,000    150     15.0%
1,500    300     20.0%
2,000    400     20.0%
3,000    500     16.7%
5,000    700     14.0%
7,000    1,000     14.3%
10,000    1,500     15.0%
15,000    3,000     20.0%

この表を見て貰ったら分かるように、株価によって値幅の割合は大きく異なっています。
例えば5,000円弱の銘柄なら、700円しか売られることは無く、その割合は14.0%ちょっとです。
ところが、100円弱の銘柄なら、30円も売ることが出来、その割合は30%超になります。
まぁ、100円未満の銘柄はそれほど多くないので、実際に売買するのは厳しいでしょう。

ですから私は、1,000円超、1,500円超の銘柄を中心に選びます。
例えば1,050円の銘柄の値幅制限は300円です。
割合には、28.6%まで高められます。
1,550円なら値幅制限は400円ですから、25.8%まで高められる訳です。

ですから、5日(月)に、私がストップ安近辺で指値していたのは、7012川崎重工業ではなく、7013IHIでもなく、7011三菱重工業でした。
その理由は株価です。
値幅制限の基準となる8月2日(金)の終値は下記のとおりでした。

7011三菱重工業  1,544    400    25.9%
7012川崎重工業  4,735    700    14.8%
7013IHI    4,927    700    14.2%

そこで、7011三菱重工業のストップ安1,144円からバラバラと1,300円まで指値注文を入れました。
結果、7011三菱重工業は1,250円までしか下げなかったことからストップ安せず、指値もちょっとしか約定しませんでした。
欲張り過ぎてはダメだと言う見本みたいな失敗です。

最後は、チャンスと見極めたら指値注文から成行注文へと変更します。
指値注文のままでしたら、そこまで株価が下がらなければ約定しません。
私の7011三菱重工業のように、約定せずということで、何事も無かったように終わっていきます。
今回の5日(金)のような➂の安値引けならそれも良いのですが、➀や➁の打上花火状態になったときは、そのままにしていたら単なるアホです。
やることは、当然、成行注文へと変更することです。
指値注文から成行注文への変更は、ボタン2つ押せば可能な証券会社が多いです。
既に選んでいる銘柄を軒並み成り行き注文に変更して約定させていくのです。
この時に、株価を見ている余裕は全くありません。
完全に時間との戦いになります。

最後に動きを簡単にまとめます。
➀大暴落が起こったら、ストップ安近辺で指値をしておきます。
➁急反騰が起こらず、まだまだ相場が弱いと感じたら、指値注文を取り消します。
➂急反騰が起こったら、指値から成行に変更します。
➃まだまだ相場が弱いと感じても、買いたい銘柄はストップ安近辺で約定させます。

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