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出来高分析(ミネさんインジケータ)

 こんにちは😊

 引き続き、ミネルヴィニの投資戦略をインジケータ化する作業に勤しんでいます🥸。

 ポイントになりそうなところのひとつにVCP(Volatility Contraction Pattern)というものがあります。VCPはチャートのパターンと出来高の動きから株価上昇の勢いを判断する指標で、これに必要な出来高に関する分析方法を考えています

 ミネさんは株価上昇/下落時に特徴的な株価チャートの形状として、株価と出来高の変動率が徐々に収縮してピボットポイントで一気に上昇/下落をするということを機関投資家の動きと個人投資家の動きから理論的に説明しています(※詳しくは著書を読んで下さいね)。これがVCPです。下の図では(A)と(B)の動きに注目します。

VCPの説明

 VCPでは株価変動と出来高変動が密接に関連していて、出来高は株価に連動して増減を繰り返します。これは機関投資家と個人投資家の動きを示しており、この動きを分析すればピボットポイントが見極められるというわけです。(※ 三角保ち合いとはちょっと異なる解釈です。)

 VCPを分析するには出来高の分析が必要になってきます。実は、ミネさん手法では利確するポイントの判断の仕方についても、VCP同様にカギは出来高の分析にありそうという結果が見えてきています😉。

 ごちゃごちゃ書きましたが、こんなことを背景に今回は出来高の分析について書いてみます。

出来高分析

 みなさん出来高(一日当たり)はご存知でしょうし、出来高を見ていろいろな分析をしていると思います😅。
 出来高はその日に売買された株数のことで、ある銘柄の取引量が出来高100万株なら必ず100万株が売られて、100万株が買われたことになります。出来高が大きければそれだけその銘柄の取引が活発で、売りたい人と買いたい人が多いことになりますよね。
 時折、一日の出来高が1000株くらいの銘柄を見かけますが、取引単位は100株ですから、売りたい人と買いたい人が最大でも10人ずつしかいないという寂しい銘柄です。こんな銘柄は株価を上げるのも下げるのも自由自在です😭笑

 つまり、株価が同じように上昇しても出来高の大きさによってたくさんの人がその銘柄を売買したいかどうか=株価の勢いに差があることになります🤩。ミネさんはチャートの分析に出来高の変化率を織り込むことで、株価上昇の勢いを見極めようと考えています

 では、その日の出来高が多いのか/少ないのか、どうやって判断すればいいでしょうか🤔。

 これについては、「1年間」「25日」のように一定期間の平均出来高を見て、その出来高と今の出来高を較べれば、出来高が多めなのか少なめなのか分かりますね。
 具体例としてトヨタ(7203)のこの1年の出来高を日足チャートで見てみます。上側のチャートの下にあるグラフが出来高(株数)です。赤色が株価上昇時、青色が株価下落時のグラフになっています。
 この棒グラフの1年間の平均値を計算するのは大変ですから、平均値に対する出来高変化率を示すインジケータを作ってみました。
 このインジケータは下図の下側のチャートで、直近1年間の平均出来高に対する出来高のパーセンテージを表しています(赤色が株価上昇時、緑色が株価下落時)。ちょっと見づらいですが点線が引いてある100%の線が年間平均と同じ出来高ということになります。

トヨタ自動車の出来高チャート

 トヨタの例では株価が急に上昇するときや下落するときには平均値に比べてかなり大きい出来高が生じていて、年平均の300%を超えるような出来高が突然生じることもあることがわかります。
 最近のトヨタの平均出来高は約3千万株/日(!)ですので、株価を3千円とすれば9百億円近いお金が毎日トヨタ1銘柄で動いていることになります。300%のときは3千億円近くになります🤩。

 ・・・え? 3千億円? 誰が買ってるの?と思いますよね😅

機関投資家と出来高

 個人投資家では一日当たり3千億円の売買はできません。そうです、機関投資家と呼ばれる金融各社や投資会社・ファンドが売買しているのです。トヨタの株は日経平均やJPX400のようなインデックスにも組み込まれていますから投資信託を売買でもトヨタ株は売買されます。
 ここ重要です。トヨタの例では機関投資家が売買したタイミングが出来高で見つけられましたね。
(機関投資家のことを「大金持ちの個人投資家」と都市伝説のように勘違いしている初心者の方がいますが、株式市場を動かしているのは機関投資家と呼ばれる法人なのです😎 投資機関と呼んだ方がいいですね)

