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【エッセイ】いっぱい食べる君になりたい

食べることは、好きだ。好きだが、けして大食いではない。大盛りなんて頼んだことがないし、初めて行くお店では「ご飯少なめで」と頼むぐらいだ。

一般的に食べることが好き、というと大食いのイメージがあるので、あまり主張することはない。私自身、だれかの自己紹介を聞いたときに「趣味は食べることです」なんて言われたら「じゃあたくさん食べられるのかな、羨ましいな」と思うだろう。
成人してそこそこなので、学生の頃より食べられる量が減ったことはある。あるが、学生の頃も「いまよりはよく食べてたな」ぐらいのもんだ。

それに私は好き嫌いがある。まず、きゅうりが苦手だ。果物全般も、漬物も苦手だ。基本的に酸味の強い食べ物は子供の頃から苦手なままだ。
食べることが好き、というと好き嫌いのないイメージもある。すべての食材に感謝して美味しく頂くイメージだ。立派だ。そういう人に私はなりたい。なりたいが、何年たっても克服できない苦手食材が多い。20年以上克服できていないとなると厳しい気がする。今生できゅうりを美味しく食べられるようになるとは思えない。

食べることが好きな人は大食いで好き嫌いがない、というのは偏見である。偏見であるが、そう感じるのも理解しやすい偏見だとも思う。
大食いファイター以外で「食べるのが好きな人」を想像すると、孤独のグルメの井の頭五郎さんが頭に浮かぶ。彼はなんでもよく食べる。きれいに食べるし、作る側だって作り甲斐がありそうだ。羨ましい。

私レベルの好き、だと「食べることは好きですか?」と聞かれたときに初めてイエスでこたえる、ぐらいがいいんだろうなぁ。

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