見出し画像

【エッセイ】スカートが嫌いだった

高校生ぐらいまでスカートが嫌いだった。今では自主的にファッションに取り入れているので、価値観の変化を感じている。

以前、幼馴染みと話していた時のこと。
「幼稚園の頃のかび丸さんは、いつもズボンを履いていたよね」と言われたことで思い出したのだが、子供の時分は毎日ズボン派だった。(「パンツスタイル」ならばまだしも、パンツ単体だと下着の方が想起される人間なのでズボンと呼ぶ)

幼稚園の服装は、上がスモッグで下は自由だった。同級生の女の子たちは、ほとんどがスカートを履いていた。たまにズボンを履くことがあっても、私のようにズボン”しか”履かない子は他にいなかったように思う。
私がスカートを履くのが嫌だったのは、「女の子はスカートを履くもの」という社会通念、押し付けだ。当時は言語化する術を持たなかったが、振り返って考えるとこれが理由だったと思う。自分が女性であることが嫌なのではない。常識の枠に押し込まれることが嫌なのだ。

これに似た理由で、いわゆる「女児向けアニメ」を見ることもしなかった。男の子が「女ってああいうの好きだよな」と喋っているのを聞いて、「女だから」見てる、と言われそうで嫌だった。
だから、「子供たち全員」をターゲットにするようなアニメばかりを見ていた。ポケモン、ドラえもん、クレヨンしんちゃん、ちびまる子ちゃん、サザエさん。ポンキッキなどの児童向け番組も見ていた。
ただ大人になってから同年代の人々と話すと、女児向けアニメの話に全く乗っかれないことが口惜しい。今なら面白さに性別は関係ない、と言えるのだが。

小学校に上がってもズボン一辺倒を変えることはしなかった。
しかし中学生になると制服がスカートになる。嫌だけど制服だからなぁ、と身に付けることとなった。
だが制服として身に付けてよく分かった。夏はどう考えてもスカートの方が良い。涼しい。長ズボンなんて履いてられん。長ズボンを履かねばならない男子がかわいそうにさえ思えた。あんなにズボンを履きたがっていたのに。まぁ当然の流れとして、冬場になるとズボンが羨ましくなるのだが。

もしも制服が自由選択制だったのなら、私はズボンを履き続けていただろうし、私服でスカートを履くこともなかったかもしれない。そういう意味では私にとっては、スカートの制服は転機としてプラスに働いた。
今では冬場でもスカートを履く。あの時スカートに慣れることができたから、着たいと思える服の幅が広がったのだ。

いっそ性別関係なく全員が夏はスカート、冬はズボンを制服にしてみるのはどうだろうか。スカート=女性の服、という価値観がなければ私はスカートを履くことを嫌がらなかったと思う。流石に極端過ぎる提案だろうか。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?