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【エッセイ】よりどりゆずみどり

ゆず胡椒が好きになれない。


誤解されたくないのは「ゆずが嫌い」ではない、ということだ。
ゆずは好きだ。爽やかな香りがいいし、ゆず湯に入るのも好きだ。一目でかんきつ類とわかるフォルムもカワイイ。かんきつ類は基本かわいい。

しかし食べることになると話は別だ。
ゆず胡椒やラーメンのトッピング、ゆずジュースなど、食に関わってくるとどうしても好きになれない。食べられないわけではないが、少なくとも積極的に選びはしない。

「いいにおい」は必ずしも「美味しそうなにおい」とは限らない。
例えばバラやユリの香りを「美味しそうだ」と思うだろうか?
こう聴くと、ゆずっていいにおいじゃん! と憤慨する人も納得してくれる。
私にとってゆずのにおいは「いいにおい」だが、それは「美味しそう」とは別なのだ。

とはいえそもそも、私は果物全般が苦手だ。
でも、ゆずとかんきつ類仲間のオレンジジュースは好きだし、洗剤などで香りつきのものは大体オレンジの香りを選ぶ。
唐揚げにレモンをかけられてもキレることはない。レモンピール入りの唐揚げでさえ美味しく頂ける。
ゆずとの違いは何だろう。

ゆずが食事に入ってくると、果肉を使われがちではある。汁物にトッピングされていたりする。先に挙げたオレンジジュースも、果肉入りはさほど好きではない(これも飲めることは飲める)。じゃあ果肉の有無じゃあないか、と思うが、果肉なしの安いゆず胡椒でも苦手だ。
結局どこに違いがあるのかわからない。

総じてゆずは私にとって「においやフォルムなど存在自体は好きだが、食べるのは好きじゃない果物」だ。果物と言えば食べるものだろうに、この立ち位置である。
ゆずとしては不名誉だろうか。好きなことに間違いないのだが。






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