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ライブに行けないオタクの心理

義務感を感じるのは、たぶん恋です。

地下アイドルオタクのかべのおくです。


オタクをやってると、「絶対に行きたいのに絶対に行けない」という状況が必ず訪れます。ライブ回数の多い地下アイドルオタクなら尚更ですが、オタクじゃなくてもどうしても予定をキャンセルしなくてはいけないシチュエーションが存在するでしょう。

そんな覆しようのない事実がある時、どうやって気持ちを切り替えて次につなげるのか。オタクとしての向き合い方を考えます。


そもそも「行けない」のではない

そもそもの話しですが、ライブに行けないという表現には正確性が欠けています。厳密に言えば「ライブに行かないことを選択した」が正しい表現でしょう。

なぜなら、あなたが頭に浮かぶであろう理由は全て論破できるからです。仕事があるなら断るか、無理なら会社を辞めればいいはずです。お金が足りないのなら友達やサラ金から借りるなりすればいいはずです。地方に住んでて行けないのなら、近くに引っ越せばいいはずです。このようにあなたが毎日でも会いたいと望むなら実現する方法はいくらでもあるはずです。


屁理屈かも知れませんが、ともかく「行きたくても行けない」などという感情は存在しません。それは「行かなくてもいい理由を見つけたから行かない」だけなのです。

なぜこんなことをいうのか、それは選択の主体はオタクのあなた自身ということを忘れてはいけないからと思うです。ライブに行くかどうかは、推しやオタク仲間が決めることではありません。もちろん会社の上司や大学の教授でもないでしょう。全てはあなたが「行かない」を選択したのです(ちなみにこれをアドラー心理学では「自己決定性」と呼びます)。


と、ここまで述べてもどうしても「行かない」を選択せざるを得ない状況はあるでしょう。アイドル以外の人間関係も大事ですし、会社員や学生などの肩書き・身分を失うまでして趣味に没頭できない人もいるかもしれません。

そこで、現実的にそう言ったことにどう向き合うのがいいのか、ぼくがどう向き合っているのかを少し話します。


行かないライブへの向き合い方

オタクが行かないライブのことを納得して次に向かうには、大きく3段階のステップを踏むと考えられます。もちろんこれを全てこなさなくても、途中でも十分に効果はあるし、やらないよりマシと言えるでしょう。

ただし、これらの対策は問題を直接的に解決していないことには注意してください。実行したからと言って、あなたが現場に行けるようになるわけではないということです。あくまでも、変えられない事実に向き合う有効な方法と捉えてください。


①無視

まず一番すぐにできて効果があるのは「無かったことにする」というやり方です。これは、自分が心に追うダメージを最小限にするためです。

ただし、やるのなら徹底的にやりましょう。行かないと決めた時点でそのライブに関する情報を集めてはいけませんし、その日は推しのツイートを見ることも避けます。もちろん、行かない、行かなかったことをSNSで呟くなどもってのほかです。もはや、今日ライブあったの忘れてたくらいのレベルが望ましいかもしれません。


と、ここまで読んで、「もうこれでいいじゃん!」と思われたかも知れませんが、ことはそんなに簡単ではありません。実際のところ、完璧に無視できるオタクはいないからです。スマホの通知は飛んでくるでしょうし、やはり気になってSNSを見てしまうでしょう。

というか、この方法は主現場がちゃんとあるオタクにとっては悪手でしかありません。もしそのライブで重要な発表があったりすれば、情報に乗り遅れてしまいます。あと、いくら無視しても次のライブで「こないだのライブいたっけ?」と聞かれれば即死です。

したがって、無かったことにしてもいい場面というのは、実はあまりないのかもしれません。


②転化

「無視」することが難しい場合、そのエネルギーを別なものにぶつけるというのも有効な手段です。

一番簡単なのは仕事に没頭することでしょう。バイトのシフトを多めに入れるのでもいいし、ここぞとばかりに残業するのもいいかもしれません。スマホの通知にも気づかないくらいが望ましいです。

