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成長投資枠と積立投資枠の比較解説!どちらがよりおすすめか?

2024年からスタートした新しいNISA制度では「成長投資枠(旧一般NISA)」と「つみたて投資枠(旧つみたてNISA)」の2種類があります。

それぞれの制度の違いが分からずに、どっちのNISAを利用した方がいいのか悩んでいる方もいらっしゃるのではないでしょうか。

本記事では、成長投資枠とつみたて投資枠の違いを解説させていただきます。

結論、成長投資枠とつみたて投資枠は「非課税投資枠」「投資対象商品」「運用方法」の3つが大きく異なります。


成長投資枠とつみたて投資枠の違い

NISAは「Nippon Individual Saving Account」の略で、NISA口座を通じて購入した金融商品から得られる利益が非課税になる制度です。

通常、株式や投資信託などの金融商品から得られる利益に対して約20%の税金が差し引かれるので、NISA口座を活用すれば手元に残る金額が大きくなります。

2024年以降の新しいNISA制度では「成長投資枠(旧一般NISA)」と「つみたて投資枠(旧つみたてNISA)」の2つがあり、それぞれの特徴を表にまとめると以下のようになります。

成長投資枠とつみたて投資枠の主な違いは以下の3つ。

  • ➀非課税投資枠

  • ➁投資対象商品

  • ➂購入方法

成長投資枠とつみたて投資枠は併用することができますが、両制度の違いを理解しておきましょう。

非課税投資枠

非課税投資枠とは、NISA口座で投資できる金額の上限を指します。

成長投資枠の非課税投資枠は年間240万円で、つみたて投資枠の非課税投資枠は年間120万円です。

単年ベースで見ると、成長投資枠の方がつみたて投資枠よりも非課税投資枠が大きいです。

まとまった資金で非課税投資枠を利用したい方は成長投資枠を、コツコツと少額からでも積み立てを行いたい方はつみたて投資枠を選択しましょう。

投資対象商品

投資対象商品も成長投資枠とつみたて投資枠では大きく異なります。

つみたて投資枠で投資できる商品は金融庁が選別した285本の投資信託と8本のETFに限られます。(2024/7/10時点)

つみたて投資枠の対象商品は長期・積立・分散投資に適した商品を金融庁が厳選しているので、投資初心者にとっては選びやすいです。

一方、成長投資枠は投資信託のほか、国内外の株式やETFなど投資できる商品の幅が広く、より自由度が高いです。

購入方法

成長投資枠とつみたて投資枠は購入方法が異なります。

つみたて投資枠は定期的に定額を継続して買付していくスタイルなので、購入するタイミングの判断が不要です。

毎月一定の金額で投資信託を買い付けるため、価格が高いときは購入量(口数)が減少し、価格が低いときに購入量が増加します。

このような購入方法(=ドル・コスト平均法)は全体の平均購入単価を平準化させる効果があり、長期的に資産形成を行っていく上では有効です。

成長投資枠はつみたて投資枠と同じように積立投資もできますし、自分の好きなタイミングで購入できます

相場が大きく下がったタイミングで投資資金を投入するなど自分の好きなタイミングで購入したい方は成長投資枠が向いています。

成長投資枠のメリット・デメリット

ここまでは成長投資枠とつみたて投資枠の違いを比較してきました。

以降では成長投資枠とつみたて投資枠の個別に焦点を当てて、それぞれのメリット・デメリットを紹介させていただきます。

まずは成長投資枠から。成長投資枠のメリット・デメリットを簡潔にまとめたものが以下の表です。

成長投資枠のメリット

年間の非課税投資枠が相対的に大きい
成長投資枠の最大の魅力は年間の非課税投資枠が240万円と相対的に大きいこと。

年間の非課税投資枠が240万円もあると、よほどの値がさ株(株価水準が高い銘柄)でない限り、国内外の株式に十分投資できます。

まとまった資金で個別株を購入するのも良いですし、毎月20万円ずつ投資信託を購入する選択もアリです。

投資できる商品の選択肢が広い

成長投資枠は投資できる商品の選択肢が広い点も魅力です。
つみたて投資枠は金融庁が選定した投資信託と一部のETFしか投資することができませんが、成長投資枠なら具体的に以下のような商品に投資できます。

  • ・国内外の上場株式

  • ・国内外のETF

  • ・投資信託

  • ・国内外のREIT

  • 上場投資証券(ETN)

  • ・新株予約権付社債

債券など対象外の商品もありますが、これだけたくさんの商品に投資できるので運用の自由度も高いです。

スポット購入できる

成長投資枠は積立投資に対応しているほか、好きなタイミングで一括購入(スポット購入)できる点も自由度が高いです。

毎月決まったタイミングで定額を積立投資するのも合理的ですが、自分がウォッチしている銘柄を安いタイミングで一括投資できるのは投資の醍醐味と言えるでしょう。

購入できる金額も大きいので、良いタイミングで投資できれば大きなリターンも望めます

成長投資枠のデメリット

投資するタイミングを自分で判断する必要がある
成長投資枠は自分の好きなタイミングで投資できるのがメリットでもありますが、裏を返すと投資するタイミングを自分で判断しなければなりません。(スポット購入の場合)

