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再考:何かを「やめよう」と思うとき

「やめよう」と、悩む間もなく次のライブが入る。

地下アイドルオタクのかべのおくです。


早いもので、noteをはじめてから1年4ヶ月が経ちました。僕は基本的に一貫性無く無責任に物事を語るので、後から読むと「いや、何いってんの?」って思うこともしばしばです。

以前、こんなnoteを投稿しました。

このときの考えは今でも持っているのですが、最近の出来事を受けて少し考えが変わった部分と、そこから深まった部分があったのでそれについて考察します。


きっかけとなった2つの卒業

ここ最近で、わりと大きめな2つの卒業を目にしました。まずはこの考察の契機となった2つの卒業について話します。

FES☆TIVE南茉莉花卒業

これは少し前になりますが、FES☆TIVE南茉莉花さんの卒業公演までに続く道のりです。7月の終わり、南さんの卒業と、約1ヶ月後の卒業公演が同時に発表されました。

しかし季節は夏真っ盛り、感傷に浸る間もなくライブに通い続ける日々が続きました。個人的に実感が湧き出したのは「赤レンガスプラッシュ祭り」の辺りからで、悲しみのピークは「@JAM EXPO 2022」だったように感じます。

このときから「寂しいなあ」という感情が湧き始めるように。そして、満を持しての卒業公演を迎えました。

各メンバーに歌いたい曲を聞いてセットリスト盛り込むなど、南さんらしい優しさと気づかいにあふれた卒業公演でした。また、楽曲を細かくつなぐメロディーパートや、もはやおなじみとなった曲間の繋ぎダンスなどもあり、
まさにこれまで5人で作ってきたものの集大成を見せてもらえたように感じています。

僕自身も、昨年末のツアーから始まりタイ遠征や豊洲PIT、そしてこの夏のフェスなどで着実にレベルアップする5人の姿を見続けてきました。熱量の高いステージを見せてくれるメンバーとそれに呼応して湧き上がるフロアの光景は、FES☆TIVEを推している一オタクとしての誇りでした。なので南さんの卒業というだけではなく、「いつも見ていたFES☆TIVEが無くなってしまう」という意味合いが強かったように思います。また南オタクの中には顔見知りの人も何人かいて、メンバーだけじゃなくてオタクとも会えなくなるかもしれないという寂しさを感じました。

しかし、1ヶ月の期間のなかで割と僕も心の整理がついていたのかもしれません。もちろんライブ中は「次から、このソロパートは南茉莉花じゃなくなるんだな…」という悲しさを感じることもありましたが、全体を通しては落ち着いて見られた気がします。最後まで明るくムードメーカーであり続けた南さんを、この目に焼き付けることができました。


MyDearDarlin'篠崎麗卒業

南さんと全く別の形ですがほぼ同時期に、MyDearDarlin'の篠崎麗さんの卒業を見届けることになりました。王道アイドルを謳いつつも、とても攻めた楽曲が多いマイディア。そんなマイディアの中でも圧倒的なアイドルオーラと歌唱力を持つ篠崎さんに、僕は認知をもらってもいないのに惹かれていました。

そもそも篠崎さんは7月11日のワンマンライブを最後に卒業するはずでしたが不運にも延期となりました。結果としてマイディアオタクはまさにボーナスステージとして、7人のメンバーと熱い2ヶ月を過ごすことができたわけです。そして夏、マイディアは各所の大規模フェスで八面六臂の大活躍、僕自身も参加したフェスのレポートではもれなくマイディアを絶賛してしまっています。

東京国際フォーラムのワンマンライブでは、篠崎さんの「本当は私はここにいないはずだった」「ファンの皆さんが見せてくれた景色」と語っていたのがとても印象的でした。勢いづいているグループから一人だけ降りるというのだけでも複雑な思いかもしれません。加えてそれが延期になる中でどうやってモチベーションを保ってきたのか、計り知れない葛藤があったことでしょう。きっとそんな篠崎さんの背中を押してくれたのが、応援してくれるファンの人たちだったんだと思います。

そして迎えた卒業公演。

「ほんとに卒業するの?」と思えるほど、素晴らしいパフォーマンスでした。とくに「MDDシンドローム」の間奏開けソロパートは、いつまでも聞いてたいと思っていられる時間でした。ステージ上では東條さんや咲真さんなど、ともに創成期を支えてきたメンバーが涙ぐむ様子もみられ、改めて篠崎さんがどれだけ大事なのかを物語っているようでした。アンコールの「一生涯オリジナリティ」はこれからの篠崎麗さんとマイディアの明るい未来を予感させるようで、悲しみはありつつも前向きな気持ちになれる公演となりました。

