[書き起こし]日本電信電話[NTT](9432)IRセミナー&質疑応答 2024.8.29開催
2024.8.29に開催致しました日本電信電話[NTT](9432)IRセミナー&質疑応答の書き起こしになります。
登壇者 IR室長 花木 拓郎 様
IRセミナー
皆様こんばんは。
ただいまご紹介にあずかりました日本電信電話株式会社NTTのIR室長を務めております花木と申します。
本日はよろしくお願いいたします。
非常にご多忙の中、また台風が来て足元が悪い中で、夜遅い時間まで私どもの説明会をご視聴いただきありがとうございます。
ご視聴者の皆様だけではなく、運営の山様にも厚く御礼を申し上げたいと思っております。
私どもの説明会は、去年の9月に初めて開催いただき、それから今年の1月に2回目、今回で3回目の開催となります。
過去2回の説明では、2023年5月に公表いたしました私どもの中期経営戦略の全体像や背景をメインにご説明してきたところでございます。
今回は、まず最初に、私どもの株価が5月の決算発表以降だいぶ低迷してしまっていますので、その要因などを少しお話しさせていただきます。
その後、中期戦略公表から1年経ちましたので、その進捗などを説明していきたいと考えております。
冒頭で大体30分くらいご説明をさせていただいた後に、90分間、皆さんからのご質問をお受けしたいと思いますので、何なりともご質問をお寄せいただければと思います。
では早速ですが、まずこの1年間の株価のグラフを表示させていただいております。
このグラフの中で、中期の公表以降、徐々に株価は上がってはきたのですが、2024年の1月に191円と付けた後に徐々に下がり始めて、5月にこの赤い矢印のところで少し大きく値を下げてしまいました。
その後、少し回復をしたものの、また日銀の利上げなどの話で大きく下げて、今まだ回復の途上にあるというのがお見受けできるかと思っております。
日銀の方はなかなか市場全体のお話なので私どもだけではどうにもならないところなのですが、この下げの部分については私どもに大きな要因があるだろうと考えております。
その一番の要因は、こちらの2024年度の業績予想だと考えております。今年度の業績予想は、営業利益、当期利益、EBITDAの3つともが大きな減益の計画を公表したところでございます。
どうしてこういうことになっているかと申し上げますと、実は終わった期、2023年度が過去最高益を更新しております。この過去最高益をなぜ更新してたかというと、この年が私どもの前の中期戦略の最終年度にあたり、投資家の皆様とお約束をした利益をしっかり確実に達成をさせるために、実はコロナ禍以降、基盤となる通信事業の業績はかなり厳しい状況にはなっていたものの、しっかりとそのお約束の達成を重視して、私どもがノンコア資産と呼んでいる不要となっている不動産を売却する等々を行って、なんとかこの利益達成につなげたというところがございます。
今年度はそのノンコアアセットの売却というのがほとんど含まれていないところもあって、大きな減益となっております。
そうなると、この中期計画が本当に達成できるのかというご質問を投資家の皆様からよくお受けすることがございます。
基盤の利益はノンコアアセット売却を除いた部分では23年度から24年度にかけて微増させていることはあるのですが、それに加えて27年度に中期計画では4兆円のEBITDAを達成しようとしています。
これまで申し上げてきたような成長分野、新しい分野に積極的に投資を行ってリターンを最大化することに加え、NTTドコモやNTTデータといった私共のグループ会社の再編成が行われておりますので、その再編成のシナジーでしっかりと法人ビジネスを強化いたします。
この辺りはこれまでもずっとしっかり利益を上げていこうと申し上げてまいりました。それに加えて足元の通信ビジネスが厳しくなっているところを抜本的なコスト構造改革を行うことにより、回復をさせていこうと考えております。
この足元の業績が厳しくなっている要因としては、コロナ禍が非常に大きな転換点になっていると認識しております。コロナ禍で私どもはリモートワークなどの需要を取り込むことによって、データ通信などのビジネスについては大きく伸ばすことができました。一方でコロナが終わり、コミュニケーションが変化したこともあって、私どもの音声でのやり取りによるコミュニケーションの収入は大きく縮んできている状態です。
また法人ビジネスのようなデータを使ったビジネスはしっかり獲得できていますが、個人向けの通信ビジネスは競合他社も非常に強いところがあり、なかなか伸び悩んでいるところもあります。そういったこともあって基盤通信事業がなかなか伸びていないというのが実態です。
これを抜本的なコスト構造改革としっかりと営業強化などを行い、株価を回復させていきたいと考えているところです。ここまでが株価が低減している要因とそれへの対応策です。
1.NTTグループの概要
次からはグループの概要や中期の進捗などをご紹介させていただきたいと思います。
NTTグループの概要です。
これまで何をやってきたかでございますが、既にNTTグループの概要は皆様もご存じかと思います。NTTドコモ、NTT東西、NTTデータといったビジネスを行う会社に加えて、不動産やエネルギーといったビジネスを行うコングロマリットでございます。
これまでの業績としては、真ん中に2つのグラフ、営業利益とEPSのグラフを記載しています。これは何とか徐々に成長させてこれたのではないかと思っています。実は一番下のEBITDAというところだけが横ばいのイメージになっています。このEBITDAはキャッシュベースの利益で、非常に重要な成長投資や株主還元のために非常に重要な指標だと認識しており、今回の中期戦略の中ではこのEBITDAを成長させていこうと考えているところです。
とはいえ、営業利益とEPSを伸ばしてきたおかげで、だいたい15年前ぐらいからのグラフですが、中長期では株価はおかげさまで伸ばすことができています。足元のここの下がり基調のところをしっかりもう一度上げ基調に転換できればと考えて取り組んでいます。
2.中期経営戦略
その具体的な戦略になるのはこの中期戦略の内訳です。これはNTTがこれから何をやるのかを考えており、これは私どもの中期戦略のスローガンです。「NTTは挑戦し続けます。新たな価値創造と地球のサステナビリティのために」と掲げて取り組んでいます。新しい価値を作ってそこで新しい収益利益を創造することに加えて、地球のサステナビリティ、社会的課題の解決にもつながる取り組みも併せて行っていきたいというものでございます。
具体的には上に4つ大きな柱を記載しています。IOWNという私どもの技術を使った新しいサービスを具現化すること、それからデータドリブンといって企業のデジタル化などの需要を取り込むことによって収益を拡大する、それから循環型社会、これはサステナビリティの観点でグリーンビジネスのようなものをしっかり成長させていく、それから最後に事業基盤のさらなる強靭化、これは通信を担う我々インフラ事業者としての責務と考えており、しっかり安心安全なネットワークを作り上げていくというものです。
これらの価値創造に向けた取り組みをお客様体験の高度化、よくCXと言われていますが、CXやそもそも働いている私ども自身のEXと呼ばれる高度化を行うことで下支えをしながら、これを実現していくというのが私どもの中期戦略の柱です。
そのために具体的な財務的な数字で言うと8兆円を投資すると言っており、この中期の期間5年間の間で成長領域としている分野に約8兆円と投資規模を拡大させていきたいと考えています。これは上の水色と青の部分になります。それからグレーの部分は基盤の通信ビジネスの部分ですが、そちらの部分は効率化もしっかり合わせて行うことによって徐々に金額を減らしていって、大体5年間で4兆円ぐらいの水準に落としていくということになります。合わせて5年間で12兆円というものです。
それぞれ何をやっていくかを簡単にご紹介しながら、実績取り組みの状況なども紹介していきたいと思います。
2.中期経営戦略(1) データ・ドリブンによる新たな価値創造
まずデータドリブンによる新たな価値創造というもので、これはまずは法人のお客様向けのビジネスのご紹介です。拡大しているデジタル化の需要をしっかり取り込むということです。そのためのAIやロボットなども活用したビジネスの拡大に5年間で3兆円ぐらい使っていこうと考えています。