 SEPAと呼ばれるミネさんの投資方法の基本は「機関投資家が株を買い集めるタイミングで買い」、株価が天井まで上昇したら「機関投資家が投げ売りする前に売る」というものです。つまり、「市場を動かしている機関投資家の動きをチャートから察知してそれに乗る」という手法です。もちろんファンダメンタルズの分析もしますが、テクニカルな要素がかなり強いですね。機関投資家の動きを知るのに、出来高データも使って分析しようというわけです😉。

 ミネさんによれば、機関投資家は株価を買い集めて値上がりを誘引します。下の図の第2ステージで個人投資家やその他の機関投資家がこれに乗って株価が上がっていくわけですが、このときは

 第2ステージ:株価上昇時に出来高増、株価下落時に出来高減

という特徴を持っていてこれを繰り返して株価が上昇していきます。
 下落時に相当する第4ステージはこの逆で、

 第4ステージ:株価上昇時に出来高減、株価下落時に出来高増

という特徴が現れます🥰。この記事の最初に載せたVCPの図を参考にしてください。

ミネさんの株価モデルと出来高
実際の例:ミネさん本

出来高VCPインジケータ

 こうなると、これらの特徴をつかむ方法が必要になってきます。
 つまり、株価が上昇しながら出来高が増えているのか(第2ステージ)、株価が下落しながら出来高が増えているのか(第4ステージ)、チャートを見て感覚的に考えるのではなく数値的に分析することができれば、第2ステージが継続していて勢いが維持できているのか、勢いが衰えて第4ステージに入りつつあるのかが簡単に判断できるというわけです。

 これを判別するためにおじさんは次のような計算方法を試しています。

 上で説明した「株価上昇の出来高変化率」と「株価下落の出来高変化率」を一定期間足し合わせて数値化します。この値は、上昇出来高が多ければ増加して、下落出来高が多ければ減少する数値になるようにします。
 
細かいところは省略しますが、例えば連続する3日間の年平均に対する出来高変化率が110%(株価上昇)、90%(株価上昇)、80%(株価下降)だったとすると、(+110+90-80)/3=+40 のように算出されます。これを出来高VCPと呼ぶことにしました。

 出来高VCPも一つずつ計算するのはかなりの手間ですので、出来高VCPインジケータを作りました(下側のチャート)。
 出来高VCPが上昇すれば株価上昇の勢いが強く、急に下がれば株価下降の勢いが強くなっていることが、出来高の観点から分かるということです。

新インジケータ:出来高VCP

 上の図では下側のチャートの折れ線がこのインジケータの数値です。株価上昇時は値が上昇、株価下落時は値が減少していることがわかります。出来高VCPが大きく下げたときはかなり大きな出来高で株価が下降しているわけですから、機関投資家が売り始めた=利確タイミングのサインと見ることもできますね😉。

実際の例:伊勢化学工業(4107)

 上で紹介した出来高変化率と出来高VCPを、今年になって株価が急上昇した直後に急落してXを賑わせた伊勢化学工業の株価チャートで検証してみます。上で紹介した2つの新インジケータを統合して下側のチャートに示しています。

伊勢化学工業  上:株価と出来高  下:出来高変化率と出来高VCP

 下側のチャートを見てください。チャート左側の株価上昇フェーズでは明らかに赤色の株価上昇の棒グラフが多く、出来高VCPもプラスになっています。画面中央の株価下落開始からは緑色の株価下落の棒グラフが増えて、出来高VCPはマイナスになっています😈。
 注目すべきは中央の橙色矢印のポイントで、出来高VCPがマイナスに急落して機関投資家の大量売りが始まったことを示していますが、このとき株価はまだ第3ステージで下落が始まっていません。つまり、この出来高VCPの動きを察知できれば急落前に売り抜けることができたということになりますね😊。
 先日記事で紹介した対数グラフを使えば、もっと強調した形で出来高VCPを示すこともできますので、急落の危険をより早く察知できたかもしれません。

伊勢化学工業 対数グラフで示した場合

まとめ

 ミネさんインジケータの作成に関連して出来高分析のための方法とインジケータを紹介しました。(インジケータは先日紹介したSEPAインジケータとセットで使いますが、まだ検証中なので公開しません。出来高変化率を見る最適な日数や出来高VCPの細かい計算方法を探っています。)

 出来高の数値分析を行っている方はあまりいなくて、海外の情報を参考にしていますが、今回見たように多くの情報が隠れています。特に、株価が天井に来た際の機関投資家の動きを察知するセンサーとして活用する方法は有効ではないかと考えています🥰。

 まだ試行錯誤している最中ですので、ご意見やコメントをいただければうれしいです。

ではまた!😊


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