お互い最大13手で勝負が決まる!超おすすめの2人用ボードゲーム「ランバス」
絶望からの脱却
ご存知の方もいらっしゃると思いますが、昨年の1月に父親(享年85歳)と12月に長男(享年21歳)を亡くすという、個人的には今までの人生の中で最も辛い体験をし、それ以来、年が開けても創作のモチベーションが上がらず、腑抜け状態から脱却することができませんでした。
そういう状態の中で、コロナ禍で開催も危うい状況だったため、一身上の都合で辞退も致し方ないと思っていた矢先、ゲームマーケット2022大阪の自粛中止。
そんなとき、2ちゃんねるの開設者で実業家のひろゆきさんのYouTubeチャンネルを偶然拝聴したのですが、息子さんを亡くされたお父様が、奥様に「希望を持たせる良い説明の仕方があれば教えてください」という内容でした。
まさにこのときの自分の心境がこの奥様と同じで、ひろゆきさんの回答の中に「気が紛れる=時間が流れる」という意味で、「身の回りを忙しくする」とありました。
拝聴後に真っ先に思い浮かんだのは、身の回りを忙しくするには「やはり自分には創作しかない」と気持ちを切り替えることでした。
数日後、いつものようにお風呂に浸かっていると、ふと浮かんだのが「コプラス」(2017年:数寄ゲームズ)のときのように、変わった形状のタイルを使ってのパズル要素のある陣取りでした。
タイルを使ったゲームとなるとワードミノ(2019年)以来、パズル要素のある陣取りとなるとAsobition版 エルタイルズ(2018年)以来かと。
テストモック
ランバス(RHOMBUS)とは、ひし形を意味します。
ひし形というと、あの人気シリーズ「アズール 」の「アズール :サマーパビリオン」(未プレイ)を思い浮かぶ方もいると思いますが、そのひし形の向かい合った角の角度が「60度』の場合、対角線で正三角形が2つできます。
この「ひし形=正三角形×2」という美しい形状に着目しました。
1月の下旬には「HISHIGATA」というコードネームで、厚紙でモックを作り始め、早い段階で以下のコンポーネントとシステム自体はほぼ完成。
︎コンポーネント
・ひし形タイル26枚(2色の単色各7枚、混色各7枚
※全てのタイルには2個の三角形が隣接して描かれています)
・ボード1枚(正三角形54個からなる六角形の盤面)
ルール/ゲームシステム
・2人用
・先手の初手のみ、ボード中央の6つのマスからはみ出ないように配置。それ以降は既に配置済みのタイルに対して、少なくとも「辺」または「角」、あるいは「辺と角」で隣接するように配置
・担当する自色の三角形が「辺」で隣接する個数によって得点が異なります
奇数及び11以上なら0点(無得点)
偶数なら以下の得点を獲得
2個→1点、4個→3点、6個→6点、8個→10点、※10個→勝利(その次の相手の手番で状況を覆せなければ成立)
ルックス
最終的な見た目は6種類の紋章(上級ルールで使用)を全面に押し出した、無機質なデザインになりましたが、このデザインに決めるまでに「スイカ」「お
むすび」「紋章なし」の3バージョンを試作しました。
一番好評だったのがスイカバージョンで、見た目が爽やかで可愛いかったようです。
こちらは限定お試し版として6セット作り、谷町四丁目にあるボードゲーム&スペース ギルド様の体験会で販売。
このとき、尊敬する大先輩のゲームデザイナーの居椿さんが遠方からお越しになっており、このスイカバージョンを大変気に入って頂けました。
体験会後の飲み会で居椿さんから、「かぶけんさんはきっちり作り過ぎなんで、資金がないのなら尚更、あの手作りのスイカバージョンを頑張って50個くらい作り、最終的にはどこかのパプリッシャーから出してもらうのが良いかも」とのことでした。
このアドバイスに従っていれば、少なくともこの後、在庫を抱えずに済んだのですがw
ちなみにおむすびバージョンは、美味しそうに見えないとのことで不採用。
一番遊び易い「紋章なし」バージョンは限定お試し版として7セット作り、BOOTHにて販売。
新型コロナ感染と靭帯損傷
1月半ばに、利き腕が肩より上に上げづらく、また衣服の着替えもままならない状況に初めてなりました。
そこで接骨院に通い始めたのも束の間、2月初旬に新型コロナに感染してしまい、発熱や上半身の痛みに苦しんだ記憶が残っています。
この間にゲムマ大阪中止の告知が。