既にグローバルの自動車産業においてや、こういった倉庫業のようなところでも私どもの受注が取れるようになってきました。またこれはラスベガスのビジネスですが、こういったグローバルでも地方公共団体のようなところから受注をいただけるようになってきています。私どものグローバルのグループ会社が連携をしながら、こういった受注をこの先も拡大していこうと考えています。
この国内外のデジタル化の波を支えるインフラがこのデータセンターです。このデータセンター事業でも私どもは拡張高度化を図っていきたいと思っています。この領域には5年間で1.5兆円の投資を行っていこうと考えております。世界各地のデータセンターを、この丸いバブルで示しているように広げていこうというものです。
実はすでにNTTグループのデータセンタービジネスは世界でも第3位に位置づけられております。この先、このデジタル化の波によってこのデータセンター市場もまだまだ伸びていくものと想定をしております。
加えて、皆様ご存知の生成AIの登場によりまして、このインフラビジネス、データセンタービジネスというのはさらに伸びるのではないかと考えています。この生成AIは、今皆様がよくお耳にするような個人の皆様が使用できるような生成AIというのは、多くはGAFAのようなプレイヤーがグローバルに展開をしているわけですが、このGAFAといったグローバルプレイヤーが生成AIを使うためのインフラのこのデータセンターというのを実は提供しているのはNTTグループだったりするということです。
NTTグループのデータセンターの顧客の6割はGAFAでございまして、しっかりこのGAFAの生成AIの成長に寄り添う形で私どものデータセンタービジネスも伸ばしていければと考えております。
このデータセンタービジネスはインフラ事業者として支えるだけではなく、我々自身もサービスの提供者として存在しようと考えています。それが昨年公表いたしました「tsuzumi」という私どもの独自の生成AI LLMです。
これは日本語と英語に対応しておりまして、日本語の分野では世界トップクラスの性能を示しています。
また、いわゆるchatGPTのように非常に大きなデータセンター、電力消費、こういったものが必要なLLMとは異なって、軽量でコストパフォーマンスがいいAIとなっています。
これをどういった局面で使っていくのかと申しますと、主に私どものターゲットとしているのは法人のお客様でございます。ChatGPTやGeminiのようなグローバルで使われている生成AIのメリットというのは、世界中から非常に多くのデータやドキュメントを学習することによって性能を上げているというところがあります。一方で社内の機密文書やノウハウ等はそのようなグローバルな生成AIを使うことに躊躇する企業さんが非常に多くなっております。
そんな中で私どものこの小型のAIを法人のお客様に提供することによって、自分たちのノウハウを外に出さないで自動化に資するような生成AIを作ることができるというものです。
また、この「tsuzumi」はコストパフォーマンスに優れていると申し上げましたが、GPU、いわゆるデータセンターの出力もchatGPTに比べると25分の1とか20分の1ぐらいの能力で動くことができますので、非常にコストメリットも訴求できるものです。非常に多くの日本の企業の方から引き合いがございまして、第1四半期末の時点で650団体以上のお客様からご相談をお受けしているというところです。
ここにロゴがあるようにヤマト運輸様や富士薬品様、福井県様や町田市様や千葉大学様からも引き合いを受けているということに加えて、
つい先日、MicrosoftのAzure上にこの「tsuzumi」を搭載することが決まっております。そういう意味ではこのグローバルに私どもの生成AIが活用される可能性が高まってきているという考えているところです。
またこの小型のAIを運用するという私どもの考え方は、私どもの中では連鎖型AIと呼んでおりまして、環境にも優しいAIの活用だと認識をしております。また産業ごとにクローズドのAIを連携することによって新たな価値の創造にもつながるだろうと考えまして、この8月にAI-CIXという新しい会社を設立しております。この小型のAIをつなげてソリューションをすることをこの新しい会社の中で企業のお客様に提案していきたいと考えているところです。
このように私どもインフラ面でこの生成AIの拡大にお支えするということに加えて、自社のAIも活用してサービサーとしても利益の拡大化に努めていこうと考えております。
2.中期経営戦略(1) データ・ドリブンによる新たな価値創造
次にご紹介したいのはデータドリブンの中でも個人のお客様向けのビジネスの部分です。個人のお客様向けにはNTTドコモがビジネスの展開をしておりますが、この領域では5年で1兆円ぐらいの投資を行っていこうと考えております。
すでにドコモの金融決済事業というのは皆様ご認識のあるdカード、d払い、dポイントといったサービスで、すでに金融の決済取扱高としては13兆円ぐらいまで成長しているビジネスでございます。
こちらをさらに拡大強化をさせていくために、投資の領域ではマネックス証券、融資の領域ではオリックスクレジットという会社を買収しておりまして、私どものケーパビリティをさらに拡大させて、より多くのお客様にご活用いただける基盤を作っております。
また保険の領域では、はなさく生命さんであるとかイーデザイン損保さんと連携をしてドコモのモバイルをご利用のお客様によりさまざまなサービス・メリットを活用いただけるような取り組みを進めているところです。
さらにこの4月には、私どものモバイル向けのサービス「ahamo」に「ahamoポイ活」というオプションプランの提供を開始しております。8月には同じくモバイルサービスの「eximo」に「eximoポイ活」というプランを設定いたしまして、より多くの皆様に私どものポイントを活用しやすくしていただけるようなプランも提供を始めたところでございます。
さらに、私どもはマーケティングソリューションと呼んでいるのですが、個人のお客様の消費行動を企業のマーケティングに活用するための会社、インテージホールディングスを買収しております。こういった領域でもしっかりと私どものビジネスを拡大させていくということを考えているところでございます。
2.中期経営戦略(2) 循環型社会の実現
続きまして、中期戦略の中で脱炭素、サステナビリティというキーワードのところをご紹介したいと思います。
私どもの社内では循環型社会の実現と呼んでおりまして、私どものグリーンエネルギービジネス、こういった領域で5年間に1兆円ぐらいの投資を行うことを考えております。
既に昨年、私どもは2040年にネットゼロという目標を掲げて脱炭素化の取り組みを進めているところでございます。それに向けて昨年、日本最大級の再エネ事業者であるグリーンパワーインベストメント社を買収しております。
これによって私どもの再エネ供給能力というのが、右側の4.2億キロワットから約80億キロワットぐらいまで伸ばすことができておりまして、将来の再エネ電源の活用にも大きくつながることができるというふうに認識しているところでございます。
2.中期経営戦略(3) IOWNによる新たな価値創造
また、次の柱は「ウェルビーイング」「レジリエンス」です。まず一つ目は、IOWNによる新たな価値創造でございます。IOWNとは、徐々に報道などでも出てくるようになってまいりました、私どもの次世代のネットワークの構想でございます。これは今すでに限界を迎えつつある電子的なデータ処理に革新的にゲームチェンジをしていく技術だというふうに認識をしております。
我々の中では「ウェルビーイングの世界」と呼んでおりまして、このIOWNによる新たな価値創造ということで、私ども大体毎年1000億くらいの研究開発費を投じて、このビジネスの具現化に取り組んでいるところでございます。
IOWNは実は4段階くらいに分かれておりまして、もうすでに2022年度の段階でIOWN 1.0と呼ばれるサービスの提供を開始しております。これはIOWNの中でもいわゆるネットワークを端から端まで光で提供するというのがこちらのIOWN 1.0ということです。
2025年度から始まってくるのがこのIOWN 2.0というものでございまして、徐々にこの光の処理というのをコンピューティングの中に、ネットワークは私どもの得意な領域ですが、私どもの領域から離れてコンピュータ領域にまで光の処理を伸ばしていくということを私どもとしては狙っております。