そもそもライブに行かない理由がある時点で、何か別の用事が入っているケースが多いでしょう。したがってこの段階までは自然と多くの人がクリアできると考えられます。


この「無視」「転化」までで大体の悩みは消えます。「推しには会えなくても、自分は人の役に立ってる」と何かしらで思えるからです。

しかし、「推しに会えていない」という事実は全く変わっていません。いくら仕事で充実感を得ても、楽しそうなツイートを見れば落ち込むことがあるでしょう。やはりどうにかして、行かなかったことへの後悔を取り払う必要がありそうです。


③昇華

ライブに行かなかったことによる後悔って何なのでしょう?僕の場合は「推しを何よりも優先できなかった自分への嫌悪感」な気がします。

このような時には何かしらの埋め合わせを考える必要があります。それがつまり「昇華」です。一番簡単なのは、お金で解決する方法です。たとえば、行けなかったぶん次のライブで多めにチェキを撮る、何らかのプレゼントを買っていくなどはある程度有効でしょう。

しかしお金に頼る必要は必ずしもないと思います。現場で会えない期間、推しのSNSに多めに反応するでも、SHOWROOM配信にちゃんと顔を出すのでもいいでしょう。


このときに大事なのは、「推しに対する熱量を落とさない」ようにすることでしょう。つまり、自分がその埋め合わせで納得出来ているかどうかです。仮に傍目から「そこまでする?」「それでいいの?」と思われても、自分がそれで自信を持ってオタクできているのならそれで良しと僕は考えます。

自分がオタクとしてどう筋を通すのか。それが問われるのが、行かないライブへの向き合い方なのかもしれません。


追記: 「仕事が忙しい」の境界線はどこか?(2023/03/13)

オタクがライブに行けなくなる理由に、「仕事が忙しくて抜けられなかった」はかなり上位にランクインするのでしょう。しかし、仕事が忙しければ全てが許されるのか?と言うと実はそうじゃないと思います。


世の中にある「仕事が忙しい」は2種類あると考えられます。

  1. やりたい仕事があって忙しい

  2. やらないといけない仕事があって忙しい

1はたとえば新規プロジェクトを発案して立ち上げるとか、やりたい仕事のために転職するとかです。2ならトラブル対応での残業とか、自分がやらないと業務フロー上進まないタスクが沢山ある状況でしょう。

結論から言えば、1はいいけど2なら仕事を放り投げて現場に行けばいいと思います。1の状態は自分が何かの役に立っていると感じやすいですが、2では「やりがい」と「やらされ感」のラインが曖昧になりやすいように思うからです。


僕の過去の経験だと、大学院で修士論文を執筆している時はまさに「やらねばならないことをやっている」状態になっていました。「研究したくて大学院に行ったんじゃないの?」と思われるかもしれませんが、それは確かにそうです。ただ全ての大学院生が本当にやる気MAXでバリバリ研究してるかとそんなことはなく、修論執筆時となれば尚更です。研究の仕上げが近づけば近づくほど、担当教授の「これくらいはやって欲しい」と学生(少なくとも僕)の「これくらいでいいだろう」のレベルのズレが如実に現れるからです。結果として学生にとっては「教授を満足させるために実験をして結果を出す」状況がほぼ確実に発生するからです(ことわっておくと教授はすごくいい人で、今ではとても感謝しています)。

そんなわけで僕はその頃、会いたい半分サボりたい半分でライブに通いまくっていました。ちょうどその前まで就活をしていてオタクできてなかったので、割とお金もありました。じゃあ僕がオタクせずに真面目に研究してればもっとよい結果を出せたのかと言われたら、それは微妙だと思います。たぶん研究だけをやってたら絶対腐ってたと思うからです。「今日が終わったら推しに会える」という適度な気持ちの張りができたお陰で、最後までやり遂げられたように感じます。


この結論から言えるのは、「やらなきゃいけないことがあればあるほどサボれ」ということになります。もちろん研究と仕事は少し違うし、サボれば迷惑がかかるので、そう上手くはいかないことも往々にしてあるでしょう。しかし無理をして心が弱ってしまうくらいなら、時には有休を取ってでもライブに行って気持ちをリセットするというのも1つの手ではないでしょうか。


おわりに

まとめます。

次の現場まで、何して生きよう。

以上です。

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