投資が好きな人にとっては問題ありませんが、投資初心者であまり投資のことを考える余裕がないのであれば不向きです。

投資にあまり時間をかけたくない人はつみたて投資枠を活用しましょう。

つみたて投資枠のメリット・デメリット

以下の表につみたて投資枠のメリット・デメリットをまとめました。

つみたて投資枠のメリット

少額から投資できる
投資はお金がないとできないイメージをお持ちの方がいらっしゃるかもしれませんが、つみたて投資枠なら少額から投資できます
金融機関によって最低積立投資額は異なりますが、主要なネット証券では100円から積立投資可能です。
毎月の積立投資額も自由に変更できますし、つみたて投資枠の年間非課税投資枠の120万円を無理に使い切る必要もありません。
投資初心者の方はまずはつみたて投資枠で少額からはじめてみてはいかがでしょうか。
初心者でも継続しやすい
つみたて投資枠は初心者でも継続しやすいです。
購入時手数料がゼロで信託報酬が一定以下の商品が厳選されているので選びやすく、低コストで運用できます。
また、積立投資で運用するスタイルなので、売買するタイミングに悩む必要がなく、精神的な負担も少ないです。
一度積立設定さえしてしまえば、仕事や趣味に没頭して投資をほったらかしにしても問題ありません。

つみたて投資枠のデメリット

年間の非課税投資枠が相対的に少ない

つみたて投資枠の年間非課税投資枠は120万円と成長投資枠に比べると少ないです。

また、積立投資のみの対応となるため、1ヵ月あたりに換算すると上限は120,000円となります。

毎月少額からコツコツ積み立てていきたい人にはかなりおすすめですが、ある程度まとまった資金を運用したい人には向いていません。

まとまった資金を非課税口座で運用したい方は成長投資枠を利用しましょう。

投資商品が限られる

つみたて投資枠で投資できる商品は金融庁が厳選した一定の投資信託に限られます

手数料が低水準で頻繁に分配金が支払われないなど、長期・積立・分散投資に適した投資信託とETFに限定されているので、投資初心者にとっては選びやすいと思います。

TOPIXや日経平均、S&P500などの有名な指数に連動するインデックスファンドに投資するならつみたて投資枠で十分です。

ただし、個別株やつみたて投資枠対象外の投資信託やETFには投資できないので、注意してください。

短期で大きなリターンを狙えない

つみたて投資枠は短期で大きなリターンを狙いたい人には不向きです。

そもそもつみたて投資枠は長期の資産運用を支援する目的で作られた制度ですし、主な投資対象は投資信託です。

投資信託は個別株式と比べるとリスク・リターンが小さく、日々の値動きも緩やかになります。

また、相場が暴落したときに一気に資金を投入するようなスポット購入もできません。

成長投資枠とつみたて投資枠はどっちを利用すべき?

新しいNISA制度では成長投資枠とつみたて投資枠が併用可能になりました。

成長投資枠とつみたて投資枠は併用できるとはいえ、どっちを活用すればいいのだろうかと疑問に感じている方もいらっしゃると思います。

これまでの内容を踏まえて、成長投資枠とつみたて投資枠それぞれにおすすめな人を紹介させていただきますので、ぜひ参考にしてください。

まとまった資金で運用したい人は成長投資枠がおすすめ

下記の特徴に当てはまる方は成長投資枠を利用しましょう。

  • ・まとまった資金で運用したい

  • ・個別株やETFに投資したい

  • ・短期で大きなリターンを狙いたい

成長投資枠は非課税投資枠が年間240万円使えるので、まとまった資金で運用したい人におすすめです。

また、投資信託以外に国内外の株式やETFにも投資できるので、投資できる商品に幅を持たせたい方は成長投資枠を利用しましょう。

相場のタイミングを見定めながら短期で大きなリターンを狙いたい人も成長投資枠を活用すべきです。

【注意】NISA口座は損益通算ができない

成長投資枠とつみたて投資枠に共通する注意点として知っておいていただきたいことがあります。

それはNISA口座は損益通算や繰越控除ができないこと。

損益通算とは、同一年における利益と損失を相殺することです。

損失が生じた場合に利益から損失を差し引けるので、その分税金を減らすことができます。

例えば、同一年度にA口座で50万円の利益が確定しており、B口座で70万円の損失が出たとしましょう。

この場合、特定口座を利用していれば、A口座では約10万円(=50万円×20.315%)の税金が徴収されているはずです。

この時に損益通算を行えば、損失が-20万円(利益50万円-損失70万円)となり、確定申告を通じて既に徴収された約10万円の税金が還付されます。

さらに、この20万円の損失は翌年以降最長3年間にわたって、繰り越しして控除に充てることができます(=繰越控除)。

NISA口座は利益が出た際は非課税になるメリットが大きいですが、損失が生じた場合は損益通算や繰越控除ができない点にご注意ください。

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