まずIOWN 2.0では、サーバーの中にあるボードとボードを結ぶデバイスを光で処理するというのを検討しております。その後、2029年度にはIOWN 3.0ということで、このボードに乗っているチップとチップを結ぶ部分を光化すること、最終的にIOWN 4.0の世界では、チップの中の処理も原子から光に変えていくと考えているところでございます。
こちらはIOWNのイメージ図でございます。実はもう電子の世界での処理は、膨大なデータ量の増加には耐えられなくなりつつあります。また、その膨大な電子処理は、非常に多くの電力を消費するようになってしまっています。こういった課題を解決するのが私どものIOWNに使われている主要な技術でございます光電融合という技術になっています。
先ほどIOWN 2.0は、ボードとボードを結ぶところを光化するとお伝えしましたが、従来型からIOWN 2.0に変わることによって電力効率が8倍に上がると考えています。最終的にチップの中まで光化することによって電力効率は100倍まで向上すると考えておりまして、私どもとしては世界中の電力削減に大きく資するものだと考えて取り組みを進めております。
ただ、この研究開発としては私どもの技術、世界をリードするものだと自負はしているのですが、ただ、これを普及させるという点においては私どもより、例えばチップの分野であればインテルさんであるとかTSMCさんであるとか非常に大きなプレイヤーがいますので、そういった皆様と連携をしてこの技術を使っていただいた方がグローバルに広げることができると考えています。
そのために私どもは昨年、北米にIOWNグローバルフォーラムというのを立ち上げまして、多くのプレイヤーの皆様との連携を進めておりまして、今大体140社ぐらいまで増えております。その中には先ほど申し上げたGoogleさん、インテルさん、マイクロソフトさん、TSMCさん、メーカーでもトヨタさん、あと私どものモバイルの事業では競合ですがKDDIさん等、皆様と一緒になってこの技術の具現化に取り組んでいることでございます。
サンフランシスコの展示会で今年の4月に私どもの社長が講演をしておりますが、非常に多くのメディアでも話題になっている技術です。
最後に、技術の面では宇宙の世界でもしっかり伸ばしていこうと考えております。実は一言で宇宙といっても、静止衛星であるとか低軌道型の衛星であるとか、この真ん中に小さくあるHAPSというドローンを使った通信であるとか、いろいろな技術がございます。個々の技術を伸ばしていくことに加えて、それぞれの技術をつなぎ合わせることで、いつでもどこでも使えるようなネットワークの実現に向けても研究を進めております。
これには少しまだ時間がかかりそうですので、それまでの間、私どもとしても自社のネットワーク、この静止衛星を使った衛星通信のスタートであるとか、STARLINKさんとの連携による低軌道衛星を使った衛星通信も既に始めて新しい技術にも対応していくというところでございます。
2.中期経営戦略(4) 事業基盤の更なる強化
最後に、事業基盤の強靭化、レジリエンスでございます。安心安全に使っていただけるネットワークを実現していこうというものでございます。元々日本は非常に災害が多いので、災害においてもすぐに復旧可能な強靭なネットワークを作ろうということで、2025年度までに1,600億円ほどの投資を行っていこうと掲げております。
あと、この分野においてはさらにお客様品質の強化も考えております。これは昨年、NTTドコモのネットワークがつながりにくいということがよく話題になっていたと思っております。この点につきましては皆様にご不便やご心配をおかけしたことを大変申し訳なく思っているところでございます。
NTTドコモとしては設備の増強をしっかり行います。また、それを継続することによって、そもそも物理的につながりやすくすることに加えて、お客様体感として使いやすくなったかも私どもとしてもしっかり測定をしながら、皆様により使っていただきやすいモバイルネットワークというのを作っていこうと考えております。こういったことも私どものインフラ事業者としての責務の一つだと考えておりますので、こういった日頃の努力をこの先も続けていきたいと考えております。
これは能登半島における災害復旧のお話です。
2.中期経営戦略(5) 中期財務目標
これらの取り組みを財務の目標で言いますと、こちらの表のとおりでございまして、全グループの目標としてはEBITDAを20%増加させるとしております。成長分野においては40%、既存分野では10%の増加をさせ、それぞれの取り組みを組み合わせてしっかり成長をしていきたいと考えています。それに加えて、下の方に文章で書いてありますが、サステナビリティ関連指標です。女性の新任管理者の登用率をしっかり掲げていくであるとか、温室効果ガスの排出量の削減の目標も達成していきたい。
それらに加えて、少し前のスライドでもご説明しております顧客の満足度であるとか従業員の満足度もしっかり測定をして改善させていくことで、新たな価値創造が生まれやすい環境も作っていきたいと考えております。
3.株主の皆さまへ
最後に私の説明の部分でございます。株主の皆様へと掲げております。私どもの株主還元の方針となります。
配当につきましては、継続的な増配の実施を基本的な考えとしております。自己株式取得についても機動的に実施をして、資本効率を継続的に向上してまいるというものを掲げております。
まず配当につきましては私ども14期連続の増配を行っていく予定でございます。増配を行う前の時点から比べると、約10倍まで配当を増やすことを達成してまいりました。この先も引き続き増配を続けていきたいと考えております。
また資本効率の向上につながる自己株式取得でございますが、私どもは2023年度までに5.5兆円の自己株式取得を実施してまいりました。おそらく日本の中でも最大級の規模だと思います。今年度も2,000億円の自己株式取得を予定しておりまして、この面でも引き続き資本効率向上で皆様の還元につながるような取組を続けていきたいと考えております。
また特に個人の投資家の皆様が投資しやすい環境を目指すということで、昨年25分割という大規模な株式分割を行っております。これによって株式分割前92万人だった私どもの個人の株主数が、直近6月末で226万人まで増やすことができました。この私どもにご期待をいただいてご購入いただいた株主の皆様にしっかりとお応えできるように、私どもの事業戦略、株主還元、こういった取組は引き続きしっかりと強化をしていきたいと思いますので、ご期待をいただければと考えております。
少し長くなりましたが、私からの説明は以上でございます。
質疑応答
Q. IOWNで掲げる光電融合技術について、競争環境についての認識をお伺いしたいです。例えばTSMCがシリコンフォトニクスという名前で同様の技術を開発しているように見えます。現在のNTTの競争優位性やNTTから見た脅威を教えてください。
A. ご質問ありがとうございます。ご認識の通り、私どもは光電融合技術と呼んでおりまして、電子の世界からこれを解決するのは光の世界に変えていくしかないという認識は、実はNTTグループだけではなくて世界中の通信やTSMCさんのような事業者さんとも共通認識になっております。
ただ、私どもの強みとしては、実は日本は世界で最も進んだ光のネットワークを保有しており、非常に長い間、光の技術について研究を進めてきたという自負がございます。この光電融合の技術において、まだ世界をリードする技術を持っていると考えております。この技術面でリードしている間に、しっかりと世界でのシェアを取っていきたいと考えております。
それからTSMCさんがシリコンフォトニクスの研究を進めているという話ですが、実は技術の範囲でも私どもと少し差異がございます。半導体というのはシリコンウェハーの上に配線を徐々に貼り付け、縦方向に層のように重ねていく、その中で光の技術を融合させていくというのがこのTSMCさんの技術のようです。実はNTTグループが進める光電融合技術というのは縦に重ねるのではなく、横に並列化ということを世界で初めて実現化をしています。これは薄膜化と呼んでいる技術で、モバイルであるとかデバイスが小型化する中で、このチップを極限まで薄くすることができる技術というのは非常に大きな力になると考えています。