ここから目標は4月のゲームマーケット2022春に切り替わったのですが、コロナに感染後、約2週間後に回復した矢先に今度は最寄り駅の下り階段で階段を踏み外して利き足の靭帯を伸ばしてしまい、最終的に松葉杖なしで歩けるようになるまで約1ヶ月半。
とにかくこの間が一番キツかったです。
それは玄関に届いたランバスの部材が松葉杖に頼らないと歩けない私には、簡単に移動できなかったからなのです。かと言って高齢の母親に手伝ってもらう訳にもいかず、結果的に猪木のアリキックのような体勢で、負傷していない足で蹴って移動させることに。
結果的には作業スペースに一番適した、こたつを設置している付近まで押し運びました。
作業工程はタイル抜き→丁合→マニュアル折り→箱詰め→梱包→出荷。
全部1人でこなしました。
更にまさかのもう一つの新作「死神プリスクール」の丁合→マニュアル折り→ 梱包→出荷。
特にこちらは直接搬入の可能性もあるくらい納期ギリギリでした。
救世主
昨今、ボードゲームに限らずSNSでの情報発信がとても大切で、これは高いスキルが要求されると思っています。私自身大の苦手で、こういうときに頼りになる方を自分の中で「救世主」と呼ばせて頂いています。
前作「BINGO13 (ビンゴサーティーン)」で紹介動画を作って下さった、ボードゲーム系YouTuberのかぁこんず様。こちらはゲムマ開催前に、正式に紹介案件として依頼させて頂きました♪
かぁこんず様
【ランバス】英語で“ひし形”って意味だぜ【ゲームマーケット2022春】
ゲムマ後には夫婦バトルチャンネル様、リリース以来、大人気のアブストラクトゲーム「FILLIT」でお馴染み、ラディアスリーの中村様にもご自身のYouTubeチャンネルでランバスをご紹介頂きました♪
夫婦バトルチャンネル様
【ボードゲーム千番勝負】172戦目:ランバス
ラディアスリー様
【ボードゲーム】偶数にせよ!〜ランバス(RHOMBUS)をやってみた【アブな世界】
海外ボードゲームの輸入販売を主に行なっておられる通販専門店「ホヌゲームズ」の広報を担当され、ボードゲームブログも書かれている、mokine kurinose様の美しい写真と魅力的な文面による作品紹介でした。
※最終的には新旧併せて6作品もご紹介頂きました。
ひし形タイルを繋げて偶数のブロックを作る2人用ボードゲーム「ランバス」
mikine kurinose様
https://hide.ac/articles/ssdAdxBbG
ゲームマーケット2,022春で見つけた、2人用のおすすめボードゲームとして、ゲームライターの松井ムネタツ様にランバスも掲載して頂きました。
松井ムネタツ様
https://www.famitsu.com/news/202204/29259904.html
また今回、テストプレイ等で特に御尽力頂いた、長瀬のボードゲームカフェ「7Gold」様を始め、もう1つの新作「死神プリスクール」に限っては、多忙な中、アートワークを始め、ディレクションまでして頂いた、別府さいさんのおかげで、無事にリリースすることができました。
ご紹介させて頂いた方々にはこの場を借りて御礼を申し上げます。
明暗を分けた両作品
無事にゲムマ春でリリースできた両作品ですが、実は取り置き予約段階から明暗を分けていました。
ランバスは原価が今までで最も高くなってしまい、価格を決めるのに非常に悩みました。
当初はゲムマ価格3,000円を予定していたのですが、梱包前にボードのデザインの一部に不備を見つかり、修正シールで対応をせざるを得なくなったため、購入者に申し訳ない気持ちで胸が張り裂けそうになり、2,500円に変更しましたが、それでも予約開始後10日近くは予約は1件のみ。
運要素の無い無機質なアブストラクトであることが直接関係するとは思わないのですが、予約してまで購入したいと思う方がここまで少ないとは思いもよらず、このまま当日までこの調子なら、ボドゲカフェやプレイスペースに全て寄贈しようとまで思うようになりました。
ところが後日、もう一つの新作、死神プリスクール(イベント価格2,000円)
の予約を開始する際、両作同時購入して頂くことで、通常4,500円を4,000円にしたところ、ランバスは30件(両作24/単体6)の予約を頂きました。
もし死神プリスクールが間に合わなかったら、前述の寄贈案は現実になっていたかも知れません。
ゲムマでの売れ行き
ランバスは全部で300個製作し、ゲムマ会場に持ち込んだのは半分の150個。
