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某哲也さん講演会 お昼寝投資法[その2 お昼寝投資法の実践 ・メンタル]


7/6に開催されました某哲也さんの講演会の書き起こしになります。




その 1    お昼寝投資法[その1 お昼寝投資法ができるまで]

お昼寝投資法の具体例

では実際に、怠惰を求めてどう深堀していったのか
私の例をあげて説明していきます。

まず最大の壁、決算書や有報など
なるべく調べものをせずに成績を残すには
どうしたらいいかと考えた時、
未来を予想するのは労力がかかるので、
過去の業績が右肩上がりで成長していれば
これからもなんだかんだ成長していくだろうと考え、
過去10年ほどの業績推移を調べて、
安定して増収増益傾向にある銘柄に投資しようと
いうことにしました。

その増収増益銘柄の中で、
どうやったら安定的でプラスの成績を残せるかと考えた時、
配当の下支えがあった方が株価の底は堅くなると考え、
底がある程度予想できるのであれば保有していても
メンタルが安定しますので、増収増益の高配当銘柄
という範囲に絞りました。

ここで高配当銘柄のデメリットである
減配による株価の下落をなるべく避けるには
どうしたらいいかと考えました。
高配当銘柄というのは、減配すると
株価が減配以上にガクっと下がります。

これは高配当銘柄とか、連続増配銘柄という
ブランドのようなものが剥がれ落ちるからだと考えられます。
ですので、高配当投資というのは
単に配当ランキングの上から買うのではなく、
極力減配をしない銘柄から買っていくことが重要となります。
そうすることで株価の急落をふせぎ、
決算も無事通過していくので
質の良いお昼寝が可能になってきます。

ではどのような高配当銘柄が減配を喰らうのかと考えると、
まずは業績が不安定な株ですが、
これは元々増収増益に絞っているので大丈夫です。
次に、配当を無理して出していないかですが、
いわゆる配当性向が低いほど
利益に対して配当を出すお金に余裕があるので
一時的な減益でも配当を維持したり、または
増配を続けてくれる企業があります。
なので私自身は、配当性向50%以内の銘柄と
条件を絞っています。

また、コロナで大幅減益にも関わらず配当を極力維持し、
見事V字回復を果たしている企業は
よほどのことがなければ減配しないといえます。


このように、私が高配当銘柄を集める理由は
単に配当がほしいというだけではなく、
配当利回りというのが株価の下支えとなるため
株価の底が予想しやすかったり
急激な株価の下落が起こりにくいといった点です。

優待銘柄に関しても同じで、優待がほしいというよりは
優待と高配当を加味した総合利回りが下支えとなるから
持ちやすいということですので、
たとえ単元しか持っていない優待銘柄でも
株価が割高だと思えばスパッと切ります。

このように増収増益で増配基調にある銘柄を
エクセルなどにまとめていきます。

私の心の師匠の1人にみきまるさんという
優待投資家の方がおられるのですが、
彼は優待株いけすといって、とりあえずいいと思った優待株を
単元で買っていけすに放り込んでおいて、
そのいけすの中から戦闘力の高い銘柄を見つけ
ロットを入れるという優待株いけすという考え方を
公表しておられますが、私もその影響から
増収増益増配基調にある銘柄を
買わずともとりあえずエクセルにメモしておき
タイミングを見て購入したりロットを入れたりする
高配当いけすという考え方で投資をしています。

こうして高配当いけすに放り込んだ銘柄で
ポートフォリオを組んで、良さそうなものにはロットを入れ、
高くなりすぎれば利確、割安になれば買い増しをしていきます。

私自身はこのように深堀していって
自分の手法として固めていったわけですが、
こうして自分で考えていった手法というのは
合っているのか間違っているのか分からず自身がなくて、
私でいえばある程度実感をつかむのに5年程かかっています。

ですので、そういう時は今日のようなオフ会で、
自分はこういうような考えでこういう銘柄に投資してるんですが
間違ってないでしょうか?といったような聞き方をすれば
SNSでは怖い印象の先輩方も
本当は意外と優しい人が多いので
お墨付きやアドバイスなどもらえると思います。