そういった意味でも長年の技術の積み重ね、それから半導体の世界でも薄膜化という特異な技術も有しておりますので、貴重な技術をしっかり守りながら、一方ではTSMCさんのようなところにも私どもの技術を使っていただいて、実際に半導体として完成品を供給するのはTSMCさんのようなところになるので、その中で利益を私どもとシェアしていただくということが我々の戦略となっております。
脅威としては肝心の私どもの技術を皆様に使っていただけないということだと思いますので、皆様にしっかり使っていただけるようにIOWNグローバルフォーラムというのを取り組んでいます。既に有力なメーカーさんと一緒にこの技術の具現化に取り組んでいるところでございます。
Q. 日本国外でIOWNを使ったサービスをNTT自ら展開することは念頭にありますか。
A. ありがとうございます。今ご説明した通り、IOWN4.0の世界でチップ内の光化をして半導体の製品の一部として私どもの技術を世界で使っていただくというのが最終的な目標でございます。今の時点でもネットワークとネットワークをIOWNの技術でつなぐというIOWN1.0という世界は、既にグローバルで始まっております。
実は、データセンターは電力を食う、それから土地も使うということで、非常に需要は旺盛ですが、世界中で大きなものを作りきれなくなってきているというところがございます。私どもは既存のデータセンターをIOWNで結ぶことによって、仮想の大きなデータセンターと同じ機能を有するようなネットワークの構築を始めているところです。既にこのIOWN1.0を使った実証実験がイギリスやアメリカで行われております。
それから今日報道があったのですが、日本と台湾のデータセンターをこのIOWNで結んで処理をするというサービスが始まるということです。まずはこういうネットワーク寄りのビジネスをグローバルに展開することから始めまして、最終的にはこのデバイス、チップといった部分で他のメーカーさんとタイアップしながらビジネスをグローバルに展開していければなと考えております。
Q. 成長投資と株主還元の両立は可能なのでしょうか。多額の投資が必要になる中で、これまでのように増配を続けることはできるのでしょうか。
A. ご質問ありがとうございます。IOWNに対して非常にご期待をいただきまして、ありがとうございます。
今の時点では、どちらかというと私どもの研究開発の成果をデバイスにしていくような研究開発を行っております。大体年間にしてみると1000億円くらいの投資を、この先も数年続けていくことになると思います。
大きな投資が必要となってくるとすると、IOWN3.0とかIOWN4.0というレベルになってくると、世界中の半導体メーカーさんとタイアップをしながら、それこそ工場を作ったりとか、そういったところにも乗り出していく必要があるのだろうなと思っています。こういったところでは、この1000億というレベルでは少し足りないので、この投資額というのはさらに拡大していくのかなと思っています。今の時点では年間1000億くらいのしっかりとした研究開発投資で、まず技術を確立するということを行っているところでございます。
株主還元とのバランスという意味では、私どもはIOWNだけではなくて、この5年間の中期戦略の中では8兆円くらいの成長投資をしっかり行っていきたいと考えています。ただそれだけではよくないと考えておりまして、その間にしっかり皆様にその成果を還元しながら成長投資を行っていく、この両立を実現していきたいと考えています。
Q. ドコモの海外事業を統括する新会社、NTTドコモグローバルが設立されておりますが、こちらの意義を教えてください。
A. はい、ご質問ありがとうございます。グローバルビジネスの展開というのは、これまでのところはNTTデータのグローバルの子会社が主に行っておりまして、データセンタービジネスや海外のお客様向けのソリューションを主に展開しております。
ドコモがこれから行っていく海外事業というのはどういったものになるのかというお話ですが、大きく二つの柱があると考えております。まず一つはネットワークの技術、無線のネットワーク技術でORANというものがあります。NTTドコモも展開をしておりますし、日本の事業者さんですと楽天さんとかが行っている、いわゆる物理的なアンテナでコントロールするだけではなくて、そこにソフトウェアを多く使うことによって効率的なネットワーク作りに資する技術でございます。これ実はドコモでも確立した技術でございますので、これを世界に輸出していけないかというのを考えております。
もう一つは、例えばWeb3であるとか、私どもの金融決済領域で行われている様々なサービスであるとか、主に個人のサービスの中で成功しているビジネスを、グローバルの通信キャリアの個人向けのサービスの助けになるようなことができないかというものです。この領域では、将来的にはWeb3と呼ばれているクリプトとか暗号資産とか、こういった領域の技術も我々として輸出できるものはないかと考えております。
Q. 株式分割により株主が大幅に増えたことについて、二つの質問があります。まず、投資家にとってはどういうメリットがあるのでしょうか。次に、株主の年齢層が大きく変わったと思いますが、今後もさらに若い株主を増やし続けたいというお考えでしょうか。
A. ありがとうございます。まず、株主の数を大きく増やすことによる投資家の皆様へのメリットについてですが、私どもはコンシューマー向けのドコモであるとかNTT東西のサービスを行っている事業者ですので、個人の株主様はお客様でもあると考えられます。株主様になっていただくことによって、私どもの事業にもご関心を寄せていただいて、サービスをお使いいただくこともあるのではないかと考えております。私どもNTTグループのファンになっていただくことを狙って、株式分割を行っております。私どもの株主になっていただいて私どものサービスを使うことによって、私どもの事業の成長にもつながるものだと思っております。これが一番大きなメリットと考えております。
年齢層は、元々過去の政府のNTT株の売り出しに応じた世代の方がずっと塩漬けにされていた実態がございまして、あまり若い方から関心を持たれない株でした。ここもしっかりと若い方にも関心をお持ちいただくことで、この先も個人の株主様というのが一定数私どもの株主構成の一部を占めることになると思います。
株主構成については、我々が考えるのは、例えば機関投資家の皆様だけがいればいいというわけではないですし、個人の投資家の皆様だけがいればいいというのもないと思います。やはり投資行動も異なる皆様ですので、バランスよく投資家の皆様が存在するということが、私どもは適正な株価形成に資するだろうと考えています。
その意味では、これまで少し個人投資家の皆様の数が少なくて、かつこのグラフにもありまして分割前はどんどん減っていたという実態がございます。このままですと、やはりその機関投資家の皆様のご意見だけに左右されてしまうというところもございますので、そういったところを少しバランスよくするというところも、既にお持ちいただいている投資家の皆様にとってはメリットにつながるのではないかなと思います。
そういう観点では、お若い株主の皆様にもこの先長くお持ちいただければなと期待をしているところでございます。
Q. 株式分割によって大幅に株主数が増えていますが、それに伴い株主総会の通知など、郵便発送作業などの手間費用も増えると思います。手間費用削減で何か対策はされているのでしょうか。また、総会資料等の発送の電子化率はどれくらいなのでしょうか。
A. ありがとうございます。おっしゃる通り、会社法の定めによって株主の皆様に必ずお送りしなければいけない資料がございまして、代表的なものは株主総会の関連資料になります。実は結構なページ数があって重さもございますので、封書でお送りするとなると結構なコストもかかってしまいます。
そこで、私ども株式分割を行って株主の皆様の数が増えていくのを睨みながら、会社法の中で一昨年認められたものですが、招集通知の多くのページをウェブベース、電子化することが可能になっております。実は法律上は、株主の皆様にお送りするのは株主総会の日付と総会の議題、あと議決権行使のやり方くらいしかお送りしなくてもいいのです。それにプラスアルファの限定された情報だけを皆様にお送りし、本編はウェブで見ていただくことで印刷代や紙資源の無駄も減らしながら、かつ郵送コストを大きく減らすことができています。
