第51回 株価を見るタイミング

前回、得てはならない利益について説明しました。
皆さんは、理解して頂けたでしょうか!?
今回はその続きで、「得てはならない情報」というものもあるということを説明します。

情報というものは、「少ない」より、「多い」方が良いと、誰もが考えています。
今年元旦に発生した能登地震の被災地でも情報弱者が生まれて、支援をなかなか受け取れないという人たちが出てしまいました。
だから、広く情報を伝えることが必要だと言われていますし、裏返せば広く情報を得た方が良いとなる訳です。

ところが情報も、利益と同じです。
利益と同じように、「得て良い情報」と「得てはならない情報」があるのです。
そこで、「得てはならない情報」とは何かと具体的に言えば、基本的に自分で処理できない情報のことです。

- 自分で処理できない情報って何・・・・ -

そう思う人がいるでしょう。

例えば、株価です。
自分が買った株の値段は、ついつい気になるものです。

- 出来れば、四六時中見ていたい -

最初のころは、そんなことも思ったわけです。
が、この株価の大部分は、「得てはならない情報」だと理解してください。

例えば、10年で10倍を目指す投資法の株価を考えてください。
10年で10倍は、複利で年間25%増です。
株価が1,000円の銘柄なら、250円アップです。
つまり、年間250円なら、1日に1円ずつ上昇すれば良い訳です。
ところが、この1日1円の値動きは、結論から言えば、今の市場制度では誤差の範囲になるのです。
なぜなら、1,000円の銘柄の呼値は1円だからです。

呼値とは、株を売買する際の価格の刻み幅のことです。
刻み幅とは、売値、買値の幅のことで、3,000円以下の銘柄なら、多くの場合は1円単位で刻まれることになります。(※中心銘柄は別)
つまり、1,000円で売り板があれば、買い板は999円。
1,000円で買い板があれば、1,001円に売り板があるという訳で、1円違いで指値が出来る訳です。

そこで考えてください。
その日の最後で、1,000円で売りたい人と、999円で買いたい人がいる場合・・・・。
999円で買いたい人が諦めて1,000円の売りを買えば、終値は1,000円になります。
反対に、1,000円で売りたい人が諦めて999円の買いで売れば、終値は999円になります。
つまり、1円程度の値動きは最後の最後の一瞬で決まるのであり、だから誤差だというのです。
誤差に過ぎない株価を見て意味があると思いますか!?
ありませんね。
だから、この株価は「得てはならない情報」となる訳です。
なぜなら、意味がない情報で動くことを、「情報に踊らされる」というからです。
つまり、長期投資家が気になって株価を見ると言うのは、単なる「danger」であって、「high-risk」ですら無いということなのです。

それなら、1週間に1回見たらよいのか!?ということになります。
1週間は5営業日であり、5円、つまり0.5%になります。
ところが、この0.5%もほぼ誤差と言えるものになります。
なぜなら、ちょっと日経平均が動くだけで、各銘柄も±1%程度は簡単に動くからです。
だから、10年で10倍を目指す投資なら、株価のチェックは月1回で十分だということです。
ただ覚えておいて欲しいのは、株価を見ないのが「low-risk」であって、株価を見るのが「high-risk」だということです。

また、四六時中株価を確認するべきデイトレでも、状況によっては「得てはならない情報」になります。
例えば、初心者は、会社勤めをしながらデイトレに挑戦したりするでしょう。
この時、株価が気になって、仕事が手につかないみたいなことになってしまいます。
そして、ついついトイレに行って、株価を確認するというようなことをしてしまいます。

このトイレでチェックした株価が、「得てはならない情報」になります。
なぜなら、トイレで確認した株価は、その瞬間の株価です。
休みの日にパソコンの画面で見続けている株価とは、同じもののように見えても、全くの別物です。
なぜなら、ずーっと見続けたものではないため、その勢いを見極めるのは困難だからです。
また、相場の雰囲気なんてのは、絶対に掴めないでしょう。
そのため、この株価で売買の判断をしてしまえば、多くの場合判断の失敗に繋がってしまいます。

仕事中にデイトレで成功したいと思うなら、昼休みなどを利用して、定期的に株価を確認できるタイミングで売買を組み立てるべきです。
そして、それ以外のタイミングでは、一切株価を見ないようにすることが必要です。
株価は一方通行で動くものではありません。
たまたまトイレで見た株価が低く損切りしたが、引け値は大きく騰がっていたなんてこともあります。
この時、トイレで株価を見ていなければ損切りせず、持ち続けていたはずです。
ですから、トイレで株価を見るのは、NGなのです。

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