私はオフ会に出始めたのがここ2年くらいですので
完全独学になってしまい5年もかかってしまいましたが、
自分の考えを聞いてもらうことによって
試行錯誤の期間を短縮することができるかと思います。

では実際に1つ保有銘柄の例を挙げてみます。SPKという自動車部品の卸の会社です。成長は少し遅い会社ではあるんですが、直近10年スパンで見るときれいな増収増益で連続増配となっています。

配当も2.5%~3%ほどと、低い配当性向でそこそこの配当を出し続けています。加えて2008年頃のリーマンショックも減益ながら黒字で乗り切っており、2020年のコロナショックの時は影響もかなり軽微で業績横ばいの増配となっておりコロナのようなアクシデントでも強い企業といえます。

また、この銘柄は上場企業の中で連続増配期数が花王に次ぐ第2位の銘柄です。花王の配当性向が23年度が159%、24年度が72%と非常に高いのに対し、SPKは25%ほどとなっており、もし花王の連続増配が止まってしまった場合はこの銘柄が1位となるおまけつきでもあります。このようにいくつも下支えがあるSPKのような銘柄はまさに日経が乱高下しようがお昼寝しながら値上がり益や増配が狙える銘柄です。また、乱高下がないといっても地合いなどの影響により多少の上下があります。

これはSPKの月足チャートとヒストリカルPERです。
安定成長している高配当バリュー株は、
乱高下が少ない分、PERや利回りなどの指標で
ある一定の範囲内で動くことが多いです。

そういうところで上手く売りと買いを行うことで
さらに効率よく資産を増やすことができます。
例えばSPKの場合、
PERで見ると8.5くらいで底を打って
12くらいで一旦売られている傾向にあります。
ここをそのまま売買タイミングとした場合
このようになります。

単純にPERだけで見てもそこそこ正確な売買タイミングが
把握できますので、まずはこういったタイミングで
売買するという選択肢が生まれます。

それに加え、指数の状況や利回り、決算の進捗など
総合的に考えて、買い増しや一部利確といった
ムーブがある程度うまくとれると、
ただ持ちっぱなしよりも効率よく資産を増やすことができます。

また、売買をしつつも2023年からの急騰相場を
早売りせずしっかり取ることができるというのも
PERを売買のタイミングに取り入れる大きなメリットです。

SPKは少しマイナー銘柄でしたので、
もう1つ、積水ハウスも例に出しておきます。
積水ハウスもコロナでの影響は軽微で
直近10年安定して増収増益増配傾向の銘柄で
こういった銘柄はSPKのようにPERが強く意識されます。
積水ハウスの場合、
PER9手前くらいで底を打って
12くらいで天井となる傾向にあります。
これをそのまま売買タイミングで当てはめると、
PERで見た時にはこれくらいのタイミングがあります。

SPKと同様に、23年中にはPERが高値に達しなかったので
22年で買っていればこの上昇相場を取りきることができました。

SPKと積水ハウスではPERを例に出しましたが、
例えば配当性向が30%から40%に切りあがるなど
PERが底上げされる場合や
一過性の特益や特損などで
PERが上下する場合などありますので、
PER推移だけにとらわれすぎないよう注意が必要です。

また、銘柄によっては配当利回りやPBR、
月足の水平線など色々なものが意識されたり、
色々なもので今が高いのか安いのかが判断できますので、
その銘柄にとって何が強く意識されているのか、
月足チャートなどを見て判断します。

ただし、割高圏で利確をするというのは難しいので、
まずは割安圏をとらえることを目標とします。

割安圏が判断できると、安く買うことができることに加えて、
ここまでは下がる可能性があるんだという心構えができるので
メンタル的にも安定してくると思います。


このような感じで、インデックスの7%を基準としたとき、
優良銘柄で固めることと、売買タイミングを図ることで
8%を上乗せして、税引き前15%の年パフォを
目標とすることとしています。

この年パフォ15%という数字を
多いととるか少ないととるかですが、
投資を始めたばかりの人に話を聞くと、
目標が意外と高く、30%、50%、中には100%以上狙いたいとか、
もしくは有名な個人投資家を引き合いに
あの人くらいのパフォーマンスをと言われる方が
非常に多く見受けられます。