さらに、これも法律上の手続きですが、株主の皆様から電子メールアドレスを頂戴することによって、限定された情報も電子メールでお送りすることができるという手続きがございます。電子メールをお預かりする手続きも結構大変ですが、dポイントを進呈することによって、皆様にその制度にご加入をいただくことを促進しているところでございます。
この制度、実は来年の総会に向けて今、株主の皆様に周知を図っているところでございまして、大変ご好評をいただいております。実数は差し控えさせていただきたいのですが、6月の頭に皆様に周知し、今の時点で数万という規模感で、非常に多くの株主様からご応募をいただいております。
何度も何度も皆様に周知をすることによって、郵送のコストを削減する一方で、電子の世界では内容を充実した招集通知を掲載し、デジタル化を推進することによって、コスト全体を 何とか減らしていきたいと考えております。
Q. 株式会社NTT AI-CIXの設立目的として「業務業界横断した連鎖型AIサービスを推進」が掲げられていますが、具体的にどのようなサービスを想定しているのでしょうか。
A. ご質問ありがとうございます。先ほどプレゼンの中でもご紹介をさせていただきましたが、法人のお客様が社内の業務をAIで置き換えていくということは非常にビジネスの効率化、デジタル化につながります。一方でデメリットとして自社内のノウハウなどが流出するリスクがあるので、どうしても汎用型、大型のAIは使いにくいところもあります。
そのため、会社ごとや産業ごとに閉じたAIが、この先いくつか出てくると私どもは想定しています。この小型のAIを連携させることによって、大型のAIと同じような機能を有して、かつノウハウを守ることができるようなソリューションができるのではないかと考えておりまして、これが連鎖型AIとしても呼んでいます。こういったソリューションの提案をしていくのがこのAI-CIXという会社の目的となります。
当然、大型のAIのデメリットにある非常に大型の電力消費とか、情報の他社への流出といったものを抑えながら、新しい価値を創造できるのではないかと考えております。
Q. 直近発表された決算で、増収の要因で165億円営業収益が増えていると不動産・エネルギーとはどのような仕事を指しているのでしょうか。
A. ありがとうございます。「第1四半期の決算で収益と利益のセグメント別の資料をお見せいただけないか」という事前質問もいただいていました。こちらが、第1四半期決算で私どもが公表しているプレゼンテーションのセグメント別の状況でございます。ご指摘の増収になっている不動産・エネルギーというのは、我々の事業セグメントの中にいわゆるドコモの行う総合ICTとか、NTT東西の地域通信、それからNTTデータのグローバル・ソリューションという比較的皆様ご存じのセグメント以外に、実はNTTグループの中にはアーバンソリューション、その子会社であるNTT都市開発などの不動産ビジネスであるとか、GPI社という再エネ事業者を買収したNTTアノードエナジーというエネルギー事業をやっているビジネスというのがございます。
こういったビジネスがその他というセグメントには含まれています。この増収の165億の増益は、第一四半期の時点ではこの不動産ビジネス、国内外の住宅販売が好調だったこともあり増収増益となったというところでございます。
エネルギービジネスは、先ほどの再エネビジネスの展開に加え、総合ICT事業をやっているドコモがドコモでんきというサービスを提供していますが、その電気の元となる再エネの調達を行っています。ここで大きく儲けるというビジネスではないので、収益としても前年並みというところでございます。
Q. 総合ICT事業が増収なのに減益になっているのはどのような理由なのでしょうか。
A. ありがとうございます。実は総合ICT事業の中にもいくつかのセグメントが分かれております。総合ICT事業は、みなさまよくご存知のいわゆるモバイル通信を行う事業、モバイル通信の付加価値ビジネスであるスマートライフ事業があって、これを二つ合わせてコンシューマー事業と呼んでいます。それに加え、NTTドコモグループの中にNTTコミュニケーションズという法人向けのビジネスを行っている会社が含まれています。コンシューマー事業と法人事業という大きく二つの事業が入っており、それぞれ収入が出るタイミング、利益が出るタイミングが第一四半期の時点を見ると少しばらつきが出ていると考えております。
年間トータルでは、総合ICT事業は増収増益を予定しておりますので、第一四半期は計画通り推移しておりますので、ご心配いただく必要はないのですが、セグメントの違いがございます。具体的に申し上げますと、コンシューマー事業の中でもスマートライフ事業という付加価値部分は、比較的四半期ごとに同じような収入、同じような利益が出てくるものでございますので、増収増益になっています。
一方で、モバイル通信ビジネスというのは、非常に強い競合会社がございますので、競争のためのコストを使ったり、昨年irumoという非常に低価格な料金サービスを開始したりしております。そのさらに前の料金プランからirumo に移るお客様もたくさんいらっしゃいますので、そういったお客様が多ければ多いほど、収入は一旦減ってしまいます。このコンシューマービジネスは減益になっていて、多少厳しい状況が続いています。ただこれも年間トータルではなんとか伸ばしていきたいと思っています。
次に法人事業でございますが、法人ビジネスというのは多くは年度末に完成をして収入を頂戴することが多いです。どちらかというと後ろの方で利益がつながるものですので、第一四半期の時点ではそういった要因を全部合わせると増収なのですが、利益としてはまだつながってきていない部分がございますので、減益となっています。年間では増益を予定しておりますので、計画通りと認識しております。
Q: 5Gの契約数は増えていますが、今の5Gじゃなくてもいいのではないかという人もいると思います。5Gへの切り替えの成長を維持するための施策はどのようなものがあるのでしょうか。
A: ありがとうございます。5Gは新しいネットワークで、今投資も拡大されています。スピードがあって安定感がある、この新しいサービスの品質を高めることでお客様に多く使っていただけることに大きく期待をします。そのためにネットワークの品質強化をしていきたいと考えております。
それに加え、5Gの進んだ機能を使った魅力的なコンテンツ、新しい金融決済領域での新サービスであるとか、映像であるとか、こういったサービスを提供することによって5Gをご利用いただくお客様を増やしていければと考えております。
まずは、皆様が5Gに移りやすいようなしっかりとしたネットワークを提供していくことが大事かなと考えております。
Q: 資料のセグメント別売上の構成比は書いてありますが、総合ICT事業で説明が1ページ、地域通信事業で1ページみたいな形で説明ページを加えていただけないでしょうか。NTTのことが伝わりやすくなると思います。
A: ありがとうございます。そうですね、こちらはプレゼンテーションという形で決算の時に大体10分か15分くらいのご説明に活用させていただいている資料でございます。おっしゃる通り、セグメントもたくさんございますし、中身も動きも違うものですので、すべてをこの中で表現してしまうと見にくくなってしまいます。同じく決算説明として開示している資料の中で決算補足資料というものがございます。こちらは、数字だけにはなってしまいますが、各セグメントや各会社別の切り口で数字を開示しておりますので、まずはそちらをご覧いただければありがたいなと思っております。
またこのプレゼンテーションも、なるべくセグメントの状況が分かりやすくご理解いただけるよう、この先も工夫をしてまいりたいと思います。ご意見ありがとうございます。
Q: セグメントがいくつかありますが、結構数としては少ない形でまとめて総合ICT事業などになっています。ソニーみたいに10くらいに分けていただくことを検討いただけないでしょうか。より投資家にNTTの事業が分かりやすく認識できるはずです。
A: ありがとうございます。こちらのお話も我々も本当におっしゃるとおりだと思っていまして、なるべく数字の解像度を上げて皆さんにご理解いただきやすい状況を目指していければと思っています。
