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2020年ペナントレース開幕。待ちわびた瞬間を迎えて。

何も変わらなかった。

ニールのツーシームは鋭く沈み、山川のバットから弾かれた球ははるかスタンドへ消え、源田のグラブには静かに打球が吸い込まれた。


ついにプロ野球が帰ってきた。

選手たちに、そして球団オーナー、関係者すべてに感謝したい。

開幕に踏み切ることのリスクは、それこそ山のようにあったはずだ。

感染拡大を防ぐための物理的な対策、日程・移動の調整、それにかかる費用は相当なものだろう。なにより無観客開催による大幅な減収。それによる選手年俸への影響。

選手会と球団側の交渉過程があまり表立って報道されることはなかったけれど、MLBの状況を見れば、NPBだってそれなりにこじれただろうことは想像できる。


でも、そんな困難を乗り越えて、とにかくプロ野球はスタートを切った。

裏側にどんな事情や思惑があったとしても、選手や球団の「ファンのため」という思いが存在していることは疑いがない。それが嬉しい。


静かなスタンドが取り囲む初めての風景。でもグラウンドではこれまでと変わらない、いやさらにレベルアップした選手達の姿があり、その一投一打、意地と執念がぶつかり合う真剣勝負に「これぞプロ野球」と胸が熱くなった。


まだわずか9試合だけど、観客がいようがいまいが、ライオンズ劇場はやはり面白い。どんな点差でも相手チームに息つく暇を与えない恐るべき山賊打線は健在だ。そして僅差に持ち込めば、宮川・平良・ギャレット・増田の剛球カルテットが力づくで流れを手繰り寄せる。まだまだ粗削りのチームだし脆さも併せ持つけれど、秘めたパワーは無限大。とにかくスイングが「強い」。球が「強い」。投打ともにそんな若々しい「強さ」にあふれている。


ふだんより試合数が少ないうえに変則日程もあり、例年以上に何が起きるかわからない。三連覇への期待は大きいけれど、山あり谷ありだろう。

もちろん勝ってくれるに越したことはない。でも今年は、変わらないライオンズ野球を観ていられること、まずはそれだけで幸せだ。最後まで無事にペナントレースが進むことを祈りながら、目いっぱい楽しみたいと思う。

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