高いパフォーマンスを目指す理由は
資金が少ないから最初は大きく稼ぎたいと
言われる方が多いですが
私はその考えはどちらかというと反対派です。

資金が少ない時は入金を頑張るというだけで
目指すパフォーマンスは現実的なものがよいと思います。
最初だけ大きく増やしたいという考えは、
一種のギャンブルに近い考え方かと思います。

仮に最初のジャンプアップに成功したとしても、
次から目標のパフォーマンスを下げるという
行動が果たしてとれるでしょうか?
高いパフォーマンスを目指して上手くいったので、
結局失敗して痛い目を見るまでは
高いパフォーマンスを狙ってしまうと思います。
そもそも株でプラスに持っていける人は
半分もいないと言われています。

言い換えれば、株の生涯成績がプラスという時点で、
少なくとも半数以下の優秀な部類の人ということです。
そこでインデックス以上となる7%以上の成績を
コンスタントに残している人というのは超優秀ですし、
まして毎年20%、30%、というような成績を残すのは
それはもう本当にごくわずかな人なのですが、
XのようなSNSではそういう人が目立ってしまうので
目指すべきはそのパフォーマンスだと思ってしまうようです。

たとえば野球で大谷選手と対戦しようと思ったら
少年野球、高校野球と毎日練習して、
甲子園に行ってプロに入って
一軍のレギュラーとして数年活躍して
自分もメジャーリーガーとなって
やっと大谷選手と対戦することができるのですが、
株式投資は投資を始めたその瞬間から
メジャーリーグ級の人と直接対決できてしまう場でもあります。
今年から野球始めましたという野球少年では
大谷の投げる球は打てません。
そして何より、株式投資はその対戦相手が見えません。

図にするとこんな感じです。
無理なパフォーマンスを目指すということは
画面の向こうの誰とも知らない
強烈な凄腕たちと戦うということになります。
またその対戦相手の後ろには、出番が待ちきれない猛者たちが
ウジャウジャとたむろしています。

そしてその猛者たちは、
先物が下がればとりあえずオハギャーと言ってみたり、
ツラくもないのに株ツライと言ってみたり
テキトーなことばかり言ってきます。
要約いたしますと、オハギャーというのはニワトリが
朝になると鳴くのと同じような意味合いで、
コサカスという名の生き物が先物が下げた朝に
元気よく鳴いているという、ただそれだけのことですし、
株ツライは思ったほど儲からなかったから株ツライであって
決して真に受けてはいけません。

前回凄腕と対戦している黒岩さんの図がありましたが、
彼ももれなくあちら側の人です。
みなさん騙されないでください。

お昼寝投資法とメンタル


株結局メンタルと
よく耳にする言葉だと思いますが、
株けっきょくメンタルと言われるということは、
逆にいえば勝てない人のほとんどはメンタルに
問題があるということだと思います。



間違えてはいけないのが
株でいうメンタルが強いというのは
いかなる状況であっても、感情に流されず
期待値に沿った行動を取ることができるということであって、
決して含み損に耐える能力ではないということです。
例えば、購入した当初のストーリーが崩れてしまい
期待値がなくなってしまったと思えば損切りできる人が
メンタルが強い人であって、
そのまま塩漬けにしてしまう人が
メンタルが強いわけではありません。

このメンタルというのは生まれ持った性格や
考え方などで差があるのは確かなのですが、
どうやったら狼狽売りせずにすむか、
どうやったら早売りせずに利益を伸ばせるのかなど
深堀することでメンタルを強化することが可能だと思います。

私の場合を例に出して説明していきますと、
なぜ狼狽売りをしてしまうのか、と考えた時、
狼狽売りをする大きな理由は、どこまで下がるのか
その銘柄の底値が予想できていないというのが
大きい原因だと思います。

なのでまずは高配当銘柄や業績良好なバリュー株に絞り、
株を買う時はPERや利回りをメインに底値を予想してから買う
ということにしました。
また株価が下がればナンピンをしますが、
ナンピンの段階でロットが大きくなりすぎると
狼狽売りにつながってしまいますので、
そのナンピンも底値を考慮して計画的に行い、
もし自分が思う底値まで株価が落ちた場合、
ナンピンも含めてどれくらいの含み損になるのか、
買う時にすでに最悪のケースを想定するようにしています。
そうすることでロット管理も自然と身に着きますし、
含み損であろうとも気持ちに余裕ができると思います。