もともと私どもは。主要な子会社、NTTドコモやNTT東西、NTTデータが比較的シンプルなビジネスを行っていて、会社別の開示をすることで会社とセグメントが一致するような状況が昔はありました。ただ競争環境が厳しくなったり、技術が発展したりすることにより、各社においても様々なビジネスセグメントに分かれた事業が行われるようになってきております。それによって、先の見通しを推測しにくい状況になっているのは、私どもとしても非常に痛感をしているところです。
この先おっしゃるとおり、大括りの事業のセグメントの中でも注力分野などについては切り出して、セグメントを分割して開示していくことを考えているところです。実は2023年の期末から、総合ICT事業に含まれる金融事業、それからグローバルソリューション事業に含まれているデータセンター事業については、BSとPLの数字を切り出しています。こういったことを他の事業の注力な分野において、しっかり区分して開示することによって、少しでも皆様に分かりやすい決算の開示になるように努めていきたいと思います。こちらも本当にご意見ありがとうございます。
Q: tsuzumiの導入提案が650件を超える規模でありますが、主にどの業界からの関心が高いのでしょうか。また1件あたりの単価、金額はどのぐらいの仕事の規模として来ているのでしょうか。
A: ありがとうございます。皆様にどのような分野でご活用いただきたいのかというと、お客様からの電話応対などのある程度の自動化による効率化であるとか、社内の文書・業務のワークフローの自動的な整理であるとかに活用したいというところがございます。そういった部門をお持ちの業態からは、非常に多くお引き合いをいただいているのかなと思っています。
tsuzumiは、単体で機能するというよりは、これをつなぐシステムであるとか、そこに使う機器であるとかを総合的にセットにして、お客様にソリューションとして提案をしているので、これ一つだけの単価はあまり出てこないのです。tsuzumi自体も、ソフトウェアとしては小さなものですが、その企業向けのカスタマイズのために企業のドキュメントを学習させますので、その学習させるボリュームにもよって値段は変わってくるのかなと思っています。
ただ、今のところ、このtsuzumiというレベルのLLMを使うソリューションを活用したいという会社は、やはり大きな会社さんが多いのかなという認識ですので、数億とか上は数十億とか、そういうような規模感のビジネスに使われていくと考えています。
Q: tsuzumiの個人使用はどのようなパターンを想定されていますか。また、ビジネスではない個人の使用も可能なのでしょうか。B2Bだけでなく、コンシューマー向け提供することはないのでしょうか。マイクロソフト経由ではなく、NTTとして展開する予定はありませんでしょうか。
A: ご質問ありがとうございます。生成AIに関する研究開発はこの先も続いていきます。tsuzumiが徐々に機能をアップさせていって個人のお客様の使いやすいものに変わっていけば、当然個人のお客様というのも可能性としてはあるのかなと思っています。
ただ、この世界も結局は、個人のお客様に非常に有用だと思われるような使い方を実現するためには、言語の世界も日本語・英語だけでは足りないですし、非常に多くの言語に対応して、世界中のドキュメントが自然に集まるような環境に置かなくてはいけないと思っています。
そういう世界で圧倒的に強いのがGoogleさんであるとかAppleさんであるとかAmazonさんのような、いわゆるこういうプレイヤーになってくるのかなと思っています。この皆さんのデータの収集能力や学習能力に、NTTグループ単体で越していけるのかというと、なかなか厳しいところがあるなと思っています。
ただ我々は、小型の生成AIのいいところ、先ほど連鎖型のAIの活用について説明いたしましたが、そういった活用の仕方でビジネスチャンスを作っていきたいと思っております。今ただちに個人使用を想定しているかというと、そういう状況ではないかなと思っています。
ありがとうございます。
Q: nwm ONE発売開始ということで、これはヘッドホンになりますか。どのぐらいの販売を予定しているのでしょうか。家電量販店では見たことはありません。
A: ありがとうございます。これは「ヌームワン」と呼びまして、私どもの音声認識技術であるとかステレオ技術を活用したヘッドホンです。完全に耳を塞ぐことなく、外の音も聞きながら高品質な音声を楽しみいただけるというものでございます。
発売以降、主にAmazonさんや楽天市場といったECモールでの販売に加えて、量販店でも扱いを開始はしております。まだ旗艦店を中心とした展開になっており、今実店舗では、120店舗ぐらいでお取り扱いをいただいております。
販売台数は、個数自体は非開示な情報でございますが、非常にご好評いただいておりまして、初等はまずまずの状況かなと思っております。Amazonさんとかのサイトを見ても、いくつかレビューをいただいておりまして、高品質を体感いただけているというところでございます。もし皆さま、ご興味を持っていただけるようであれば、Amazonさんの中で「ヌームワン」と呼びますので、ご検索いただければと思います。
Q: STARLINKのような通信手段の計画の有無と、ない場合は具体的な理由を知りたいです。
A: ありがとうございます。衛星の分野でも私どもこのサービスを拡大していきたいと考えています。おっしゃる通り、衛星の領域は世界的に非常に強いプレイヤーとしてSTARLINKさんがいまして、楽天さんがサービスも先行して開始をされていて、私どもも23年12月にこのSTARLINK BUSINESSという形でサービスを提供開始しているところでございます。
加えて、このご覧いただいているスライドの中でワイドスターという、これは静止衛星を打ち上げることによって使える衛星通信というのも進めているところでございます。これは私もあんまり知見がなかったのでこの辺りで最近勉強して理解しつつあるんですけれども、衛星も種々ございまして、例えば静止衛星の通信だと、非常に高いところに止まっている通信で、衛星通信をする場合は専用の端末はいらないのですが、送れるデータ量が限られているので、限られた緊急通信であるとか音声通話に限定されることがあるようでございます。
一方でSTARLINKさんがやる低軌道に非常に多くの小型の衛星を打ち上げるネットワークというのは、これはいわゆるインターネットの通信が可能でございますが、現時点では専用のアンテナが必要というデメリットがあります。
ゆくゆくと私どもはこういう様々なサービスを統合して提供することを考えております。まだ商用化はできていないのですが、これに加えてさらに下のレイヤーに、HAPSと呼ばれるドローンを飛ばす衛星通信みたいなものも私どもサービスを提供しようと思っています。いろんなサービスを組み合わせないと、今の地上で使っているモバイル通信と同様のものは実現しにくいところがありますので、一つだけの技術に頼らずに様々な可能性を組み合わせて使うことを私どもは将来考えているところでございます。
Q: スターリンクのような衛星通信衛星を用いた携帯通信事業への参加、また独自で行うことをご検討されていますか。あるいは可能性はありますか。
A: ありがとうございます。今ご説明の中にもあったように、衛星のタイプによっても事業者は異なってきます。このワイドスターのような静止衛星みたいなものは、我々とスカパーJSATさんと連携してやっています。これは私どもの独自の衛星を打ち上げてやるサービスになっています。ただそんなにたくさん上げられるわけではないので、コストは限られています。
右側のSTARLINKさんがやっているのは低軌道の衛星を非常にたくさん上げるということになりますので、これはまたSTARLINKさんのような非常に先行者が優位なサービスになってまいります。
まずはグローバルに誰も成功・参入していない、サービス提供されていないのが先ほど申し上げているHAPSというところで、大型のドローンを打ち上げることによる通信になります。この領域は実は日本の事業者であるNTTとかソフトバンクさんも参入を検討していると考えていると言われております。そういった事業者さんが実は技術的には先行しているようです。そのため、これはもしかすると日本発のメニューとして提供できることが来るかもしれないと考えています。