結果はランバスが両日併せて計74個。一方、死神プリスクールは200個持ち込み、172個購入して頂くことができました。
この結果をどう受け止めるか、人によって異なると思います。
例えば無機質なデザインではなく、プロの方にこのゲームシステムに合ったテーマでアートワークをお願いする、或いはもっとスタイリッシュなデザイン&おしゃれなコンポーネントだったとしたら、結果は変わったのか。
おそらく変わったと思います。
実際にプレイされた方からは、ルールは簡単ながら遊びごたえがあり、コンパクトなパッケージは持ち運びが楽で、重宝するのではということでした。
ただこれに気付いて頂くには、プレイする前の段階で「面白そう」と感じて貰えなければならず、結果的にそこまでに至らなかったのは、私のデザインセンスと宣伝の少なさだったと思います。
その後の通販事情
ゲムマ終了後、残った在庫をどうすべきか。
おそらくゲームショップ委託や、通販サイト等を利用すると思います。
私の場合も同じですが、日頃お世話になっているボドゲカフェ様にも数件、ダメ元で委託をお願いしたのですが、快く受けて下さるところもあれば、死神プリスクールだけならとか、良い返事を頂けたとしても、その後全く返事がなかったり、対応すらして頂けないボドゲショップ様もありました。
例えば、過去に何らかの形でそのお店を支援したとして、先方からも支援して頂けるだろうとか、絶対に思わない方が良いです。
経験上、そのようなことは一度もなかったので。
奇跡的にランバス大会を開催
これからランバスという作品を知って頂くにはどうすれば良いか。その後の売れ行きも乏しい状況の中、長瀬のボードゲームカフェ7Gold様の店舗内にて、以下のイベントを開催して頂けることになりました。
実は大会前々日まで予約が全くなく、さすがに中止も否めない感じでした。
しかし大会前日の予約締め切り直前に、7Gold様の御親戚にあたるお1人の方にお声掛けして下さり、その方の友人を含めると、「全員で4名集まるので開催しませんか?」との連絡があり、嬉しくて迷わずお受けしました。
前述の内容は、大会の中止の告知をする直前の出来事でした。
この後、4名による大会のレギュレーションを改めて検討。
そして気付くと朝になって、何故か仮眠も取れなくなるという状況。
参加賞の選別も終えておらず、突貫で用意していると出発の時間に。
■会場到着
開催時間30分程前にお店に到着すると、既に1階のテーブルの一角で4名のグループが遊ばれており、おそらく大会参加者の方々かと。
当日、お店の常連の方1名とゲームデザイナーのハセガワさん(made in pocket)がエントリーして下さったとのこと。更に当日飛び込みで、こちらもゲームデザイナーのCL⇔ROWNさん(Phantom Circus)もエントリーして下さり、何と!参加者が計7名に。
ただ、前日まで4名でレギュレーションを組んだため、得点シートの変更が必要になりました。
そのときそうじ店長から、
「1回のプレイ時間は短いとはいえ、休憩なしの6連戦は結構疲れると思うので、3卓での全員総当たりによる勝ち抜け」という良い提案が。
ちなみに私が良く参加している麻雀オフ会でも、4卓で最低2人抜けとされているので、「これがベストかも!」ということで、用意していた得点シートに修正を加えて完成。
■ドミニオンが終わらないw
お店に到着した際、既に遊ばれていた一角のグループが大会参加者だったようで、大会のルール説明の15分程前に始まった、ドミニオン(お店の名前の由来にもなるくらい、一推しの看板ゲーム)が全員初めてだったこともあるのですが、一向に終わる気配がありませんw
お店的には彼らに途中で終わらせるのも気の毒だったのと、終わるまでの間はテストプレイ等で暇を持て余すこともなく、最終的に予定より約2時間後に開催することに。
■ルール&レギュレーションの説明
大会の流れ及び、参加人数変更後のレギュレーションは以下になります。
■大会の流れ
・ルール説明
・開会の挨拶
・対戦
・結果発表
・優勝賞品・参加賞授与
・閉会の挨拶
■レギュレーション
・基本ルール
・使用卓は全3卓(勝ったプレイヤーから順に1名が抜け番)
・全7名による総当たり戦(1人6戦=全25戦)
・同点による引き分けの場合、最後の手番プレイヤーの負けとする
・勝ち点制
勝ち=5点、5点差以上なら+1点、10点差以上なら+2点、10ブロック勝ちなら+3点