それでも急落が続くと不安になってしまい、
こういった感情も狼狽売りにつながってしまいますので、
例えば業績推移を見なおしてみて、
業績の右肩上がりを再度確認したり、
受取配当金をエクセルにまとめて、
全体の株価が下がろうとも、全体の受取配当金は
増えているという事実を確認したり、
月足チャートを見てみて、
調整の範囲内であることを確認したり、
とにかく長い目で見て再確認するということをします。


ここで1つ私が大事にしているのが、
下落時もちゃんと株価と向き合うということです。
下落時はもう株価を見ないとか、別口座に放り込んで
株価が目に入らないようにするという人もいます。
それらも自己防衛の手段の1つだとは思うのですが、
やはり私は下落時も株価としっかり向き合った上で
大の字で寝るといったことを大事にしたいと思っており、
寝ることと気絶は違うと思っています。

次はなぜ早売りをしてしまうのかに焦点を置きます
これはおそらく、含み益のうちに利確をしたい
という気持ちがそうさせるのだと思います。
特に含み損だった銘柄がプラテンした時や、
株価が動かず横ばいだったりすると利確してしまいたい
衝動にかられるかと思います。
しかし業績が伸びている銘柄は、株価が変わらなければ
PERが切り下がり、増配基調であれば利回りは上がっていくので
基本的には株価もいずれ上がっていくはずです。
むしろ株価上昇への期待値は高まっています。
まずはこのことを強く強く念頭に置いておきます。
その上で、自分はその株をどこまで上がると思って買ったのか、
どのあたりから割安圏脱出だと思うのか、
新規に欲しい株があるのなら、どちらに期待値があるのかなど、
株を売ってしまいたい心境になった時には
今一度立ち止まってこれらを最終確認するといったことで
早売りを防ぐことができます。

メンタルというのは麻雀やパチンコなど
期待値に常に触れ合って生きてきた人であれば
自然と強くなっていると思いますし、
元々のメンタルに個人差はあります。
ただし、株に必要な最低限度のメンタルは
なぜ、どうしてを深堀することで
誰しもが鍛えることが可能だと思ってます。

メンタルから派生するお話になりますが、
建値というのはそこを基準に
利確か損切りか分かれる分岐点となるので
意識している人は多いと思いますが、
建値に関しては意識しない方がよいと私は考えています。

そもそも利確とか損切りという分け方がよくなくて
売るとか切るとか見切るとか、
特に自分のえがいたストーリーから外れたときに売却する場合、
たまたま含み益があれば利確となり
含み損であれば損切りになるというだけですので、
私は両方まとめて「切る」という表現を使っています。
そもそも建値というのは自分だけの指標であって、
他の人には全く関係のない指標です。

その自分だけの指標を意識してしまって、
塩漬けした銘柄がプラテンしたから売ってしまおうとか、
マイ転する前に利確できるうちに売ってしまいたいとか、
現在の株の価値を無視する要因になってしまいます。
よく含み益バリアとか、下の玉という
表現も耳にしますが、
あれも私はあまりよくないと思っています。
含み益とか含み損というのはどうでもよくて、
大事なのは今の株価で何株持っているのかということなので、
それが含み益のあるなしで考えが変わってしまうというのは
建値にとらわれて株の価値で判断できていないと思います。

また順張りを行う場合、建値を上げてしまうのが嫌という理由で
買い増しを躊躇してしまったり、
建値を意識するとデメリットが多いです。

ただ、含み益というのがメンタルを支えているという場合、
狼狽売りを防ぐ役割を担っているということもあると思います。
しかし、そこに関しては
ゆくゆく建値にとらわれないよう
メンタルを鍛えていったほうがよいと思います。

ここまでざっとお昼寝投資の成り立ちについて
説明してきましたが、そのまとめとなります。
お昼寝投資とは最初に述べたように
なるべく労力をかけずにメンタルすり減らすことなく
資産を増やしていきたいという考えからきてますので、
最低限やらなければならないこと
絶対やってはいけないことを把握しておくのは
非常に大事なことです。

その3へ続く