様々な衛星を使った様々なやり方がございますので、その中でSTARLINKさんを使う場合もありますし、自前の衛星を使った通信サービスを提供する場合もあると考えています。
Q: 2024年度をめどに金融サービスを強化して銀行業への参入を考えていると思います。現在の取り組み状況はどのような状況でしょうか。
A: ありがとうございます。私どもコンシューマー向けビジネスのモバイル事業に付加価値をつけていくところで、先ほど金融サービスを拡大していくと申し上げております。その中で投資、融資、保険と言っておりますので、当然ここに銀行が加わればいいなとは思っております。
これは一から作り始めるのか、あるいはM&Aによって私どもの仲間に加わってくれる会社を見つけるのかというのが手法としてはいろいろ検討しているところでございます。当然ケーパビリティは広い方がお客さまにとってメリットが大きいと思っておりますので、機会をとらえて、銀行業務への参入はやっていきたいと考えております。
Q: 中期財務目標の達成に妨げとなる障壁やリスクはどのようなことが大変とお考えでしょうか。
A: ありがとうございます。成長分野、既存分野それぞれやっぱりリスクはあると考えております。成長分野においては当然私どもがやってきていない新たな分野に積極的な投資を行うことになりますので、少し前の質問で出た銀行業への参入というところも当然投資を行う上ではリスクが生じる分野だとは思います。成長投資を行っても私どもの期待するリターンは生まれない可能性は当然あるかなとは思っております。
成長分野においては、しっかりと投資先の見極めを社内でもしっかり行うようにしようと考えております。8兆円の投資をむやみやたらに使いまくるということではなくて、私どものグループに入ることによってどれくらいシナジーが生まれるのか、今の時点でどれくらいのリターンが期待できるのかをしっかり審査をした上で投資を行っていきたいと思っております。
既存分野におけるリスクは、既存分野は特に競争会社さんが非常に強いと思っておりますので、そういう皆様との競争の激化であるとか、そういったところは私どもの基盤の利益を削ることになってしまいます。その競争にどうやって打ち勝つのか、それともどうやって乗り越えていくのかというのはリスクの一つなのかなと考えています。
Q: ドコモバイクシェアについて、競合企業のサービスをよく見ることがありますが、キックボード型に参入する計画はありますか。また、返却場所をもう少し増やしてほしいのですが、増設計画を教えてください。
A: ご質問ありがとうございます。ドコモバイクシェアにご関心・ご興味をお持ちいただきまして、ありがとうございます。このドコモバイクシェアは赤い自転車と言われていて、他社よりも先行する形で自転車のシェアリングビジネスを始めたところでございます。ですので、非常に多くのポートを用意しているところでございます。開示されている情報によれば、LUUPさんよりも多くのポートをご用意させていただいているところでございます。
ただ提供しているエリアはやはりドコモが広いというところでございますので、場合によっては株主様、投資家様がご質問いただいているように、返却場所が偏っている、身近なところにないというご意見も出てくるのかなと思っております。
まずは、ユーザーのニーズの多い都心を中心にこの先も拡大していこうと思っております。既存のエリアでも採算が取れないエリアの分析をしっかりやりながら、皆様にご利用いただきやすい環境を整えていきたいと思っております。
また、キックボード型への参入ですが、キックボード型に限らず、様々なモビリティを用意していこうとは思っております。実はお台場でも始まっているのですが、三輪のEVバイクみたいなものを展開をしているところでございます。様々な使い勝手があると思いますので、いろんな可能性を検討してまいりたいと思いますし、せっかくいただきましたこういったご質問はドコモバイクシェアには伝えていきたいと思います。ご質問ありがとうございます。
Q: NTT法のあり方や政府保有株の売却について、どのような観点で議論されているのでしょうか。また、防衛費の確保に向けたNTT株の売却について、マスコミに取り上げられていますがどのように考えていますか。
A: ご質問ありがとうございます。元々NTT法の中で政府が保有株を3分の1以上保有しなければいけないという義務がございます。あり方を見直すことによって、政府が株を売却できるようになる、売却をすればそれを防衛費の一部に充当すればいいのではないかという議論が、ちょうど1年半前くらいに、自民党の中で話が出たという認識でございます。
元々は政府の防衛費を増やすという議論がまず先にあって、それを税負担によらずして他に財源を確保できないかという中で、政府がお持ちの様々な資産の中で何かないかというご検討が多分なされたのだろうなと思っております。その中で、NTT株を売却することは可能なのかという議論が起こったというところでございます。
実は、その後どういう風に議論が進んでいったのかと言いますと、実際に政府の保有義務以外にNTT法にはどんな規制があるのかという議論が自民党・政府の中でなされたようでございます。少し時代に合わない規制であるとか義務というのが含まれているのではないかと、この際であるからNTT法自体に見直しの余地があるのかどうかを検討しようじゃないかという議論になっていったというところでございます。
ですので、いつの頃か防衛費の確保という議論よりは、NTT法の中身が少し古いものじゃないのかという議論に移っていったと私どもは認識しているところでございます。
その中でNTT株の売却については、自民党の皆様がご検討いただいて、昨年の年末に自民党としてのお考えが公表になっております。仮にNTT法が廃止された場合、政府の保有義務の規定がなくなった場合に、そこで改めて売却するかどうかを検討していくというお話だと認識しています。また大体時価にして5兆円くらいの株式を政府はお持ちなのですが、これを一発で売却をすると非常に株式のマーケットに悪影響を与えますし、私共の株価が下がってしまう可能性も出てきてしまいます。仮に政府が売却するにあたっては投資家の皆様にご迷惑をかけることがないように配慮を行って検討するようにという状況になっていると考えています。
それ以外のNTT法の見直しができるのか、廃止ができるのかどうかという検討はずっと行われております。実はその一部が今年の4月、5月に改正になっておりまして、NTT法の中でいくつかある規定のうち、まず例えば会社名を変えることができる。実は私どもの会社名は、日本電信電話株式会社ですが、これは法律に名前が書いてあって、自分たちでは名前を変えることもできなかったのですが、そういうことはなくなって自由に変えることができるようになりました。また、外国人の取締役を登用してはいけない、日本人しか役員になれないという規定があるのですが、それもこの時代グローバルビジネスをしていく上では様々な皆様の登用が必要だということで、一定のレベルまで登用可能と見直しが起こりました。
一番大きかったのは研究開発ですね。電気通信に関する研究開発は、実は私どもが民営化する前は、私どもしかやっていませんでした。民営化して私どもが電気通信の技術を研究しなくなってしまうと、日本のこの産業が衰退するというところもあって、民営化以降も私どもは研究開発を推進して、かつその成果はしっかり開示をするようにという規定がありました。これは日本の産業を育成するというために私どもがしっかり研究開発をして、その成果を日本の企業の育成に活用してもらうという趣旨でした。だいぶ時が流れて、私共がグローバルビジネス、例えば、先ほどのIOWNの技術をグローバルに展開していく、グローバル企業と提携をしたりとか競争をしたりとかするにあたって、この規定があると中身を全部競合会社にお知らせしなきゃいけないみたいな困ったことになってしまいます。こういった義務はそもそも不要だろうということで撤廃になっております。
まだNTT法自体は残っております。政府の保有義務であるとか、外資の保有規制であるとか、あとは今一番議論だったのはユニバーサルサービスです。NTTが行っている固定電話サービスは郵便と一緒で全国津々浦々に提供しなきゃいけないという義務があります。そのユニバーサルサービスが固定電話である必要があるのかという議論は、今もなされています。もうちょっと議論が行われた上で、法律改正するのかどうかも含めて、この先議論が進んでいくと認識しています。
