【9022】JR東海は買いか。(2023年10月7日)
最初の投稿ということで簡単に自己紹介。
私について
大手食品メーカー勤務。
元々企業分析が好きだったこともあり、2022年4月から株式投資に本格的にのめりこむ。
趣味はトレーニング。(ベストボディジャパンでの入賞めざして、日々鍛錬。)
投資スタイル
銘柄発掘で重宝するのは「日経新聞」「会社四季報」の2つのみ。
基本ロング。(*買いに自信はあるが、売りに自信がないため。)
好きな言葉は「インデックスに勝つことはできる。ただ非常に難しいだけだ。」(個別株の世界は甘くないが、だからこそ挑戦したい。)
買い付け条件で特に意識するのが下記5つ。
マクロ的にカタリストあるセクター
(ここの考察の質が差のつくポイント)売上・利益率・EPSなどの推移
過去最高配当利回りに近い銘柄
(配当性向は競合他社と比べて低いとなお良い)過去安値平均PERに近い銘柄
(10倍以下だとなお良い)PBR1倍以下
(少なくとも過去安値平均に近いPBR)
他にも総合的に見て買い付け判断はする。
(例えば時価総額。個人投資家としては2倍以上になる銘柄を狙いたいので、500億円未満が目安など。上昇トレンドでエントリーするのも大事。)
ただ、最低でも上記を意識して買った銘柄では大損したことがないので、自分の中ではかなり意識している。
本題:JR東海は買いか。(*主観に基づきます。投資は自己責任で。)
本題に入る。まずは、直近株価の推移をチェック。
【月足:10年】
・コロナショックから株価は回復途上。
・RSIは50なので過熱感、売られすぎ感もなし。
【週足:3年】
・直近大きく上がってきていたが、目下日経の調整ととともにかなり下落してきている。
・RSIも週足だと50を割っている。
【日足:6か月】
・RSIは売られすぎの水準。
★まとめ:
チャート・RSIだけ見ると個人的にはそろそろ買ってもいいかなと思う水準。ただチャート判断はあくまで短期的な側面が強いので、ここから私の買い付け条件に沿って見ていく。
1.カタリスト
さて、買い付け条件①のカタリストだが、JR東海の属する陸運セクター(鉄道)には大きく2つのカタリストがあると考える。
⑴モーダルシフト
モーダルシフトとは簡単いうと、従来トラック等の自動車で行われている輸送を環境負荷の小さい鉄道や船舶の利用へと転換することをいう。
深刻なドライバー不足や労働時間の上限規制から「物流2025年問題」が課題となっていることに加え、「2050 年カーボンニュートラル実現」に向けた対応の必要性などから、鉄道による輸送が注目されている。
詳しくは国土交通省のウェブサイトを確認してほしい。
⑵インバウンド
こちらは陸運セクター以外にも恩恵があるが、昨今の円安トレンドとコロナの落ち着きによるリベンジ旅行需要によって、インバウンド需要が増えることはまず間違いないとみられている。鉄道会社はメインの「運輸事業」に加えて、「流通事業」「不動産・ホテル事業」など展開していることが多く、インバウンドの恩恵を多方面で受ける。
また2023年10月からJRが外国人パスを大幅値上げしたことも話題となった。これにより客数への影響がなければ、これも利益改善の大きな後押しとなる。詳しくは下記のbloombergの記事を確認してほしい。
*JR東海特有のカタリスト
JR東海に限った話でいうとやはり「リニア中央新幹線」は外せない。計画では「東京-名古屋」が2027年、「名古屋-大阪」が2045年開業となっている。(*ただ、静岡県との交渉が難航中で開業予定は延期されることが予測されている。)
完成すると東京・名古屋間を最速40分、東京・大阪間を最速67分で結ぶという圧倒的な利便性を有するサービス・技術になるので個人的にかなり期待値は高いと考える。
もう一つは「株式分割」。10月1日付で株式1株を5株に分割した。新Nisaや老後2000万円問題などから、日本国民の投資に対する関心が高まっていくことを考えると、分割によって個人投資家にとっては買いやすくなるので、
多少の追い風にはなると考える。
★まとめ:
JR東海の事業セグメント、売上構成比についてザックリいうと、「運輸」が8割、「流通」が1割弱、「不動産・その他」で残りの割合となる。つまり、JR東海に関しては「運輸」事業にどれだけポジティブな要素があるか考えることが重要になる。
カタリスト⑴はJR貨物輸送に関わってくるのでJR東海に特段大きな恩恵はないと考える。
関係が大いにあるのが⑵インバウンドである。こちらはすでに23年3月期決算で東海道新幹線事業の利益の大幅な回復につながっており、今後もインバウンド・レジャー需要の動向が同社の業績に最も関わってくるだろう。歴史的な円安が継続している中で、外国人パスの値上げもポジティブに効くと期待できる。
また、外国人の日本滞在日数の長期化もポジティブに効く可能性がある。一回の訪問で東京・名古屋・大阪と複数都市を回るプランも当たり前になるのではないだろうか。そこで東海道新幹線の果たす役割は大きい。
2.売上・利益率・EPSなどの推移(各財務データのチェック)
続いて買い付け条件②の売上・利益率・EPSの推移をチェックしていく。
基本的には右肩上がり、そして売上成長率より営業利益の成長率が高いもの銘柄を選びたいところ。グロース株投資では赤字でも売上の伸びが重視されたりするが、私は基本バリュー株で利益と配当がしっかり伸びている企業を好む。
これは財務分析ツール「バフェットコード」を見てもらうと早いだろう。以下リンクから確認してほしい。
https://www.buffett-code.com/company/9022/financial
*1000万円以下四捨五入。
売上:
過去最高は2019年3月期決算の1兆8,781億円。そこからコロナで2021年3月期に8,235億円まで大幅減少。以降2022年3月期9,351億円(前年比:113.5%)、2023年3月期1兆4,003億円(前年比:149.7%)と回復傾向。営業利益:
過去最高は2019年3月期決算の7,098億円。(営業利益率:37.79%)そこからコロナで2021年3月期に▲1,848億円と赤字転落。以降2022年3月期17億円(営業利益率:0.18%)、2023年3月期3,745億円(営業利益率:26.7%)とこちらも回復傾向。2023年はしっかり利益が回復している点は安心感がある。四季報予想(2024年3月期)
売上1兆5,800億円。(前年比:112.8%)営業利益4,800億円。(前年比:128.1%)営業利益率は30%台を回復すると見込んでいる。会社予想(2024年3月期)*令和6年3月期 第一四半期決算短信
売上1兆5,660億円。営業利益4,300億円。営業利益率は27%台を回復すると見込んでいる。会社計画はやや保守的といったところか。
★まとめ:
コロナ禍から着実に回復傾向にある。売上の回復以上に利益が回復しているところは個人的には安心感があり評価できる。2019年3月期の過去最高益に向けては2025-26年以降かもしれないが、このペースであれば期待できそうだ。
3.過去最高配当利回りに近い銘柄
(配当性向は競合他社と比べて低いとなお良い)
続いて買い付け条件③配当利回りのチェック。
分割後の予想配当は28円。10月6日終値は3,403円なので配当利回りは0.82%。過去10年近くさかのぼってみると0.9%-1.0%は配当利回りのレンジとしてほしいところ。となると、買い付け検討株価は2,800円-3,111円となるので、まだ自信を持って買い迎える株価とは言えない。
また同セクターのJR東日本(1.37%倍)、JR西日本(1.72倍)と比べても配当利回りで妙味は見出しにくい。
また、配当利回り以外に過去の減配についても確認すべきだ。JR東海は過去ずっと増配傾向だったが、コロナ期はさすがに減配は避けられなかった。赤字転落しても配当は出していた点は評価できるが、基本減配はない方が安心感がある。ただ、利益回復に伴い今後は増配が予想されているので、個人的には減配の心配はしてない。
4.過去安値平均PERに近い銘柄
(10倍以下だとなお良い)
続いて買い付け条件④のPERについてチェックしていく。
2024年3月期会社予想EPSは分割前で1270円33銭。(分割後254円07銭)
予想PERは13.39倍。
四季報予想EPSは分割前で1443円。(分割後288円6銭)
予想PERは11.79倍。
四季報参照の安値平均PERは13.2倍。割高感はない印象だ。
また同セクターのJR東日本(22.01倍)、JR西日本(21.28倍)と比べても割高感はない。
5.PBR1倍以下
(少なくとも過去安値平均に近いPBR)
最後の指標、PBRについてみていこう。PBRについては特に東証の改善要請という追い風もあるので、今年は特に注目している指標だ。
JR東海は0.87倍と1倍割れ。過去見るとコロナの前の2019年ごろまでは1倍を超えていたので、PBRを見ると割安水準であるといえる。
同セクターのJR東日本(1.2倍)、JR西日本(1.35倍)と1倍を超えている現状を見ると割安感はある。
JR東海の強み・リスク
最後に、長期投資・保有するにあたりJR東海の強みとリスクをまとめて、買いの判断をお伝えしたいと思う。
【強み】
赤字路線の多い在来線の割合が少ない一方、利益率の高い東海道新幹線を運行している点。(営業利益率はなんと30%以上…)
高い技術力
→今後新興国などインフラ整備が必要な国々に対して「高速鉄道技術の海外輸出」などでブランド力を発揮できる可能性あり。
【リスク】
リニア開業のさらなる遅れ
南海トラフ地震
コロナを経てリモート文化が浸透
→出張商談や、出張研修などの法人需要が戻らない可能性あり金利上昇
→JR東海はじめ鉄道各社は有利子負債が多い傾向。
結論:JR東海は買いか。(*主観に基づきます。投資は自己責任で。)
結論。私の見解は「株価3,353円になったら打診買いしてもいいが、もう少し様子見」といったところになる。
会社予想EPS(254.07円)に対するPERが四季報安値平均PER13.2倍のあたりであれば少なくとも高値つかみではないと考えます。さらに、24年3月期の第一四半期決算での進捗も良かったので、会社予想はやや保守的と思う。
2019年4月に過去最高値(分割後)5,251円をとり、時価総額は5兆4085億に達しているが、現在は3,403円で時価総額は3兆5,050億円と最高値からは64.8%の水準。
2024年3月期の会社予想では売上は過去最高から83%、営業利益は60%まで回復する見込みなので、業績の回復に伴って長期的に株価は最高値付近に向かうと期待できる。
ただ、週足・日足チャートでは押し目とみれるところもあり、リバウンド狙いのエントリータイミングとしては悪くないと考える。(基本私は中長期保有が前提ですが。)
長期視点で行くと、配当利回りの面や月足・週足RSIから判断して、もう少し下値で買いを狙いたいと感じる。
最後に
株価変動の要因は多すぎて、すべて分析することは難しいですが、私はとにかく「モメンタム」といったよくわからない勢いに乗って売買判断をするのではなく、とにかく「安く買う」ことにこだわっています。安く買えばやられることも少なく、買値を割れて含み損を抱える不安も減るからです。
退屈で長い道のりかもしれませんが、「トレード」から「優良資産・ビジネスを積み上げる」という意識に変えて、パフォーマンスが大きく向上しました。
今後も企業を絞って「買いの判断」について考えたことを皆さんに共有できればと考えます。
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