マイディアの楽曲は、メンバーのスペックを限界まで発揮してやっと成立するようなレベルの高いものばかりです。おそらくギリギリを攻めているからこそ、高い熱量を誇るライブが作り上げられているのだとも思います。しかしこれは両刃の剣であり、メンバーが一人でも欠けてしまうとパフォーマンスが大きく変わってしまうということです。

きっと篠崎さんが抜けることにより、マイディアのステージは大きく変わらざるを得ないと思います。それは物理的要素(フォーメーション、歌唱パート)にとどまらず、メンタル的な部分も大きいでしょう。ただこれまでも幾多のメンバー変遷を乗り越えてきたグループですし、信じて見守れたらと思います。


卒業のタイミングってなんだろう

地下アイドルオタクをやっていると、数えきれないほどの「アイドルがアイドルじゃなくなる」瞬間を経験します。しかしそんな僕であっても、「卒業しようと決断する瞬間」に対してはあまりにも鈍感であったように思います。これは大きく2つの理由が挙げられます。

第1に、地下アイドルの卒業の多くは突然の別れであることが1つの理由かと思います。ある程度の活動期間を経て心境の変化があり、卒業を発表したうえでちゃんとした舞台を用意してもらえる。そんな「大円団での卒業」はほとんどありません。

第2に、そもそも私たちは自分自身で「卒業を決める」経験がないのも原因に挙げられるでしょう。学校などにおける卒業は形式的なものであり、本人が望もうとそうでなかろうとやってきます。ときどき、大学や高校を卒業してからも、サークルや部活に馴れ馴れしく顔を出す人がいますが、そういう人は学習カリキュラム的に卒業していても精神的には「卒業」できていないんだと思います。


じゃあ卒業を決断するのはどんなときかというと、それは「自分がこの場所で出来ることはやりきった」と少しでも思えたときなのだと思います。なぜならどんな組織にもキャパや目的があるからです。会社には理念やビジョンがありますし、グループなら目標とするステージや目指す場所があると思います。その枠に収まらない活動をしたいのなら場所を変えるしかないのかもしれませんし、停滞感を感じるのならとりあえず卒業して、次にやりたいことを考えるという人がいても不思議ではありません。

ただ、中には一度目標を失っても別の目標を見出す人だっています。これ以上高みを目指せないと薄々分かっていても、次の世代が育つまでは・応援するオタクのためにもやめられないという思いがモチベーションの源泉となることもあるかもしれません。またその過程で、一度離れてみてからやり残したものに気づいて、返り咲く人も一定数見られます。最近では「虹のコンキスタドール」のリーダーだった的場華鈴さんが、卒業後に予科生として復活したことが記憶に新しいかと思います。

先述したように、卒業を「自分で決める」というのは多くの人がそれまで経験したことがありません。だから卒業してからどんな気持ちになるか?は卒業してみないと分かりません。なので言い方は悪いですが、「試しに卒業してみる」というのも一考なのではないでしょうか?


推しがいなくなった現場に通いたい?

話は変わりますが、推しメンが卒業してもライブに行きたいと思いますか?僕は実際、推しメンが卒業したあとも時々顔を出している現場があります。

僕は以前まで、推しメンが卒業するときは自分もスパッとオタ卒するのが潔いしかっこいいと思っていたので、別の推しメンに乗り換えて現場に通い続けるというのは容易なことではありませんでした。しかし、そこまでしてもまだ行きたいと思ったのは、ベンジャスというグループにそれだけの魅力があったからです。また、先述したFES☆TIVEでは南さんの卒業後、新メンバーに辻こはるさんを迎えて新体制がスタートしましたが、元南オタクが時々顔を出しているのも目にします。これは他のメンバーや、仲のいいオタクとの関係性があるからでしょう。

このような経験を経て、今では推しメンが卒業していなくなった現場も通い続けるのもオタクとしての在り方ではないかと考えています。オタクは推しメン以上に大事なものを手に入れたということですし、オタクが現場に「残って」くれているのは、アイドル運営側のマネジメントやメンバーの努力の賜物とも言えるからです。もちろん、最初の推しメンがいる頃とは熱量が下がって、オタ活のスタイルが変わってしまうかもしれません。しかしいったん冷静になってライブを見る、他のメンバーと話してみる経験をすることで、新しい一面の発見につながると思います。


おわりに

まとめます。

6年前に卒業した推しメンの気持ちが、最近やっと分かるようになってきた。

以上です。

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