・合計得点の最も高いプレイヤーが優勝
■大会参加者
イナバさん
かいりさん
カワヤナギさん
CL⇔ROWNさん
ハセガワさん
もとさん
りょうすけさん
■ダイジェスト
1回戦目からゲームデザイナー同士がぶつかり、何と‼︎ CL⇔ROWNさんが10ブロック勝利一番乗り。
2回戦目では逆に10ブロック負けを喫したCL⇔ROWNさん。
前半3回戦の終了時点で、唯一の3連勝のカワヤナギさん。
4戦目、もとさんに10ブロック勝利を決められ、3勝1敗で勝ち点16。
カワヤナギさんと同じ3勝1敗のかいりさん。
その3勝全てが追加の勝ち点を獲得し、この時点で1位の勝ち点19。
2連敗スタートだったりょうすけさん。その後3連勝し、その3勝全てがかいりさんと同じく、追加の勝ち点(うち1回は10ブロック勝利)を獲得したため、残り1戦を残して勝ち点22。
一方、5戦目のカワヤナギさん。初戦で10ブロック勝利一番乗りを決めたCL⇔ROWNさん相手に、自身初の10ブロック勝利で勝ち点8を獲得。
この時点で勝ち点24で遂にトップに。
この後、優勝争いの鍵を握る一戦が。
これが最終戦となるりょうすけさんvs勝ち点トップで5戦目のかいりさん。
結果は熱戦の末、7-1(勝ち点5)でかいりさんが勝利。
これでカワヤナギを抜いて勝ち点25となり、頂上決戦はかいりさんvsカワヤナギさんに。
■大会結果
全24試合が行われた、記念すべき「第1回ランバス大会」の優勝者は、準決勝から連続で10ブロック勝利を決めたカワヤナギさんでした。
1位:32点 カワヤナギさん(5勝1敗)
2位:25点 かいりさん(4勝2敗)
3位:22点 りょうすけさん(3勝3敗)
4位:16点 CL⇔ROWNさん(2勝4敗)
4位:16点 もとさん(2勝4敗)
6位:13点 ハセガワさん(2勝3敗)※
7位:12点 イナバさん(2勝3敗)※
(10ブロック勝利)
2回:カワヤナギさん、CL⇔ROWNさん、もとさん
1回:りょうすけさん
■反省点※
ハセガワ・イナバ両者が未対戦だったことに気付けなかったことが悔やまれましたが、大会的にそこまで支障がなかったことは幸いでした。
■優勝賞品・参加賞の授与
1位のカワヤナギさんには製品版のランバスが贈られ、準優勝のかいりさんから順に、全員にゲームNOWA作品を選んで頂きました(偶然にも用意した賞品の個数が参加人数とピッタリで驚きましたw)
■総評
このようなガチのゲーム大会を開催するのは、「第2回エルタイルズ大会(オリジナル版:2016年)」以来、6年半ぶりでした。
まだ知名度もない作品だったこともあり、直前まで中止を覚悟しており、また殆どの方が未経験という中で熱戦を繰り広げて頂けたことは、本当に作者冥利に尽きます。
またこのようなイベントを開催して下さった7Gold様には今も尚、感謝以外の言葉が見つかりません。
改めて7Gold様と参加者の皆様には、この場を借りて御礼を申し上げます。
7Gold様
ランバス取り扱い店
BOOTH様
https://booth.pm/ja/items/3854223
ボドゲーマ様
https://bodoge.hoobby.net/market/items/4974
ゲームストア・バネスト様
https://banesto.nagoya/shopdetail/000000008897/
イエローサブマリン様
https://shop.yellowsubmarine.co.jp/products/detail/85882
ボドゲSHOPオフライン様
https://bgsoffline.buyshop.jp/items/62095006
7Gold様(直販のみ)
ボードゲーム café NOW様
https://twitter.com/boardgamecafen1
テンデイズゲームズ様
https://tendaysgames.shop/?pid=169375813
今後参加予定のボードゲームイベント
■ボドゲ大祭
9/3(土)4(日) 10時〜17時
■ゲームマーケット2022秋
10/29(土)30(日) 11時〜17時
募集
ランバス大会を開催させて頂けるプレイスペース・ボードゲームカフェ様へ
TwitterのDMにてご連絡お待ちしております。
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