Q: NTTの株が分割して1万円台から投資が可能になりましたが、株主優待のdポイントの付与は素晴らしいと思います。ただ、高齢者からすると使いにくいと思います。他社のようにクオカードを導入するなど見直しの予定はありませんか。
A: はい、ありがとうございます。確かに株主優待に関しましては様々な皆さんからご意見を頂戴しております。おっしゃる通り、クオカードの方が利用しやすいのではないかというご意見もあったかなと思っております。
ただ、私どもは株をお持ちいただくことによって私どものサービスに興味を持っていただいて、かつサービスを使っていただければと思っております。そういう意味では、私どもの優待としては個人向けのビジネスを展開しているドコモのサービスで使うことができるdポイントが一番適しているのではないかなと思っております。
またこれ付与にあたっても電子の世界で付与をすることができますので、コストメリットという面でも非常に大きいのかなと思っております。一旦はこのdポイントの活用を拡大すると私どもとしては念頭に考えさせていただいているところでございます。ご質問ありがとうございます。
Q: ビジネスモデルを転換して成長していくということですが、内部留保や配当などの株主還元に対する考え方はどのように変わるのか。また予想通りの業績が達成された場合の株主への配当はどのように考えていますか。
A: ありがとうございます。我々、株主還元は上場企業として非常に重要な経営上の施策だと考えております。この先もこの株主還元をしっかり行うという、このスライドに記載の2つの大方針は全く変わらないと思っております。
ビジネスモデル自体は技術の進展とか時の経過によってこれまでも変わってきておりますので、それによって何ら株主還元を緩めるとかそういった考え方はございません。引き続き強化を努めていきながら成長をしていきたいと考えております。
仮にその業績が達成された場合どうするのかというと、当然その継続的な増配はこの先も続けてまいりたいと思います。そういった形で皆様のご期待・ご支援にご対応させていただければなと考えております。
Q: tsuzumiが日本語は世界トップクラスということが書いてありますが、今様々な生成AIで日本語は、昔は難しいと言われていたが、その壁がなくなりつつあると認識しています。どのような印象をお持ちでしょうか。壁がなくなったらtsuzumiの優位性がなくなってしまうのではないでしょうか。
A: ありがとうございます。おっしゃる通り、翻訳の技術で使われているAIを見ても多言語の翻訳も直ちに行われたりしますので、日本語の特異性というのはやっぱりなくなりつつあるというのは事実かなと思っております。個人のお客様が様々なシーンでこのLLMを使うという部分においては、日本語の壁がなくなりつつあるというのは事実かなと思っております。
ただ一方で、日本語特有の処理が必要な専門分野における領域はまだまだ存在するのかなと思っておりますし、そういった分野の研究においてはまだまだtsuzumiがリードしているんだろうなと思っております。
ですので、こういった特化した領域において、この軽量なtsuzumiを使っていただくという機会はこの先もまだまだ存在するのだろうなと思っております。しっかりその他のLLMに負けないように、このtsuzumiのチューンアップを続けていきたいと思っております。
Q: データセンターの電力供給は、データセンターが止まったら本当に一大事になってしまうので、優先的になされたりするものなのでしょうか。
A: ご質問ありがとうございます。当然電力会社様、これはグローバルのデータセンターも表示されておりますが、各地の電力会社様としっかりした契約を結んで、可能な限り電力は途切れないように優先的な契約を結ぶ取り組みは行われています。
ただどの地域でも確実に大丈夫というわけではないので、リスクはございます。代替電力の確保であるとか、そういったことをしながらサービスの維持というのを努めていかないといけないのではと思います。
どこでも確実に優先というわけではないですが、優先的な供給をお約束いただけるような契約を可能な限り結ぶようにしております。
Q: データセンターについて、AWSとの違いはクローズドサービスとなっており、秘密性が高いのが強みと思ってよろしいのでしょうか。イメージ的にはオンプレミスをクラウド化するというイメージを持っています。
A: ありがとうございます。AWSのようなパブリッククラウドサービスをAmazonが提供されておいます。そのデータをお預かりするデータセンターをAWSも自前で広げているところはございますが、実は自前だけで提供しきれている訳ではないです。そのため、私どものデータセンターをインフラとしてAWSさんにも使っていただくという付き合い方という形になっております。
お預かりしたデータは、当然それがパブリッククラウドであっても、クローズドのクラウドサービスであっても秘密性の高さというのは一緒でございます。他に漏れないようにするというのは一緒でございます。どちらかというと、私どもは個人のお客様とか法人のお客様に対してこのAWSのようなサービスを行うというよりは、そういったサービスを行う方々のデータを私どものデータセンターで格納させていただくとお考えいただければと思います。
Q: 今のNTTの株価はどのように捉えていますか。目標株価はありますか。同業他社ではKDDIと比べてどう思うところはありますか。KDDIがNTTより優れている点やうまいところが感じられたら具体的にどういったところがあるのか教えてください。
A: ありがとうございます。まず、今の株価についての認識という意味では、非常に申し訳ないと思っておりますし、私どもの実力をもっとご評価をいただいて、もっと高い株価を目指していくべきだと私どものマネジメント一同は思っております。先ほど申し上げた成長戦略であるとか基盤ビジネスの立て直しだとかをしっかりやることによって株価の回復に努めていくというところでございます。
そういう意味では目標となる株価というのは、どこで終わりということはないと思っております。少なくともこの下落前の株価を回復して、さらに引き上げていくというのが私どもの目標なのかなと思います。
次に、KDDIさんの株価と比較してという点だと、絶対額で比較しても多分しょうがないと思いますので、直近でそのKDDIさんのパフォーマンスという意味で私どもよりも高いパフォーマンスを示しているのは事実だと思っております。彼らが優れているところは、恐らく今KDDIさんやソフトバンクさんといった競合さんとの主戦場は、モバイルビジネスになっていると思っております。そういう意味では、KDDIさんもソフトバンクさんもこのモバイルビジネスの部分で、私どもよりもプロモーションの意味でも戦略の意味でも少し打ち勝っているところがあるのかなと思っております。
ただ、我々も黙って見ている訳にはいかないので、ここはしっかり競争に打ち勝っていくための打ち手を今回打っているところでございます。いずれは私どもの方が挽回できるような状況をお見せできればなと思っております。
それ以外のところにおいては、実を言うと、NTTグループはグループの中にNTTデータもいますし、NTTドコモグループの中にもコミュニケーションズといった法人ビジネスとか、データセンタービジネスとか、他社にはない非常に強みの伸び代のあるビジネスを抱えております。総合力で言えば私どもの方がまだまだ強いと思っておりますので、その強みを活かすと同時に、今主戦場となっているモバイルビジネスを打ち勝っていく取り組みを進めていきたいと思っております。
投資家の皆様へ
本日も遅くまでご視聴いただき、ご質問も多数いただきましてありがとうございました。私も先ほどのスライドにも少しご紹介させていただいたとおり、220万人を超える株主様を抱える企業になっております。日経の報道では日本一の株主数だと考えております。
事業のインフラというビジネスの特徴に加えて、多様な株主様に保有いただいているということもしっかり経営陣一同、自分事として捉えて、皆様に私どもの企業価値から来るリターンをご享受いただけるよう、この先も努力していきたいと思います。ご期待とご支援をこの先もいただければと思っております。
本日は本当にありがとうございました。